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新宿にある弁護士法人アズバーズ,代表弁護士の櫻井俊宏です。新型ウイルスの影響で,マスク,トイレットペーパー等,どこを回っても売っていなくて困りますね。この機に乗じてこれらの物品を高額で転売していた者が横行しました。政治家でもそのような者がいて,強い非難の対象となりました。

そのような者を取り締まる「国民生活緊急安定措置法」の施行令が改正され,4日後の2020年3月15日に発動しました。

1 どのような制度?

簡単に言うと,
購入したマスクを購入時より高額で売るのを規制する。
といったものです。
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。

下記に参考までに条文を示します。

第2条 衛生マスクを不特定の相手方に対し売り渡す者から衛生マスクの購入をした者は,当該購入をしたマスクの譲渡(不特定又は多数の者に対し,当該マスクの売買契約の締結の申込み又は誘引をして行うものであって,当該衛生マスクの購入価格を超えるものに限る。)をしてはいけない。

第7条第1項 第2条の規定に違反した場合には,当該違反行為をした者は,1年以下の懲役若しくは100万円以下の罰金に処し,又はこれを併科する。


2 憲法に違反する?

この法律は,商売をどのように行うかを制限するという点で,憲法第22条の「営業の自由」を制限するものであると言えるでしょう。
しかし,もちろん,緊急事態であり,国民生活に悪影響を与える行為の合理的な制限であって,憲法に違反するという結論にはならないと思われます。

3 この制度の抜け穴

Yahoo!ニュースによると,問題は,この法律を逃れて,転売を続ける者がいるということです。

この規制に当たらないように,海外から仕入れたものであるので日本内で仕入れてより高額で売った場合ではないことを事前に提示しておく,抱き合わせ販売をして,マスク等を他の商品の販売促進に使う,といった手法が使われているようです。

これでは,脱法ドラッグの規制のときも,
脱法ドラッグに入らないものを制作する→違法な薬物の範囲を広げる,
という,国と違法行為者の間のイタチごっこが繰り広げられていましたが,それと同じ構図です。

4 対策は?

このような脱法行為を法的にやめさせるには,まずは逮捕される者が出て,抑止力を与えてもらうのが一番でしょうか。
毅然とこの制度を適用してもらいたいと思います。

あと,マスク以外のトイレットペーパー等の規制も必要になるかもしれませんね。

5 火事場泥棒はやめよう!

そもそも,このマスク転売行為は,パニックに付け込んで利益をあげようとする点で,いわゆる火事場泥棒となにも変わらないと思います。
このようなことを平気でやれてしまう者が頻出してしまう精神状況になるほど今回のパニックが凄いというのは確かに良くわかります。

ですけども,行為者は,一時は利益が上がるのかもしれないですが,このような卑劣な行為を行うことは最後は何かしらの形で自分に返ってくる,楽な手段で手にいれたお金はあっという間に溶けていく,ということに少しでも思いを馳せていただきたいと思います。

このような者達を助長しないように,私達もインターネット等での過度な購入を控えた方が良いようですね。

 

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