サンタクロースと不法侵入罪~「推定的同意」とは

法律時事問題を考察
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メリークリスマスですね皆様。
クリスマスも仕事をする仕事の鬼、弁護士の菊川一将です。

さて、クリスマスといえば、紅白の服を着た初老の男性(諸説あり)が主に煙突を介して住居に侵入した上、枕元にプレゼントを置いて立ち去るという一連の行為が有名ですね。

サンタさんです!!

このサンタさんの行為ですが、「明示の許諾なく他人の家に侵入している」のが通常ですから(家によっては玄関にサンタさん歓迎等の札を下げているところもありえますが、割愛します)、刑法上不法侵入罪に当たりえます。
野暮なことはいうなよって感じですが・・。

ただし、結論としては、サンタさんには住居侵入罪は成立しません。
これは、クリスマスにおけるサンタさんの自宅への侵入(そもそも「侵入」なのかという問題もありますので、今後は「来宅」とします)に対しては、「推定的同意」が与えられていると解するべきだからです。

推定的同意とは、ある構成要件該当行為(≒犯罪行為)が行われたときに、現実の同意をすることが不可能もしくは困難な場合を前提として、仮に被害者がその行為時に事情を知っていたらその行為を許容もしくは同意していただろうと認められる場合、その同意の蓋然性をもって実際の同意と同等に扱い、もって違法性(または構成要件該当性)が否定されることにより、犯罪の成立が否定される、というものです。

要するに入っていいよって言われるのが間違いないから犯罪じゃないよ!ってことですね(すべての犯罪でこの結論が導かれるわけではないのでご注意下さい)。

住居等侵入の場合で考えてみると、たとえば一般の客に門戸を開いているおよそあらゆる店舗(スーパー、デパート、八百屋etc…)が、「専ら客として入場する意思を持つ者」に対して推定的同意を与えていると言えるでしょう。
ひっきりなしに入場する客の一人ひとりに対して「あなたは買い物をするために入場するのですか」なんて聞いて回るのは現実的ではなく、「現実の同意をすることが不可能もしくは困難」と言えますね。

そうすると、我が国における一般市民が共有する社会通念として、クリスマスにサンタさんが来宅することについては推定的同意があるとみて差支えないでしょうから、サンタさんが夜中に来宅しても、基本的に住居侵入罪は成立しない、といえます。
中にはサンタさんの来宅をは絶対許さん!!!という強い意思を持っていらっしゃる方もいるかもしれませんが、こうした方はまずサンタさんの実在(海外に実際にいるサンタさんは別です)から真剣に論ずるべきかもしれません。

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菊川 一将

菊川 一将

「弁護士法人アズバーズ」青梅事務所所長弁護士。 小・中・高校の10年間、バスケットボール一筋。2017年に弁護士法人アズバーズに入所。

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