相続事件を130件以上解決している新宿・青梅・三郷の弁護士法人アズバーズ,代表弁護士の櫻井俊宏です。
みなさんもご存じの「遺言」の中に,被相続人が亡くなりそうなときに緊急で作る方式の死亡危急時遺言というものがあります。
1 死亡危急時遺言とは
意識はあるが手が動かせず遺言が書けなくなったというような緊急の場合に特別の方式で行われるのが死亡危急時遺言です(民法976条)。
遺言の内容を理解できるような状態である必要はあります。
2 死亡危急時遺言の方式
①証人3人以上の立会いのもと,
②遺言者(被相続人)が証人の1人に内容を口述し,
③口述を受けた証人が内容を筆記し,遺言者及び他の証人に読み聞かせ,又は閲覧させた上,
④各証人が,その筆記した内容が正確であることを承認した後,それぞれ署名・押印すること,
が必要です。
アズバーズではこの珍しい内容の遺言作成を補助したことが2回ありますが,緊急時なので,病院に駆けつけたり,自宅に駆けつけたりしました。
3 その後の手続
これが作成された日から20日以内に,証人の申立により,家庭裁判所の確認が必要です。
実際に各証人が裁判所に呼ばれ,作成当日,本人の真意に基づく過程で作成されたか等をいろいろ聴かれます。
これにより相続の内容が変わるという大きな効果が発生するので,厳密にいろいろ聴かれます。
また,実際に被相続人が亡くなって,相続が開始された場合には,原則に戻って,遺言が有効であることを家庭裁判所に証明してもらう検認(民法1004条)の手続も必要です。
4 まとめ
以前からお話しているように,遺言がないことによって,相続人間の「争族」が始まることもあるので,事前に遺言を作成することが好ましいです。
しかし,やむを得ない場合には,この死亡危急時遺言を選択する必要があります。