もはや皆がメールよりも頻繁に基本コミュニケーションツールで使っているアプリ「LINE」。
このLINEのやりとりを不貞の証拠として用意していただく場合が非常に多いです。
LINEの出現によって、発覚する不貞行為が増えたといっても過言ではないです。
最近では元AKBの篠田麻里子氏が、不貞をうかがわせるLINEや録音を暴露されてしまいましたね。
不貞事件におけるこのLINEの証拠の活用の仕方について、
・LINEの送信取消に対抗する方法
・LINEの証拠の量が多い場合のトーク編集
・裁判上どのような場合にLINEの証拠から「不倫」が認められるか
・今後のLINEの証拠の取り扱い
・その他、録音、謝罪文等の証拠
についてそれぞれ解説していきます。
中央大学の法務全般を担当している中央大学「法実務カウンセル」(インハウスロイヤー)であり、千代田区・青梅市の「弁護士法人アズバーズ」代表、弁護士の櫻井俊宏が執筆しております。
1 LINEの「送信取消」やスレッドの削除に対抗する方法 スクリーンショット 画面ごと撮影
LINEにおける配偶者と、不貞相手とのやりとりで、例えば、「昨日はエッチできてよかった。」「昨日は君の裸が素敵だった。」等のやりとりがある場合は、それ単体でも不倫の証拠として認定されることがあります。
このようなLINEの内容は、一度見つけても、消されるおそれがあります。
LINEには、以前はできなかった機能で、「送信取消」という機能ができました。相手方に送った内容も相手方の画面及びデータから消えるというものです。
これにより、一度は不倫の証拠のLINEを見つけたのに、相手方に消されてしまう恐れが増えたということになります。
また、配偶者が一度は不倫を認めて観念した場合に、自分に対して「不倫をして申し訳ない。」などと、その旨を認めるLINEが送られることもあるでしょう。しかし、そのようなLINEの内容があるから、と安心してはいけません。
経験上、不倫をした人は、誰か専門家に対処法を聞いたあと、証拠が残らなそうであればすぐ発言を翻します!
「配偶者が自分が不倫をしたことを認めたLINE」が自分に送られた場合も、後に「送信取消」で消される恐れがあるということです。
そこで、配偶者が、自分が不倫をしたことを認めたLINEが自分のスマートフォンに残っている場合には、スクリーンショットをして残すことで、消される弊害を防止できます。
また、配偶者のスマホで見つけた不倫の相手方が送ったLINE等が消されることに対抗するためには、配偶者(例えば「夫」)のLINEの内容が映っている配偶者のスマホの画面ごと、自分のスマホで写メで撮るのが有効です。
実際、このように証拠を残される方が多いです。
なお、LINEは、スレッドごと削除されると、復元が難しい(知り合いの業者はできると言っておりますがまだ試したことはありません。LINE社が復元することを厳しく取り締まっていると聞いています。結局は復元できるようになり、また不可能となるということのイタチごっこだと思います。)ので、不倫の証拠を見つけたときは、先程お話した写メを撮る等の方法により、素早く確保しておくことが重要です。
2 LINEの証拠の量が莫大な場合に有効な「トーク編集」
LINEで、不倫当事者が相互に頻繁に送っている場合には、証拠としての分量が膨大になってしまいます。
LINEを証拠として出す場合には、スクロールして、わずか数回のやりとりを写真にして、ぶつ切り状態で提出することが多いからです。
このことから、なんと100枚以上証拠として出されたのを見たことがあります!
実際にはあまり多く出てくると、裁判官もその見にくさにうんざりして、判決を書く前にはあまり精査してくれないことになりかねません。
より効率的な方法はないのでしょうか。
この場合、LINEの「トーク編集」という機能を使えば、それまでの一切のやりとりを、ワード等で使える文章として編集できるので便利です。
スレッド(ある者とある者のやりとりの画面)の右上の矢印を開き「トーク編集」を選べば全部のそれまでのやりとりをデータとして文章化できます。
このトーク編集をして文章化した物をとりあえず証拠として提出すれば良いと思います。
この内容について、通常は相手方は否定まではしないので、相手がやりとりの内容を認めた場合は証拠としての効力があるからです。
もし万が一否認する場合には、あらためてLINE全部の提出を検討すれば良いでしょう。
3 裁判上どのような場合にLINEの証拠で不貞となるか
LINEの証拠は、どのような場合に不貞行為が認められるでしょうか。
基本的には不倫者同士が、【肉体関係】があるような内容であることが必要です。
つまり、それを推認させるようなやりとりが必要ということです。
「昨日の君の身体は良かった。」
なら不倫の証拠として大丈夫な場合が多いでしょうが
「昨日の夜は気持ちよかった。ありがとう。」
といったような、マッサージか何かともとれるような内容では難しいかもしれません。
ただ、「愛している」といった好意の打ち分けぐらいであっても、賠償額は大きく変わってきますが、不貞が推認され、損害賠償請求が認められるケースもあります。
性交渉をしている自分達や、裸のままの相手の写真・動画を送り合っているような不貞者も良くいますが、もちろんそのような内容は不貞行為があったものと認められやすいです。
なぜか不倫している者同士のメール等の内容は過激です。
不倫というのは燃え上がるものだからなのでしょうか。それともゲーム感覚だからなのでしょうか。
4 不倫におけるLINEの証拠収集の今後について
今後、というか今でもそうなのですが、認証によりアクセスしないとスマホが開けないように設定されている場合が多くなっているので、相手が手放したすきに見ることができたこれまでよりもLINEを証拠で使える場合が減るのではないでしょうか。
実際、何かしらの形で認証を行いスマホの内容を見た場合や、ブロックのかかっているLINEのアプリに侵入した場合には、不正アクセス禁止法という刑罰に当たる場合があります(3年以下の懲役又は100万円以下の罰金)。
まあ、実際には、配偶者に不正アクセスをされて不倫の証拠を見られたと被害届を出したとしても、捜査機関が動くことは考えにくいとは思いますが、、
実際に、私が担当した事件で、夫が指認証に設定していた場合に、寝つきが良い夫だったのか、妻が夫の指をスマホに押し付けて、証拠を収集したケースがありました(汗)。
想像するなんとも怖い情景ですね。
この場合は不正アクセス禁止法違反となるのでしょうか、、?
5 録音・謝罪文作成等の他の証拠収集
ここでは不貞行為に関する録音・謝罪文等の他の証拠について解説します。
(1)具体例
性交渉中の録音・録画データが証拠としては最強ですが、それ以外でも次のような証拠を集めることで不貞行為があったと推認させることができます。
・ ラブホテルに出入りする画像
・ ラブホテルの領収書、クレジットカードの明細書
・ 手紙、日記、手帳、メモ
・ 携帯電話の通話履歴
・ 交通系ICカード、ETCカードの通過履歴
・ ドライブレコーダーの映像
・ GPSによる位置情報や移動履歴
・ 配偶者や不倫相手のSNS、ブログ
・ 興信所(探偵)による調査報告書
・ 第三者の目撃証言
・ 浮気や不倫の自認書、示談書 など
(2)注意点
・ 複数の証拠を組み合わせる
性交渉中の動画など決定的な証拠以外はいずれも「不貞行為があったかもしれない」という間接証拠に過ぎません。言い逃れを許さないためには、証拠は複数かつ多種類が必要です。
・ 違法行為や証拠の改ざん
スマや手帳の盗み見程度を超えて、 盗撮、不倫相手の家に忍び込んでの捜索・盗聴は犯罪にあたる場合があります。また刑事裁判と比べると、民事裁判では不当な手段を用いて集めた証拠も許容されやすい傾向がありますが、著しく反社会的な手段を用いてプライバシーや財産権などを侵害する方法で集めた証拠は採用されない可能性があります。
さらに改ざんや加工しやすいデジタルデータも証拠として排除されることにも注意が必要です。
他の証拠も複数準備しておく、デジタル以外の方法で保存するなどの対応が大切なんですね!
(3)おのおのの具体的な方法で注意すること
不倫当事者の発言を残した録音も有効です。
被害者の方が、妻の様子がおかしいと思って、自分の家に録音をしかけ、家で行われた不貞行為についての録音がとれた場合もあります。
もちろんこれだけで不倫の証拠として有効です。
ただし、裁判で証拠として提出する場合は、録音データだけでなく、聴き取って文章化した反訳文書を提出する必要があります。業者に任せると1時間ぐらいで5万円前後の費用がかかります。
GPSの場合もありました。
自分でGPSを買って、
妻には、会社の支店に出張と言っていたのに、箱根に行っていたことが発覚しました。
不倫を認める謝罪文も証拠となります。
「…他の女性と肉体関係になってしまいました。」
「女性と食事したりするだけでも不倫になると思って「不倫」と書いた。」と後で弁明されないように、「性交渉」をしていたと一目でわかる書き方にするのが重要です。
少なくとも、名前は実際に自筆で書いてもらうと共に、日付を必ず入れる必要があります。
謝罪文に関しては、相手方が認めたわけではない点から、やや証拠力が弱いので、探偵の報告書等、他の負荷事情と合わせると更に有効となります。
6 まとめ
不倫が発覚した場合は、証拠集めが重要です。
自分が知ってしまったことを配偶者が気づく前に、録音・スマホやパソコンでのやりとり・不倫を認める誓約書を作成してもらう等、あらゆる方法を駆使し、不倫があったことを推認させる証拠や不倫をした者が認める証拠を集めましょう。
それでも決定的な証拠が押さえられない場合、探偵に頼むことを検討してみるのも良いでしょう。
ただ、探偵費用は本当に高いです。
弁護士費用よりも高いことがほとんどで、なかには300万円以上も探偵費用を支払ってしまっているケースもあります。
不倫事件では、慰謝料は多くても200万円ぐらいであり、これでは大赤字です。
探偵を利用しなくてもこのようなLINEのやりとりや不貞を認める発言を録音で残しておくだけでも十分に裁判等で戦えます。
まずは自分で証拠収集もしてみることをおススメします。
男女問題でご不明なことがあればお気軽に、離婚・男女問題事件を多数取り扱っている弁護士法人アズバーズにお電話いただければと思います。
(2023.9.6記事内容更新)
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