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櫻井弁護士

進撃の巨人・東京喰種・呪術廻戦等、特にダークファンタジーが大好き、マンガ好きのみんなの応援団、弁護士の櫻井俊宏です。

なんと現在コミックス販売実績9000万部超、アニメも好評で、鬼滅の刃に続くお化けコンテンツ「呪術廻戦」、めちゃ面白いですよね。
いよいよ佳境に入っていますが、噂通り、全ての伏線を回収して今年中に終わるのか、毎週本誌組でジャンプを読んでドキドキしております!
読み進める中で漫画好きとして興奮したのが、他の名作のパクリというか、オマージュというか、敬意のある取り入れ方をさりげなくしているのですよね。

・ハンター✕ハンターと呪術廻戦の類似シーン
・バガボンドと呪術廻戦の類似シーン
・呪術廻戦の真似方の法的考察と総括

等について、著作権法の問題等も交えて解説します。

呪術廻戦の芸術的オマージュ2 ナルト?るろうに剣心のパロディ?

 

1 ハンター✕ハンターと呪術廻戦の類似シーン 真贋相愛はパクリ?芸術的オマージュ?

呪術廻戦はハンター✕ハンターとよく似ていると言われています。
これは当然「呪術」が「念能力」と構造・出し方・効果等が似ているからでしょう。
呪術も、ハンターハンターの念能力の「制約と誓約」のように、自分に縛りを加えることによって効力を上げることができます。

このような基本構造が同じであるところと共に、各シーンでも似ているところがあります。

入れ替わる能力

まず、呪術廻戦の東堂、主人公虎杖と女性の嗜好が同じというだけで、昔から虎杖とマブダチであるとの記憶を創作し、「ブラザー」と呼び出す、とても個性的で魅力的なキャラクターです(なお,この「存在しないはずの記憶」は、実は虎杖が作り出したものという説があります)。
この東堂の術式は、手を叩くことで人の位置を入れ替えるというものであり、ハンターハンターの隠れ人気キャラクターゴレイヌが使う念能力とほぼ一緒です。

ただ、そうは言うものの、呪術廻戦において、芥見先生は、手を叩くが術式を発動させず相手を困惑させるというオリジナリティを入れています。

バラバラにしているシーン

この下の2つのシーン、似ていると思いませんか。


左は「呪術廻戦」第2巻から引用。右は「HUNTER✕HUNTER」から引用

左の呪術廻戦は壁に打ち付けられ、右のハンターは空間に打ち付けられています。
バラバラにされて打ち付けられているところが似ています。
また、このコマで、「両面宿儺」と「クロロ」という各漫画の強者にいきなりこの姿にされているという経緯もそっくりです。

円と簡易領域

呪術廻戦の三輪というキャラクターが使う「簡易領域」、半径2.21M以内に敵が入るとオートでカウンターの居合を放つとのことでです。
これは、ハンターハンター好きからすると、念能力「円」でしょう。
それも、刀というところから、幻影旅団のノブナガのものを彷彿とします。

呪術廻戦5巻より引用

最近でもハンターハンターのオマージュがあります。

上は「呪術廻戦」250話から引用。下は「HUNTER✕HUNTER」194話から引用

乙骨憂太の【領域展開】「真贋相愛」は、刀がいっぱい現れ、その刀に触れるまでは、どの能力が込められているかわからないというもの。
これは、ハンターハンターにおけるゴンの師匠カイトの、気狂いピエロ(クレイジースロット)が、9種の能力がありながら、発動するまではどの能力が発動するかわからないというのを彷彿とさせます。
更に言えば、乙骨憂太の他の人の能力を使う「模倣」という能力自体、ハンターハンターのクロロが使う「盗賊の極意」(スキルハンター)と一緒ですね。

なお、そもそも「真贋相愛」は、ハンターハンターではないですが、人気アニメ「Fate」の無限の剣勢(アンリミテッドブレイドワークス)や芥見先生が敬愛するというブリーチのシーンに酷似していることの方が話題になっていますね。

「呪術廻戦」249話より引用

2 バガボンドと呪術廻戦の類似シーン

芥見先生は、バガボンド、特に「吉岡清十郎戦」が好きなのでしょう。
私もあの戦いが、たぶんバガボンドの中で一番好きです。

よだれのシーン

左はバガボンドから引用。右は呪術廻戦6巻から引用。

このシーンはもう疑いの余地はないですね。
「よだれに気づかない程の集中」
丸パクリです。

「タイプです。」「大好きです。」

 

左はバガボンドから引用,右は呪術廻戦2巻から引用

この2つのシーンは、バガボンドは同じく吉岡清十郎戦なのですが、

①それまで敬語をろくに使わない宮本武蔵と東堂が使っているところ
②殺し合いマニアであることと,極端な女性の好みという変態的な自白をしているところ
③興奮して白目をむいているところ
④敵に対してカミングアウトしているところ

等で、実に特徴的でよく似たシーンです。面白いパクリですね。

東堂さん、最新のジャンプで、ときめきメモリアルの「伝説の樹の下で、告白どころか撃たれているのも激笑ですね!

少年ジャンプ2020年47号より引用

3 呪術廻戦の真似の法的考察 パクリ!?パロディ!?芸術的オマージュ!?

もちろん、呪術廻戦のこれぐらいの真似は、到底著作権侵害とは言えません。

キャラクターの著作権について、最高裁平成9年7月17日のポパイネクタイ事件は、
「キャラクターといわれるものは、漫画の具体的表現から昇華した登場人物の人格ともいうべき抽象的概念であって、具体的表現そのものではなく、それ自体が思想又は感情を創作的に表現したものということができない」
として、キャラクター自体に著作権が生じないことを原則としています。

つまり、キャラクター性が似ていたとしても、キャラクターの使う技が似ていたとしても、著作権侵害とはなりません。

しかし、この判決においても、個々の絵については著作権侵害が成立しうることが述べられています。

だとすると、キャラクターをパクられた場合であっても、そのキャラクター性で著作権侵害を主張するのではなく,個々の「絵画」(著作権法10条1項4号)に関する美術の著作権を検討することになります。

そして、真似の場合は、いわゆるコピー・ペーストの「複製」ではなく、元のものにアレンジを加えた「翻案」権(著作権法27条)侵害、又は著作者人格権としての「同一性保持権」(著作権法20条)侵害を検討することになりそうです。

本件の真似は、絵自体はそもそもキャラクターが違い、特に似ているとは言えないので、著作権侵害は成立しません。

【参考記事】
YouTubeと著作権 適切な引用の仕方
YouTubeにおける替え歌(アレンジ曲)の著作権
YouTubeのアカウント売買は違法!?

なお、「オマージュ」とは、wikipediaによると、芸術や文学において、尊敬する作家や作品に影響を受けて、似たような作品を創作する事を指す用語である。しばしば「リスペクト」(尊敬、敬意)と同義に用いられる、ということです。
呪術廻戦の場合、作者芥見先生が、他の先生方の作品をリスペクトしているからこそ使っているので、社会的定義からいくと、やはり「オマージュ」なのでしょう。
オマージュは、そのまま使っているものが少ないので違法となりにくそうです。

「パロディ」は、他の芸術作品を揶揄や風刺、批判する目的を持って模倣した作品、あるいはその手法のことを指します。
著作権の有名な判例で、「パロディ・モンタージュ事件」というものがあり、やはり行き過ぎたパロディは違法となることがあるのでしょう。

更に、「パクリ」は、通常の意味では、そのまま使うことなので、最も著作権法に反し、違法となりやすいといえます。

*弁護士法人アズバーズ代表弁護士櫻井俊宏がYouTube幻冬舎ゴールドオンラインチャンネルにおいて著作権等について解説しております。

4 まとめ

いろいろ話してきましたが、私は、むしろ呪術廻戦のオマージュは、過去の大先生方の作品への愛・敬意がたっぷり感じられて清々しいです。
そのシーンを見て「あ,あの漫画じゃん!」という探し方を楽しめることこそ正にオマージュと言えます。

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