弁護側の有罪主張!?~前橋女子高生死傷事件を弁護士が解説

法律時事問題を考察
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こんにちは。刑事事件も積極的に受けていきたい,弁護士の菊川です。

本日,刑事弁護関係について,ちょっと聞いたことがないニュースを目にしました。

1 弁護士側の有罪主張!? 前橋女子高生死傷事件

前橋市の交通事故の件で,一審で無罪が認められた被告人が,第二審で有罪主張をしているとのニュースです。

第一審で「認め」の事案,つまり検察側の起訴内容を全面的に認め,消極的に有罪を認めるというケースはかなりよくありますが,第一審で争いつつ,無罪になったにもかかわらず第二審でその無罪を再度積極的に争うというのは,寡聞にして聞いたことがありません。

しかも,第二審ではあえて費用のかかる私選弁護人に改めて依頼してのことといいますから,なおさら前代未聞ですね。

2 刑事弁護における弁護士の責務

弁護人は,被疑者ないし被告人の利益を最優先に考えて刑事弁護を行います。
このとき,被疑者・被告人の方々は,連日の取調べで疲弊し,やってないことを認めてしまっていたり,うっかり口を滑らせてしまっていることがあります。

このように,被疑者や被告人の方は,実際にやっていないのに有罪を認めるような精神状態になってしまっていることがあります。
そこで,弁護人としては,実際には無罪となるべき事案であれば,被疑者・被告人が罪を認めているというただそれだけで有罪を認めるような弁護活動をすべきではないのが原則です。

また,無罪になりうる事案なのに有罪を認める方針で訴訟を追行した場合,「実は自分は認めていなかったのに弁護士が勝手に有罪と主張した」などと万が一にも言われてしまった場合,非常に困ったことになってしまいますから,弁護人としても方針は慎重に検討する必要があるものです。
特に国選弁護の事案ですといろいろな方がいますし,その受任経緯も信頼関係に基づくものではないのが通常ですから,あとで裏切られる可能性も念頭に置く必要が出てきます。

もちろん,被疑者や被告人の方が無罪を主張しているのに「認め」の方向に持っていくのは言語道断です。
認めのほうが弁護士も楽であるのは間違いないですが,だからといって被疑者や被告人の方の主張を無視してよいはずがありません。こんな弁護士がいたら問答無用で懲戒請求ですね。

3 まとめ

本件では,第一審で何があったのかわかりませんし,国選弁護人との話し合いや当時の弁護方針がどうだったのかわかりませんし,その家族・親族がどのように関与しているのかなどいろいろありますが,いずれにせよ,なかなかに前代未聞なケースじゃないかなと思います。

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菊川 一将

菊川 一将

「弁護士法人アズバーズ」青梅事務所所長弁護士。 小・中・高校の10年間、バスケットボール一筋。2017年に弁護士法人アズバーズに入所。

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