交通事故で保険会社と交渉の際に保険会社が嫌がること 弁護士費用特約 紛争センター【弁護士が解説】

交通事故法律問題

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交通事故に遭った後、保険会社と交渉する場合に、嫌な物言いをする保険会社の担当者に辟易とする、保険会社が全く譲った提案をしてくれない等の対応を受けたことがある方も多いでしょう。

そのような保険会社と交渉をする場合に、保険会社が嫌がるような有効な交渉をする方法を今回はお話していきたいと思います。

・過失相殺について 弁護士費用特約
・保険会社が相手方を嫌がると保険会社に弁護士が就く
・保険会社が減額要求してくる場合 紛争センター

等を中心に、自分でも交渉ができるようにお話します。

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交通事故事件をこれまでに540件以上解決している千代田区・青梅市の法律事務所弁護士法人アズバーズ、代表弁護士櫻井俊宏が解説します

1 過失相殺について 弁護士費用特約

交通事故においては、被害者であっても責任がある場合には賠償額が減る場合があります。
このどっちがどれだけ責任を持つかということを過失割合といい、被害者:加害者=20:80というように表現します。
上記の場合、被害者にも事故の責任が20%あるということで、被害者の受け取る賠償が20%減少します。
しかも、加害者に車が壊れる等の損害があった場合には、修理費の20%を被害者が負担することにまでなります。

この責任分の減額を「過失相殺」といいます。

交通事故の交渉で特に問題となるのは過失相殺です。お互い、具体的事実関係において、「自分の方が問題ない運転をしていた。」というバイアスがかかってしまう場合が多いからです。
これは弁護士が持っている通称「赤い本」等の専門書を見れば、過去の交通事故事件の裁判の積み重ねから、何百という類型が載っています。
またそのどれかの類型にあたる場合でも、

そのときの天気等による見通しの状況や、

周囲が住宅地かどうか、

加害者又は被害者が著しく危険な運転をしていたかという事実等によって、

過失割合につき、5%単位で修正がかかります。

このことから、専門家の場合は、ある程度過失割合の予測がつきますが、一般の方が行う交渉では、なかなか話がまとまらないことがあります。
現に、30%以上もの過失割合の感覚がずれている相談者の方もよくいます。

過失割合で大きく争いがある場合には、弁護士を就けた方が良いと思います。
これに関して、以前は、車が壊れたという物損で過失割合に争いがある場合、争いの額が小さいことが通常であり、弁護士費用の方が高くなってしまうという問題が生じていました。
しかし、数年前から、「弁護士費用特約」という自分の保険会社が弁護士費用を出してくれるという特約の制度ができて、自分の保険に弁護士費用特約がついている場合にはその点を気にしなくて済みます。

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この弁護士費用特約により、交通事故の件で弁護士を就ける件が4倍程度になっているらしいです。
しかし、この弁護士費用特約は、賠償を請求するための制度なので、自分の過失が100%の場合は利用できないので注意しましょう。

なお、自動車同士の場合は、明らかに一方が悪いと言える「後方からの追突」や「対抗車線のはみ出し運転」等の場合等を除けば、100:0という場合は少ないです。

 

2 保険会社が相手方を嫌がると保険会社に弁護士が就く

加害者側について保険会社が担当することを辞め、弁護士が就く場合というのは、実は結構少ないです。
相手方保険会社に弁護士が就く場合は、こちらの事故の偽装や治療状況を水増ししていることを疑われている、話が通じない相手である等、保険会社が「問題ある相手方」と考えている場合が多いです。
通称「モラル事案」と呼ばれます。
このように保険会社に弁護士法人が就くような場合には、少なくとも保険会社から警戒はされていると思って交渉にのぞむ必要があります。

ただし、このような状態になるとなかなかこちらの思い通りの請求は難しいとも思われますが、必ずしも保険会社が勝つとは限りません。
一度、偽装の事故をこちらの依頼者が自分で起こしたと疑われた件で、相手保険会社に弁護士が就き、ただ、「事故について疑いがあるので、車の損傷について保険金を支払いません。」と書面を送ってきたのみで請求者の連絡を無視し続けていた事案がありました。

内容を検討して、必ずしも偽装とは言えないような事案と思ったので、私達が代理人に就いて、保険金請求の裁判を起こしました。

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保険会社が提出してきた分厚い事故報告書に対し、私達で的確に反論を試みたところ、裁判所は、こちらの依頼者について「偽装はないと思われる。」という結論に達し、保険会社に対し、全額支払いの内容で和解を勧めました。
その件は680万円(それだけの価値のある高級車の事案でした)を支払ってもらって、実質勝訴の和解となりました。

このように保険会社が保険金を請求する側に対して過度な疑いをかけるような件もあるので、保険会社の疑いが合理的でない場合には、こちらも弁護士を就けて争う価値はあります。

 

3 保険会社が嫌がること 減額要求に対し紛争センターも有効

交通事故において怪我をして通院していた場合に、これ以上回復の見込みがないという治療終了の状態を「症状固定」といいます。
症状固定後、保険会社は、通院慰謝料等の残りの賠償金について、支払いの提案をしてくれます。
保険会社もできるだけ賠償額を減額したいと思っているので、この支払提案において、多くのケースでは、裁判まではされていないので多くは支払えないという理由で、10~20%減額をして提案してきます。

この減額について、20%減については下げ過ぎなので、
10%減なら応じる。
という交渉は可能です。提案してみてください。

なお、通院慰謝料は、弁護士を入れて交渉すると結構金額が上がる場合が多いです。
この相手方からの提案が出ている段階においては、私達の事務所では、弁護士費用特約がない場合でも、相手の提案からの上昇額の30~40%の報酬でお受けしていますので、よろしければご利用ください。

一方、全く話にならない保険会社の担当者もたまにいます。
先日、症状固定となって後遺障害9級という事案がありました。本来、9級の後遺障害という大きな障害を受けた人に支払われる後遺障害慰謝料は、前述の「赤い本」という専門書では420万円です。

しかし、相手方の保険会社の担当者は、「赤い本満額の196万円をしはらう。」という謎の提案をしてきました。
赤い本満額は「420万円」だといくら言っても訂正してこようとしません。
しかも、逸失利益という、その人の将来の収入が減るということを理由とした請求についても、本件の被害者が事故当時無職であるという理由だけで1円も払わないと、頑として譲りません。
これだけでなく、他の点についても全く話がわからない担当者でした。
損害保険会社の交渉担当者は、被害者に厳しく責められる場合も多く、これにより「うつ症状」になってしまう人も多いとのことなので、その類だったのでしょうか…

やむを得ず、「紛争センター」という、裁判までするには至らない件を仲裁してくれる団体に申立てをしました。
交通事故事件の経験豊富な弁護士が仲裁をしてくれます。
新宿に本部があり、各件に支部があるようですが、コロナ以後、電話だけで話し合いを行うことになっているようなので、手続も簡便です。
ただし、申立書類一式の準備は結構大変なので、弁護士を就けた方が良いと思います。
紛争センター申立に必要な資料

紛争センターの担当は、被害者にわりと有利なように判断してくれる場合が多いので、これを提起されることを保険会社は嫌がると思います。

私が担当した先ほどの件は、結局、当初相手方保険会社は200万円前後しか支払わないと主張してきたところ、670万円ぐらいの支払いを勧告する結論をいただきました。450万円ぐらいの増額です。

保険会社の担当が話が通じないような人である場合、保険会社が嫌がる手続として、紛争センターへの申立も有効であると思います。

【2024.1.15記事内容更新】

YouTubeでも解説しています。

櫻井 俊宏

櫻井 俊宏

「弁護士法人アズバーズ」新宿事務所・青梅事務所の代表弁護士。 中央大学の法務実務カウンセルに就任し7年目を迎える。

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