こんにちは。新宿・青梅・三郷の法律事務所,弁護士法人アズバーズ,代表弁護士の櫻井俊宏です。
先日,ミネルヴァ法律事務所の仕組み等について話しました。
今回は,同事務所が所属している第一東京弁護士会の行った対応等についてお話したいと思います。
1 債権者破産
今回,第一東京弁護士会は,弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所に対して,債権者破産を申し立てました。
この事務所は,弁護士会費を滞納していたので,第一東京弁護士会も債権者だったからです。
破産と言えば,借金を抱える債務者が裁判所に申し立てるものと思いがちではないでしょうか。
しかし,債務者に対して,債権を持っている側も破産申立てをすることができます。
・いつまでも債務者が破産等をしないと埒が明かないこと,
・破産が認められることによって,債権が得られないことが確定し,税務上,「損金」として計上(得られないお金として確定させマイナスとして計算すること。その債権について税 金が発生しなくなる。)ができる,
・破産手続を行うことによって,債務者の財産が調査され,実は財産がある場合には一定程度返済される可能性があること,
以上のことから,そのような破産申立が認められています。
今回の件では,早々に破産手続に乗せることによって,更なる被害者の拡大を防ぐ意図があったといいます。
2 弁護士が破産するとどうなるか
これについてお話するにあたって,まず,今回のミネルヴァは弁護士法人なので,弁護士法人自体が破産することになります。
そして,弁護士法人は,株式会社等と違って,役員である弁護士が法人の借金をそのまま一緒に負います。
このことから,代表の川島弁護士はこの借金をそのまま負うことになります。
今回の破産で川島弁護士についても破産申立がされたかどうかは明らかにされてはいません。
ですが,もし弁護士が破産した場合には,免責という借金がチャラになる手続が出るまでは弁護士資格を有しません(弁護士法7条4号,破産法255条1項1号)。
3 その他の方策について
更に,第一東京弁護士会が懲戒処分を行うのは当然でしょう。
破産しただけでは,すぐに復帰をする可能性もなくはありません。
弁護士会が「除名」という懲戒処分をした場合は(弁護士法57条),3年間,資格復帰することもできなくなり,とりあえずは更なる被害拡大を抑えることができるので一安心です。
その他,弁護士会がやるべきことかはわかりませんが,刑事告訴等を行うことが考えられます。
非弁行為の罪(弁護士法72条違反,2年以下の懲役又は300万円以下の罰金),詐欺罪(刑法246条。10年以下の懲役),業務上横領罪(刑法253条。10年以下の懲役)すら考えられそうです。
今回,51憶円まで借金が膨らむまで何も発覚しなかったのは信じられない事態です。
今後,明らかに苦情の多い事務所等には,弁護士会が立ち入り調査をする,ぐらいのことは必要なのかもしれません。