内容証明郵便で弁護士から受任通知が来た場合

弁護士への依頼の方法

弁護士から郵便が何の前触れもなく届いた場合には、通常びっくりするのではないでしょうか。
この弁護士から突然来る通知は、「内容証明郵便」という形態で「受任通知」という表題で来るのがほとんどです。

弁護士から内容証明郵便で受任通知が届いたとき、どのような意味を持つか、どのように対応すれば良いかについて、以下、解説します。

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千代田区・青梅市の法律事務所、弁護士法人アズバーズの代表弁護士であり、中央大学の法律問題全般を扱う法実務カウンセルである弁護士の櫻井俊宏が執筆しております。

1 内容証明郵便は宣戦布告

受任通知」というのは、「本人に代わって弁護士が代理人に着きました」ということを相手に知らせる書面です。

通常,この受任通知の最後には、
「今後は、本人への直接の連絡は差し控え、連絡があるときは代理人宛にお願いします。」
という内容を記載します。
本人に連絡がいってしまうと、弁護士が就く意味がないし、本人の精神的負担となる上、窓口が一貫しなくなって,交渉が混乱してしまうからです。

受任通知のこの意味合いは下記の記事で詳しく解説しております。

内容証明郵便というのは、どのような文章を相手に送ったか、一字一句まで郵便局に証拠が残る書面です。
いわゆるただの書留や配達記録付の郵便よりも高額であり、1500円以上ぐらいの費用がかかります。

それ程の費用をかけながらも受任通知を内容証明郵便を送るのは、
「この郵便を送った証拠は残っている、裁判でも使うぞ。」
という挑戦的な意味合いが込められています。

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櫻井弁護士

弁護士が送る郵便として恐怖を与えるものという象徴的な意味合いもあるので、プレッシャーをかける意味もあります。

2 受任通知が内容証明郵便で送られる場合は

そのような意味合いを持つ内容証明郵便なので、完全に戦いを挑む場合に送られます。
典型的には、不倫の相手方に対する損害賠償請求事件や、交通事故の加害者が保険に入っておらず相手方が支払いを完全に無視をするような場合です。
このようなケースで、相手にプレッシャーをかけ、賠償金を支払わせるために内容証明郵便での受任通知が送られます。

破産でも受任通知というものを各債権者に送りますが、この場合は、むしろ債権者に破産を容認してもらう立場なので、挑戦的な意味合いのある内容証明郵便で受任通知を送ることは失礼にあたるということになります。
債権者がかなり多いこともあるので、費用もかさむことから、普通郵便で送るのが良いでしょう。

3 内容証明郵便による受任通知に対する対応

大抵の場合、弁護士の送る受任通知内には「7日以内」「14日以内」に何かしらの返答を要求する内容が記載されています。
しかし、この一方的な時間制限に法的効果はありません。
なので、この時間制限はそこまで真に受ける必要はありません。

受任通知の期限が過ぎそうな場合は、相手の弁護士に電話をして、
「こちらも弁護士に頼むことを検討しているので、~日までに連絡します。」
と、簡潔に、丁寧にお伝えしておけば良いと思います。

いきなり「〇〇〇万円を支払ってください。」との内容で受任通知がくる場合が多いです。
しかし、この最初の請求金額はかけひきのために多めに設定されていることがほとんどなので、減額の交渉をしてみましょう。
弁護士が裁判をするのを面倒くさがっている場合もあるので、そのケースだと思ったら粘れば、かなり金額を下げることができる場合もあります。

相手本人又は相手弁護士が落としどころをわきまえず、ずっと頑固な態度をとるようなら、こちらも弁護士を雇って裁判をやることもやむを得ないと思います。

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櫻井 俊宏

櫻井 俊宏

「弁護士法人アズバーズ」新宿事務所・青梅事務所の代表弁護士。 中央大学の法務実務カウンセルに就任し7年目を迎える。

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