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新宿・青梅・三郷の法律事務所弁護士法人アズバーズ,代表弁護士の櫻井俊宏です。

普通の駐車場で「無断でとめたら1日罰金10万円」という看板をつけていた場合,無断駐車をした者から1日10万円とることはできるでしょうか。

無断駐車に対する対処法と合わせて解説します。

1 無断駐車者から罰金10万円をとれるか

これは,一方的に看板に書いて,加害者が無断で駐車したとしても,契約が成立したわけではないので,10万円という大きな金額は生じないでしょう。

けれども,近隣の駐車場と比較して妥当な賃料相当の金額の損害賠償請求は,所有権を侵害したものとして当然発生しますので,裁判でそれを請求することはできそうです。

ただし,1日程度の無断駐車代であれば,裁判費用の方が高くなってしまうので,実効性がなくて大変です。

2 無断駐車が続いた場合はどうか

例えば駐車場を貸していた相手が駐車場代を支払わず無断駐車が続き,貸した相手に連絡しても出ないという場合,当然レッカー車で持っていって欲しいと思うはずです。
しかし,行政がそのようにしてくれる制度というのは私が知る限りではありません。

では警察がなんとかしてくれないでしょうか。

警察は「民事不介入」と言って,民事の事件に関わることができないので,犯罪が成立しそうな場合に限り,捜査をしてくれます。
無断駐車する際に自動車の所有者が駐車場に侵入したということで,住居侵入罪(刑法第130条)が成立するかもしれません。しかし,実際に家の中まで侵入しているような状況ではないので,警察も取り合ってくれにくいと思います。
私的にレッカー車で持っていくというのも,いずれにしろ保管料等がかかるので現実的ではありません。

このことから,法律に則って解決していくしかありません。

3 明渡訴訟

そこで,土地の所有権に基づいて明渡の訴訟を提起します。
建物の賃貸借契約がある場合に,賃料を支払わずに住み続ける者に対して行う,明渡訴訟と同じです。

まず,訴訟を提起するためには相手方の住所がわからないとダメなので,車両のナンバーに基づき,陸運局にその車両の登録(事項証明)証を発行してもらいます。その登録証に,車両の持ち主の住所が記載されています。

そこで,その住所を記載して,訴状を裁判所に提出します。これが訴訟提起です。
裁判所は,相手方の住所に訴状を送ります。それが届けば裁判が始まります。

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しかし,本件のような場合は,相手方は訴状を受け取らない場合が多いでしょう。
この場合,弁護士が,相手方住所地を調査してから裁判所に申請することによって,訴状が届かなくても裁判が始まるようにすることができます。
この場合,相手方が裁判に出なければ,勝訴することができます。

いずれにしても,勝訴すれば,裁判所が自動的に自動車を引き上げてくれるというわけではありません。
今度は強制執行という手続が必要となります(民事執行法)。

強制執行が無事終了すれば,車両を引き上げてもらい,裁判所がひきとり,競売の手続をすることになります。

法律上,「自力救済禁止」というのですが,自分で勝手に自動車を廃棄することはできません。
これは,賃貸借契約の途中で賃借人が失踪したときに,その持ち物を勝手に廃棄できないのと同じです。

上記のように非常に面倒な手続を執らざるを得ないのです。

このことから,賃貸借契約においては,建物賃貸借はもちろん,駐車場の賃貸借においても,貸す相手が信用できるかどうかは初期の段階で良く検討する必要があると言えます。

 

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