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不倫事件で相手方に慰謝料請求の書面を送っても、相手方が無視する、相手方と金額の折り合いがつかない等の事情がある場合には、裁判をやらざるを得ません。

この記事では、不倫事件において、裁判所の裁判において特に問題になることについてお話します。

①加害者が否認した場合
②ダブル不倫の場合
③賠償額が折り合わない場合

について解説します。

https://as-birds.com/media/wp-content/uploads/2020/09/CW_6152793-01-460x460.jpg

離婚・男女問題を740件以上解決している弁護士法人アズバーズの代表弁護士であり、中央大学の法律問題全般を担当している弁護士の櫻井俊宏が執筆しております。

1 加害者が否認した場合

これが典型的に不倫事件で裁判になる場合と言えるでしょう。
裁判上で、不倫、すなわち性交渉といえる行為があったかどうか争いになります。

当然、訴えた側は証拠によって裁判上立証しなくてはなりません。
どのような証拠によって立証していくことになるのでしょうか。

例えば、探偵が尾行して作成された報告書において、2人でいわゆるラブホテルに行っていることが立証されるような場合は、性交渉があったと推定されます。
シティホテルであっても、2人で一緒に部屋に入ったシーンが写真等であれば、基本的には大丈夫です。


逆に言うと、
「ラブホテルまで行ったが,性交渉はしなかった。」
という否認をする人もまれにいますが、ほとんどその主張は通用しないということです。

自分の家に入れたが、一晩中いたなら別として、その日のうちに、例えば2時間ぐらいで帰ったという場合は微妙です。
他にも不倫の事実を補強する証拠が必要でしょう。

また、加害者側が不倫の事実を認めた謝罪文等の書面を書いた場合も、不倫の事実が立証できる場合が多いです。
しかし、例えば「浮気をしました。今後一切しません。」という謝罪文を作成してもらったとします。
これに対し「『不倫』という意味を知らなかった,性交渉まではしていない。」
という主張が通ることもあるので,性交渉というものまでしていることを認める内容の書面を書かせた方が良いでしょう。

他にもLINEやメールで性交渉をしている内容がある場合は、それが証拠となります。
相手の裸体の写真や動画等が証拠となったような場合もあります。

2 ダブル不倫の場合

ダブル不倫の場合は、そもそも裁判となるとその加害者にとっては配偶者にバレるということを気にする必要があります。
裁判所に訴えを起こすと、その家に訴状が届き、配偶者が受け取った場合は訴えられたことがバレるからです。
具体的に説明すると、夫が、結婚している女と不倫をしたとき、その不倫相手の女の夫から裁判をされ、自分の妻が家でその訴状を受け取ってしまう可能性があるということです。

ダブル不倫の場合で裁判にまでなると、4当事者の思惑が複雑に絡み合い、往々にして泥沼になってしまうので、
「目的は復讐、それぐらいの仕打ちを与えたい」
という場合以外は、なるべく裁判をすることは回避した方が良いように思います。
加害者側は、ちょっと相場より多くの賠償を支払っても、裁判にまで移行せず、穏便に解決するべきです。
その心理を逆手にとって慰謝料を多めに請求していき、有利な示談を求めることも可能です。

3 金額で折り合いがつかない場合

これ以外の場合で裁判になるのは、金額で折り合いがつかないときでしょう。
確かに、
「私は、こんなに病んでしまっている、だから1000万円が妥当だ。」
と高額な慰謝料を主張する方はよくいます。

しかし、残念ながら不倫事件の場合、裁判所は、

・過去の結婚期間
・性交渉の頻度
・離婚になりそうかどうか

等の要素以外は、いくら主張してもほとんど裁判所に考慮されません。
判決内容を見ると、提示した事実関係を見ていないんじゃないかとすら思うこともあります。

また、不倫の慰謝料請求の場合は、判決内容に不満があって控訴しても、賠償額はほとんど変わることはないように実務上の慣習はなっているようです。

すなわち、不倫事件においては、ある程度の落としどころを見定めて鞘をおさめるのが良いと考えられます。
裁判では不倫という嫌な事実について徹底的に戦うことになるので、時間・精神・弁護士費用を双方いたずらに奪われることになります。

「800万円請求しましょう。」「裁判をした方が多くの賠償をとれます。」
等という弁護士には注意した方が良いかもしれません。

【2021.12.6内容更新】

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