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こんにちは。冬の青梅の空気はうまい,ひしひしと感じている弁護士 菊川です。

東名あおり事件もそうですが,年末に差し掛かり注目すべき法律事件が増えていますね。
埼玉県立小学校の教職員が残業代の支払いを求めて訴訟を提起した事件がまさにそれです。

「公立学校の職員に対しては残業代を支払わない」というのは,法律で名分にて定まっているものです。「公立の義務教育書学校等の教育職員の給与等に関する特別措置法」というのがその法律です。ムダに長いですよね。

この法律の第3条で,まずは教職員にはその給与月額の4%に相当する「教職調整額」を支払うことが定められています。

この後の労基法及び地方公務員法の読み替えがかなり煩雑なので詳細はカットしますが,同法5条によって最終的に読み替えられた労基法33条3項によって,「公務のために臨時の必要がある場合に,教職員を労働させることができる」ようになります。

また,この場合でも,給特法第6条により,要するに残業させることのできる場合は政令で指定するとされています。そしてこの政令により,いわゆる超勤4項目(生徒の実習,学校行事,職員会議,災害等非常時)が定められ,これ以外の場合に残業をさせることはできないとされているわけです。

そしてこれら規定を受けて,公立の先生たちには残業代を支給しないとも法定されているわけです(3条2項)。

とは言え,公立学校の先生方は部活指導や資料作成などで残業が多くなっていることは私でも知っているところであり。これは問題だろうということで訴訟を提起したのが本件ということになりますか。

争点は給特法の解釈にあるようですね。要するに,給特法3条2項で残業代を支給しないと定めているのは,教職員に命ぜられる残業は超勤4項目に限られているものであって,調整給はその4項目の対価として支給されているものであるから,それ以外の残業の必要が生じた場合にまで3条2項が残業代を支払わないことを予定しているとは解せない,というものです。

至極真っ当な主張に思えます。

私自身は教員の給与体系や行政法にさほど詳しいわけではありませんが,一度は教員を目指した身でもありますから,個人的に注目している事件であります。今後の展開に注目です。

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