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こんにちは。弁護士法人アズバーズの所属弁護士、菊川です。本日は養育費未払い問題についてお話します。

令和元年5月10日に,民事執行法の改正が可決されました。1年以内に施行されます(有効になります)。

実務的には極めて重要な改正で,結構すごい踏み込みだな,と思っています。

一番の目玉は,「未払養育費の強制的回収が非常にやりやすくなった」ところにあります。
この他に子の引渡しに関する改正や財産開示手続きの強化もありますが,今回は養育費に絞ります。

相手方が裁判や調停などで決められた養育費を支払ってこない場合,裁判所を通して強制執行という手続きを取る必要があります。
これには債務名義と言われる書面(判決書など)を取得した上で,相手方の財産や勤務先を,自分で見つける必要がありました。
しかし,相手方が財産を教えてくれなかったり,職場を秘匿したり,転職したうえで新しい職場を通知しなかったりすると,差し押さえができません。
裁判所はそこまで面倒を見てくれなかったのです。

ところが,今回の改正により,「裁判所(及び公的機関)が相手方財産の把握を手伝ってくれる」ようになりました。

つまり,相手方の預金差し押さえに関しては,裁判所が金融機関に開示命令を出すことにより,相手方の給与差し押さえに関しては,相手方の勤務先を把握している税務署,年金事務所等から情報開示を受けることにより,相手方の財産を容易に把握できるようになったわけです。

これまでは職場の把握のために探偵を雇うなど手間・費用をかけたり,預金口座の差押えのために空振り覚悟で手続きを行う必要がありましたが,これらの手間・費用負担が軽減されることにより,強制執行は劇的にやりやすくなったと言えるでしょう。

預貯金を全く持たず,定職にもついていない相手方からは依然として回収はしづらいですが(「無いものは取れぬ」のです・・),そうではなく,預貯金をある程度保有し,定職についているような,誤解を恐れずに言えば真っ当な生き方をしている相手方からの回収可能性はかなり大きくなったと言えます。

個人的に,そしておそらく多くの実務家の弁護士も,かなり凄まじい転換だと思っています。この流れで損害賠償等の債権についても同様の改正が進むと嬉しいのですが・・。

何にせよ,改正法施行後は養育費の回収がやりやすくなります。
これまで泣き寝入りだった権利者も,反撃に出られる場合が出てくると思われます。

養育費未払いはアズバーズにご相談ください。

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