最近、コロナの陽性者数が過去最高で増えてきましたね。東京都だけでも3万人を超えています。
確かに周囲でも感染している人は多いですが、これは異常では?
と思っていたら、びっくりするお話を聞きました。
新型コロナ対応の医療保険というのがあり、頻繁にPCR検査を受けて、保険料をもらおうとしている人達がいるというのです。

【参考】モラルなき感染者激増 保険金目当て?

一時期、新宿区で、感染者に見舞金10万円が支払われるという制度ができました。
そのときも、わざとコロナに感染して10万円の支給を受ける人があらわれるのではないかと考えましたが、民間の保険とは…
よくいろいろ考えるものです。

東京 新宿区は、区内の繁華街の関係者を中心に新型コロナウイルスへの感染が相次いでいることを受けて、区独自に、感染が確認された区民に1人当たり10万円の見舞い金を支給することを決めました。    NHK

その他にも、なんなら、ただ会社を休みたいがためにPCR検査をしきりに受けている人もいるのではないでしょうか。

 

わざとコロナに感染しているのか?
わざとコロナに感染しているのは医療保険のため?休みたいだけ?
わざとコロナに感染するのは詐欺?

ということについて解説したいと思います。

https://as-birds.com/media/wp-content/uploads/2020/09/CW_6152793-01-460x460.jpg

千代田区・青梅市の法律事務所、弁護士法人アズバーズの代表弁護士で、中央大学の法務全般を担当する法実務カウンセルの弁護士櫻井俊宏が解説します。

1 わざとコロナに感染しているのか?

結論から言うと、故意にPCRを頻繁に受けている人、わざとコロナに感染しようとしている人は絶対にいると思います。

そんな人がいるわけないだろうという性善説的な意見もあるかと思います。
しかし、本当はもらえる要件を満たしていないのに持続化給付金を受け取る等の給付金詐欺が、一般の方のみならず、税理士・弁護士等の有資格者でも行われてきたこの現状を見ても、まだそんなことを言っていられるでしょうか。
持続化給付金詐欺 約100万円だまし取った税理士の男 逮捕

しかも、公共団体まで、大事な税金を、給付金の振込作業を介して、その企業に莫大な利益をあげさせるようなご時世なのですから…
「給付金」委託費 電通、パソナ等3社で分け合う

実際、中野に行ったときに、平日であるにも関わらず、無料PCR検査に大行列ができていました。
これを見て私はびっくりしました。私のような自分で事業をする者にとっては、陽性であることが発覚すると、働けない状態にされてしまうので良いことはないからです。
つまり、何かしらの理由で、陽性であると認定されたい人がいるのでしょう。

実際、確かに周りで罹患している人は多いのですが、激増し過ぎですよね。

どのように罹患しているのでしょう?
わざと夜の街に出る人もいるでしょう。
あえていろんな人に接触する人もいるのでしょうか。
既に罹患している人にわざと濃厚接触する人もいるのでしょうか。

症状がひどくない傾向がある今のコロナの症状だからこそ、「かかっても大丈夫」と思ってトライすることなのかもしれませんね。

 

2 わざとコロナに感染するのは、コロナ保険?休みたいだけ?

コロナに対応する医療保険というのがあるのです。
月1000円前後ぐらいの掛け金で、例えば、こちらによると、最高60万円まで受給できるとのことです。
新型コロナ対応の医療保険

生命保険の場合は、これから余命が短い人だと、すぐ亡くなった際に多額の生命保険が支給されることになるので、ある程度健康な人しか入れないように、健康等についていろいろチェックされる場合があります。

しかし、医療保険の場合は、これと違って、体調のチェック等はほとんど必要ありません。
すなわち、簡単に加入できます。

そこで、このような状況になったので、医療保険に入って、コロナに罹患して支給してもらうことを狙っている人がいそうです。

実際、採算が合わなくなってコロナ対応の医療保険をやめた保険会社もあるそうです。
再流行で採算合わない!新型コロナ保険の販売停止

このようなわざとコロナにかかる人が多いことの影響もあるかもしれませんね。

ただ隔離されて会社を休みたいだけという人もいるのではないでしょうか。
それなりの会社であれば、有休を使わずに、給与ありで休むことができます。
実際に罹患した人であれば10日間、症状が出ていない陽性者でも7日間は、隔離、すなわち休業することができます。
PCR検査を受けてそのように認定されれば、
「ラッキー!」
という人もいますよね。

3 わざとコロナに感染するのは詐欺!?

わざとコロナに感染するのは詐欺罪(刑法246条)となるのでしょうか。

まず、会社を休むための場合は、確かに休んで給料を得ているのですが、会社を騙したとまではいいがたい側面があるため、詐欺罪とはいえないでしょう。少なくとも、会社を騙してお金を得ようとする「故意」は立証できないと思います。

保険の場合はどうでしょうか。
いにしえより、「保険金詐欺」というものはあふれる程存在します。
例えば、交通事故の場合も、事故に遭って、痛くないにも関わらず、通院をいつまでも続け、通院していたことによる慰謝料を受け取ろうとする人は多いです。
このような場合、保険会社では「モラル事案」という認定をし、弁護士を代理人に立てて厳格な対応をする場合もあります。

給付してもらうために、わざとコロナに感染しようとするアクション、例えば、誰かと飛沫を飛ばし合っているということが動画等で残っていれば、給付金を請求して受け取る行為は、詐欺罪となることもありえるでしょう。

先程ご説明した、夜の街に積極的に出ていくということぐらいでは、詐欺行為とはいえないものとして、詐欺罪にはあたりにくいと思います。

コロナで、炙りだされ、日本という国もきな臭いことが多く行われていたことがいろいろ明らかになってきました。
国もそうであれば、国民個々人もです。
しかし、まだ安心できるのは、詐欺等の犯罪をした者が確実に捕まっていて、司法が機能していることです。
報道等で流れる捕まっていることを教訓にして、コロナにわざとかかるようなことはやめた方がよいでしょう。
(2022.8.24記事内容更新)

 

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