自民党の熊本県議ら13人が賭けゴルフについて常習賭博罪で書類送検をされたと報道がされています。
熊本県の自民党県議ら13人が賭けゴルフの疑い…常習賭博容疑で書類送検、3月に告発状

以前に賭けゴルフ疑惑が問題となった増永慎一郎熊本県議ではないのでしょうか。
【賭けゴルフ+女性問題】ダブル報道

なぜか全国的ニュースメディアの記事では名前が出ていないのが不思議ですね…
自民党の国政選挙における向かい風もあり、なにかいろいろな力が働いているのでしょうか。

それにしても、もし増永議員のことであれば、元愛人が、増永県議と5年の不倫関係があることを明らかにした上、賭けゴルフのことにも触れていたというセンセーショナルな内容です。
不倫だけであれば、民事の賠償の問題にすぎないですが、賭けゴルフに関する疑惑も上がっているようで刑事的な問題も当時から浮上していました。

以前には、2020年頃、巨人の原元監督の賭けゴルフ疑惑報道がありました。
原監督は、以前の巨人第二次政権終了となったのは女性とお金がらみという問題行動によるものだったと思いますが、このとき「若大将」はやはり基本的にやんちゃなのかなと思いました。
当時の日刊スポーツの記事「原辰徳氏1億円の文春報道は真実 巨人の敗訴確定」

県議の賭けゴルフについて、どのような賭博罪が成立して犯罪となるのか!?

・以前の週刊ポストの増永県議についての報道内容
・賭けゴルフやマージャンは賭博罪で犯罪となり逮捕等されるのか?
・内輪でも賭けゴルフ等が実際に犯罪となった例
・原元監督の報道の際の内容 愛甲氏の発言は問題ないのか!?

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弁護士法人アズバーズの代表弁護士で、中央大学の法務全般を担当する法実務カウンセルの弁護士櫻井俊宏が解説します。

1 週刊ポストの増永県議についての報道内容 結婚の念書 ストーカー扱い 賭けゴルフ

週刊ポストの増永県議についての報道内容 結婚の念書 ストーカー扱い 賭けゴルフ増永県議と愛人関係にあったAさんは、増永県議が、妻と離婚して、結婚してくれると言っていたと証言しています。
また、増永県議は、令和5年4月には、「8月15日までには離婚する」という念書まで書いていたということです。

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事務員

不倫の事件は、皆、この「結婚するする詐欺」が現れますね…

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櫻井弁護士

しかし、離婚の約束は実行されなかったので、Aさんは増永県議の自宅にFAXで念書を送ったとのことです。
これに対し、なんと増永県議は、ストーカー防止法に基づいて警察に訴え、「禁止命令」(ストーカー相手に対する接近を禁止することを警察が命令すること)を出してもらったとのことです。

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事務員

本当であれば、なんともひどい話ですね…

そこで、Aさんは頭にきて、週刊ポストにこの話を持ち込んだようです。
最近、昔のことについて報道を用いて私的制裁を行うかのような件が多発しているように思いますが、この件は、Aさんの気持ちもよくわかるな、と思います。

そして、それ以外にも、Aさんは、増永県議の賭けゴルフ疑惑に関するLINEを提出したようです。
そこには、自民党県議らでゴルフをしているメンバーの名前やスコア、〈俺は75で合計6000円の勝ち!!〉といった内容が記載されていたとのことです。

自民党・熊本県議、14歳年下女性との不倫トラブルで露見した”賭けゴルフLINE”

2 賭けゴルフやマージャンは賭博罪で犯罪となり逮捕されるのか?

賭けゴルフやマージャンは賭博罪で犯罪となり逮捕されるのか?賭博罪は、刑法185条で、

「賭博をした者は、50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りではない。」

となっています。量刑としては軽いですね。
これに対し、刑法186条1項の常習賭博罪は、【3年以下の懲役】なのでそこそこ重いです。ただ、「常習性」というのは、頻度・賭博の種類、賭けた金額等を総合して判断した結果(最高裁昭和24年7月29日判例)、【中毒と言えるようなレベル】の場合に認められるものなので、この件で常習賭博罪が問題となっているのは、凄いですね。

そして、条文にあるように、「一時の娯楽に供する物」はOKです。
その日のご飯を奢るとか合計数百円の受け渡しとかは明らかに大丈夫ということになります。

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事務員

では、これを越えてくると、逮捕されたりするのでしょうか。

賭博罪というのは、ギャンブルをすることによって国民の勤労意欲を奪ったり、健全な財産状態を阻害することを防止するという理由で出来た犯罪です。
しかし、実際には、友人同士等での賭け事はこの目的から遠いこと、投資等との違いがわかりにくいこともあるのでしょうか、私的な賭博においては、実際に捜査が動いて逮捕や裁判とまではなりにくいです。

特に、麻雀に関しては、みなさんも少し覚えがあると思いますが、2020年頃、黒川元検事が1000点100円で賭け麻雀を繰り返していたことについて、捜査が動かなかったことから、テンピン(1000点100円)なら問題ないという「黒川ルール」が実務において事実上基準となるので、なかなか捜査が動きにくいのではないかと思います。

 

3 内輪での賭けのゴルフ等が実際に犯罪となった例

内輪での賭けのゴルフ等が実際に犯罪となった例では内輪で行った賭け事で犯罪となった件はないのでしょうか。

2006年に、NECで行われたゴルフコンペで、1口200円でゴルフコンペの成績優秀者を予想して賭けた件で、3000円ぐらいの配当であるにも関わらず、61人が書類送検されたそうです。
賭けの申込書を「馬券」と呼んでいたそうですが、品がなく、良くないととられたのでしょうか。
2007年も医師の賭けゴルフで、5万円配当された件で書類送検されたそうです。
麻雀のケースでは、1998年にタレント・あの漫画家の蛭子さんが、賭け麻雀で実は逮捕されています。

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櫻井弁護士

蛭子さんはこれまでにギャンブルで1億円以上負けているとのことです。


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事務員

凄いですね…

4 原元監督の際の報道内容 愛甲氏の発言は問題ないのか!?

原元監督の際の報道内容 愛甲氏の発言は問題ないのか!?2020年の7月2日の週刊新潮によると、十数年前に行われていた原監督の賭けゴルフ疑惑は、1回で数十万円のお金が握られていたとのことです。

なお、ゴルフで賭けをすることの隠語であるこの「握る」という言葉、聞いたとき、クラブを握ることか何かから作られた造語かと思っていました。
しかし、実際は、握手をすることによって賭けの契約が成立していたことから「握る」というそうです。

元ロッテの名選手愛甲猛氏も、原監督が、ラスベガスというルールで1ポイント500円で賭けを行っていたと証言しています。
愛甲猛氏も証言 「巨人・原監督」の超高額賭けゴルフ

この発言、そもそも愛甲氏も犯罪的行為をしているということでブーメランになってしまわないでしょうか。
実はこの点に関しては、単純賭博罪は3年で公訴時効(刑事訴訟法250条2項6号)、つまり犯罪を追うことはできなくなります。
原元監督の事案のような10数年以上前に行われた賭けゴルフについては時効ということになります。

原監督に対する名誉棄損罪(刑法230条)は成立しないでしょうか。
犯罪的な行為を行う人だと思わせることになり、原監督の外部的評価を下げる発言ではあります。
その発言内容が真実でなかったとしても名誉棄損罪が成立することはあります。
また、原元監督は、巨人の監督までやっていた元名選手ですが、公人とまでは言えません。

このことから名誉棄損罪は一応成立しうると思います。実際に捜査が動くような事案ではないと思いますが…

いずれにしろ、自分が賭博罪で捕まらなくなった今、もし週刊誌に情報を売ったとしたら、道義的にはいかがなものでしょうか…

5 まとめ

麻雀やゴルフが上手い人によると、賭けがあるからこそ強くなれるということがあるようです。
お金の問題で身を滅ぼさないような人であれば、少しぐらいは容認されてもよいのでしょう。ただ、国民の模範とならなければならない政治家先生であれば、また話は違うと思います。

まして、それが不倫関係によるもつれで発覚するというのは…
もしそうなのであれば、反省いただきたいですね。

【2024.11.6記事内容更新)

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