あけましておめでとうございます,弁護士法人アズバーズ青梅支部所長の菊川です。
本年もよろしくお願い申し上げます。
さて,年末から年始にかけてホットな話題といえば?そう,養育費等算定表の改訂ですね!
(ゴーン・・・?知らない子ですね)
養育費や婚姻費用の算定にあたっては,いわゆる算定表というものが用いられます。
これは,権利者(養育費等を請求できる人)と義務者(養育費等を支払わなければならない人)との収入を比較し,子供の数に応じて金額が定められるもので,ほとんどの調停でこれが用いられてきました。
この基準ですが,2,003年から一切改定されておらず,現状に鑑みて養育費等が低すぎるとの批判がされてきました。
20年ほど前と比べて実質的な賃金水準があがったのかどうか・・という問題もありますが,弁護士会が提唱しているいわゆる新算定表とも著しく乖離しておりますから,絶対的に低かったというのはそのとおりなのかなと思います。
さて,この新算定表ですが,結論から言うと,これまでの金額より月当たり1~2万円程度高い金額が算出されることになるようです。
微妙な増額ではありますが,裁判所がようやく重い腰を上げたという点では評価できるものかと思います。
今後,養育費等請求調停を行う場合は,この新算定表に基づいた算出がされることになります。
では,新算定表が出る前に,すでに調停などで養育費等が定められた人はどうなるのでしょうか。
要するに,新しい基準で改めて養育費等を定めることを請求できるのか,という問題です。
これは,結論から言いますと,「他に特段の事情がない限り,請求は認められない」です。
養育費等の増額請求にあたっては,「事情の変更」が必要になります。
この事情の変更とは,社会全体レベルでの変動(賃金水準の大幅低下等)以外にも,当事者の収入が増減したことや,扶養家族が増えたこと等,「養育費等の金額を定めた当時には予見できなかった事情」を指します。
算定表の変更も,実務においてほぼ絶対的な指標となっていることを踏まえれば,その変更は事情変更に当たると言えそうですが,「裁判所が2019年12月現在の経済水準において妥当と考える金額」であって,過去に定められた養育費の妥当性を左右するものではないことからすれば,理論上も事情の変更に当たらないと言えそうです。
ただ,養育費等が定まってから数年もすれば,当事者において,給料の増減などの事情の変更がある場合はありうると思いますし,お子様も成長していることから,その分の増額を請求できる可能性もあります,そうした場合には,そのような事情変更を前提に,新算定表を用いて養育費等が定められることになります。
どの程度の変更が「事情の変更」にあたり,新算定表による新しい金額が定められることになるかについては,新算定表が出されてからまだ1ヶ月も経っていないので手探りですが,今後の実務の中で定まっていくものと思われます。
事情の変更がありそうだとお考えの方はご相談ください。変更が認められた場合には,新算定表で少し高めの養育費を請求することができるかもしれません。