地方議会議員・国会議員を辞めさせる除名・リコール等の方法を弁護士が解説【木下富美子氏】【ガーシー氏】

最新時事問題の法的考察

木下富美子という元都議が、都議会議員に当選して数日のうちに無免許運転で事故を起こしていたということが発覚して、その後の調査の結果、何度も無免許運転を繰り返していた件は、まだ皆様の記憶にあるでしょう。
結局、木下富美子氏は、議員を除名とはならず、プレッシャーに負けて自ら辞任しました。

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櫻井弁護士

聞いたときは耳を疑いました。正直なところ、私もこの件に関しては激おこでした!

ガーシー元国会議員は、犯罪を理由に、最終的には除名となりました。
他にも、丸山穂高議員等、登院せずに歳費をもらっていた、困った議員は昔から多いです。
ご存じのように、今は自民党の裏金問題があり、安倍派の議員に対して憤りを感じている方も多いでしょう。

当時、木下富美子を辞めさせることはできなかったのか、議員はどのように辞めさせることができるのか、

・都議会議員等地方議会議員を辞めさせる方法 除名
・地方議会議員のリコールの方法
・国会議員を辞めさせる方法

という観点から解説していきます。

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櫻井弁護士

中央大学の法務全般を担当している中央大学「法実務カウンセル」(インハウスロイヤー)であり、千代田区・青梅市の「弁護士法人アズバーズ」代表、弁護士の櫻井俊宏が執筆しております。

1 都区議会議員等地方議会議員を辞めさせる方法 除名

都議会議員、区議会議員などの地方議会議員を辞めさせる方法はあるのでしょうか?

今回の木下富美子氏や、文書偽造という刑事犯罪で告発された野々村号泣元議員等、あきれた地方議会議員はこれまでにいっぱいいます。
後でお話しますが、反社勢力と変わらないような地方議会議員も、私が弁護士として対峙した相手方でもいろいろ見てきました。

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櫻井弁護士

このような議員達が、犯罪等の問題を起こした後、雲隠れをしてろくに活動もしないのに、我々の納めた税金から1000万円前後の年俸を得ていると思うと、私を含めた国民は怒髪天です。


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事務員

しかし、辞めさせられたという話をなかなか聞かないですよね。辞めさせる方法はないのではないかと思ってしまいます。

ですが、辞めさせる方法は基本的に2つあります。

ひとつは、議会が辞めさせる方法、すなわち「除名」です。これは、地方自治法134条から137条に定められている懲罰「除名」「出席停止」「陳謝」「戒告」の4つの処分のうちの1つです。

このような懲罰は、会社等でも定められていますので、イメージがしやすいですね。「除名」は、議員の3分の2以上が出席した本会議において、4分の3以上が賛成すると成立します。

まずは、議会におかれては、前述の議員達のような非行を行った者達を積極的にこの方法で除名していただきたいものです!
とは言え、実際には、この懲罰は、「地方自治法」に反する場合や、議会内での非行等、議会の規則に反する場合に適用されるものです。
このことから、今回の無免許運転等を理由とするのはなかなか難しいかもしれません。
しかし、木下富美子氏のような非行を起こしておいて歳費にしがみつく者を野放しにすることはありえない事態です。今後は、なんとか論理を組み立てて、どんどん除名を決行して欲しいと思います。
同じ議員としての立場としては、議員を辞めさせやすくする前例を作りたくないという気持ちはあるのでしょう。また、同じ党の者を辞めさせるという選択にはなりにくいのかもしれません。しかし、そうだとすると4分の3以上の議決というのは、多数党では得られないということになってしまいます。

議員という国民を代表する職であるからこそ、自分達のことではなく、国民の方を向いて、毅然と立ち向かって欲しいと思います。
そして、このような姿勢を議員の方々に持ってもらうには、国民の皆様がツイッターに代表されるSNS等で声をあげて、世論を形成し、後押しするしかないのだろうと思います。

なお、木下富美子氏の件で、2度にわたって採択された「辞職勧告決議」は、事実上辞職を勧告するもので、残念ながら法的拘束力はありません。

2 地方議会議員のリコールの方法

もう一つの方法は、誰もが聞いたことのある「リコール」という方法です。これも地方自治法76条以下にある制度で、有権者の3分の1以上の署名を集めることによってまずは請求が成立するようです。

その後住民投票で決します。過半数が解職に同意すれば、議員は失職します。なお、リコールは議会の解散請求もできます。
ただし、議員のリコールは、議員が選ばれた選挙から、1年経過後しかできません(地方自治法84条)。
1年も待たなくてはならないのはやっかいですね…

近時では、なんとあのメダル噛み噛みの河村たかし名古屋市長が「議員報酬半減」の提案をしていた際に、市議会議員達が反発していたので、その市議会議員達に怒りを覚えた市民達がリコールを起こしたものです。

どうやら河村市長は、今でも報酬は月額50万円であるようです。
【メダルかみつき河村たかし市長の”給料3か月返上“に賛否…意外な月給に「安過ぎ」と驚きの声多数」】

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事務員

なるほど…河村市長は、政策は市民寄りで、利権を貪るような人ではないのですね!

なお、木下富美子氏の件では、板橋区民の方で5609人の署名は集められたようです。ですが、この署名という方法では、事実上の効果しかありません。

【木下富美子都議めぐり小池都知事に有志団体が請願書提出 5609人の板橋区民が怒りの署名】

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櫻井弁護士

今後、このようなことがあった際にはぜひ有権者の皆様でリコールを成功させて、実効性のある制度であることを明らかにし、議員に清廉な政治をしない場合にはどうなるかというプレッシャーを見せつけたいですね!

3 国会議員を辞めさせる方法

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事務員

地方議会議員には「除名」「リコール」という二つの方法があるんですね。国会議員でも、問題議員がいろいろ出てきています。国会議員を辞めさせる方法はどうでしょうか?

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櫻井弁護士

国会議員については、リコール制度はないようです。国会議員は、自らの意見を述べやすいように、より身分保障が強いのでしょう。

一方、地方議会と同様に、議院自体による「除名」はあります。
これは、除名の動議があった後、「懲罰委員会」で審査され、議院の本会議で議決されるものです。
「除名」が認められるには、出席議員の3分の2以上の賛成が必要となります。

しかし「除名」が行われたのは、日本国憲法下では過去2件しか例がないようです。

1950年の小川友三参院議員(無所属)の件と、1951年の川上貫一衆院議員(共産)です。
いずれも、まだ日本国憲法がはじまったばかりのことですね。

小川氏は、予算委員会、本会議で反対討論をしたにも関わらず、本会議では賛成票を投じたことが問題視されました。
議院内で、「社会党の議員からエレベーターの前で背負い投げを食いました」というまじめさを欠く発言もあったそうです。
このことにより除名されたとのことでした。

川上氏の場合は、代表質問で、連合国総司令部(GHQ)による占領政策を批判するという社会主義国家と革命を賛美する発言内容が問題だとして、懲罰動議が出されたそうです。
これにつき、一度は陳謝処分が決まったが、川上氏が従わなかったため、除名になったのです。

日本国憲法58条2項は「両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。」とされており、衆議院規則第245条は「議院の秩序を乱し又は議院の品位を傷つけ、その情状が特に重い者に対しては、議院はこれを除名することができる。」としています。

この2人は、議院内で実際に行った行為だからこそ「院内の秩序をみだした議員」となったといえます。
しかし、議員がそもそも議院に出なければ除名にならないのであれば、そのような議員が横行することになるのであり、そもそも出席しないということが、国民の意見を反映させようともしていないのであるから、一番問題であるといえるのであり、議院外の事情を問わないというのは不可思議な話です。

更に、前述のように、日本国憲法ができた直後にこの2事例があった後、実質的に議院の除名制度は凍結してしまっているのであり、どこかのタイミングで、この制度の存在が活性化され、大きな意義を持つものになって欲しいと思います。
やはり、国会議員の皆様も、危機感を持たなければ、どこか自己の利益に走ってしまうのでしょうから。

現在、日本の選挙制度で一番問題なのは、若者の投票が少なく、高齢者の意見ばかりが反映されていることです。このことにより、年金制度や税金制度、健康保険制度等、高齢の方に優遇される政策が多くなってしまっています。
ネット選挙が一向に行われないことなども、若者の投票率を上げないようにしているからではないでしょうか。舐められています。怒れ、若者達!本当に若者の権利を守ってくれる人に投票せよ!

話を戻しますが、以前から「問題発言議員」はいっぱいいますし、
夫が「元暴力団」だと裁判所に認定される国会議員、
元犯罪者の国会議員、
パパ活国会議員等、
信じられないような国会議員であふれています。

最初に述べた裏金キックバック問題の安倍派議員達も、このまま何らの制裁もないままで終わるようなことがあれば、日本の政治家のやりたい放題は止まらないでしょう。

もっと積極的に制度を利用していただきたいですね。

4 結論

議員を辞めさせることが非常に難しくなっているのは、議員達自らが辞めさせられたくないから、そのような制度を設けないのではないかと疑ってしまいます。

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櫻井弁護士

せめて、除名等をするべきときは、積極的に行っていただきたいですね。その方が、国民の信頼も得られるのではないかと思います。

実際、市議会・区議会レベルの議員だと、養育費を数百万円支払っていない、詐欺のような手法で人の財産を狙っている等、悪質な者も実際の事件上見てきています。

ほぼ犯罪等をおこなっていることが間違いない人は、どんどん除名して欲しいですね。
今回、疑惑となっている、自民党のキックバック疑惑も徹底的に追及していって欲しいです。

【2023.12.12記事内容更新】

 

*弁護士法人アズバーズ代表弁護士櫻井俊宏が、YouTube幻冬舎ゴールドオンラインチャンネルにおいて、離婚問題について解説しています。

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櫻井 俊宏

櫻井 俊宏

「弁護士法人アズバーズ」新宿事務所・青梅事務所の代表弁護士。 中央大学の法務実務カウンセルに就任し7年目を迎える。

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