近隣への迷惑行為と明渡訴訟及び損害賠償【弁護士ブロガーが解説】

不動産問題
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こんにちは。新宿・青梅・あきる野・三郷の法律事務所弁護士法人アズバーズ,代表弁護士の櫻井俊宏です。

近隣への迷惑行為等の問題は,テレビ等でも良く特集されています。
このような行為に対し,大家が明渡を請求することはできるのか,賠償まで請求できるのか,実際に私が対応した事例も交え,解説します。

1 近隣への迷惑行為に対してはどのような対応が考えられるか

基本的には,例えば音がひどい,動物の匂いがひどい等の迷惑行為に対しては,それによって被害を受けている隣人が,加害者に対し,賠償請求をすることになります。

この場合,「受任限度論」といって,ある程度の騒音や匂いは生活から当然発生するので,受任限度を超えるものだけが違法となるという理論があることに気をつけなければなりません。

この受任限度を超えるかどうかは,

・侵害行為の態様,
・侵害の程度,
・被侵害利益の性質と内容,
・侵害行為の持つ公共性ないし公益上の必要性の内容と程度等の比較検討,
・侵害行為の開始とその後の継続の経過及び状況,
・被害防止措置の有無とその内容・効果,

等の諸般の事情を総合的に考慮して決定されます。

しかし,隣人で賠償請求というのは,いつも近くにいる者なので,報復が怖いものであり,なかなか行うのは難しいように思います。

そこで,大家が迷惑行為を行う者を訴えることを検討する場合があります。
大家としても,他の賃借人から苦情が来てしまうこと,ひどいときには賃借人が隣人の迷惑行為を理由に引っ越してしまうからです。

2 近所への迷惑行為に関する過去の裁判例

債務不履行として契約解除・明渡が認められた場合

  • 徹夜マージャンを4カ月間一晩おきに深夜やっていたケースの騒音につき,明渡を認めた東京北簡易裁判所昭和43年8月26日裁判例
  • 階段,廊下に多数の物品(段ボール箱,タイヤ等)を置いて通行妨害をしたケースにつき,明渡を認めた東京地方裁判所平成20年10月17日裁判例

等があります。

更に進んで,隣人等が引っ越したことにより賃料が得られなくなった分の損害の賠償が認められたケースもあります。

隣人が引っ越した分について損害賠償が認められた裁判例

被告に代理人が就いておらず,また,アパートの住民達に被告がしょっちゅう罵声を浴びせたことにより,みんな退去したという特殊な事例であるが,賠償金が認められた東京地方裁判所昭和54年10月3日裁判例があります。

3 迷惑行為が明渡事由となるかどうかの判断要素

迷惑行為が明渡事由となるかどうかの判断要素としては,

  • 迷惑行為の内容(種類,頻度,時間帯等)
  • 迷惑行為に関係する経緯(賃貸人による注意・警告,他賃借人による苦情,賃借人による改善)
  • 迷惑行為を禁止する旨の契約内容の有無

等を総合的に考慮することになります。

4 実際の事件

以下のような事案です。

3階の賃借人が,「下から床をドンドンとしょっちゅう叩かれている。」と言い,2階の住人に対し,深夜等も含めドアを叩いて喚き散らしました。

これが執拗にあったので,2階の住人が退去してしまい,大家が,明渡訴訟を提起した件です。

被告が,2階のドアを叩いてわめいたことについては,監視カメラが残っていました。

3階の被告は,日時を特定して,「これだけしょっちゅう下からドンドンと床を突き上げられたのだから,正当なクレーム行為だ」と主張してきました。
しかし,その日時には,明らかに2階の住人が出張に行っていてマンションにいない日もありましたので,その旨を,航空券の控え等も提出して主張しました。

また,弁護士会を通した23条照会で調査し,3階の被告が前に居住していたマンションでも同じような変態クレーム行為を行っていたことが発覚しました。
弁護士会照会に関連する記事

結局は,下から音がするという妄想だったのでしょう。
3階の被告がこの裁判中に,2階の住人がいないにも関わらず,その下の1階の住人に対し,同じようにドアを叩いて,
「下から2階の床を叩くからこっちまで音が響く!」
というクレームをしかけてきたのです。
このマンションは石造りであり,さすがにそんなわけありません。

被告代理人も,これでは勝てないと悟ったのか,特に対価なく3階の被告が明渡すという和解をして終了となりました。

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音について過敏どころか,妄想してしまう方も実は結構多いです。
みなさんに認識してもらうためにその一例として紹介しました。

 

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櫻井 俊宏

櫻井 俊宏

「弁護士法人アズバーズ」新宿事務所・青梅事務所の代表弁護士。 中央大学の法務実務カウンセルに就任し7年目を迎える。

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