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コロナ禍で賃料減額交渉をしている事業者の方は多いと思います。
賃料が妥当額でなくなっているにも関わらず、この交渉が功を奏さない場合、どのように賃料減額を請求していけばよいか、または増額はどのようにしたらできるか、
一方的な増減額通知が持つ意味、
上手な増減額交渉の仕方や、
交渉がうまくいかない場合の調停・裁判手続等
も合わせて解説していきます。
新宿・青梅・三郷の法律事務所、弁護士法人アズバーズ、代表弁護士の櫻井俊宏が執筆しております。
1 内容証明郵便の一方的通知だけでは増減額できない!?
賃料増減額請求の交渉がうまくいかない場合は、一般的には、内容証明郵便で賃貸人に対し、
例えば「現在賃料は40万円ですが、不動産相場の変動により30万円が適正となっているので、賃料30万円に変更することを請求します。」というような書面を送ります。
ただ、これだけでは、当然に賃料が変更されるわけではないので注意してください。
逆にいうと、賃貸人が一方的に「〇〇円に賃料を増額します。」と通知してくるというケースが非常に多くあります。ここだけの話、JR東日本等は、線路の下にある土地建物に関し、そのような通知をしてきた事案を何回か見たことがあります。
それだけでは賃料は増額になりませんのでその点はご安心ください。
私が手掛けた案件の中で、相手である賃借人が一方的に減額の通知をして、その金額しか支払わない状態が3年間続いたというケースがありました。
こちらは明渡しと未払い分3年分全部の支払いの裁判を提起しました。
相手方は、こちらが減額した賃料を受け取り続けたのだから、賃料変更の「黙示の合意」が成立したと主張してきました。
しかし、そのような主張は認められず、未払い賃料相当額を全額支払った上でこちらに有利な条件で新しい賃貸借契約を締結するという内容で裁判上の和解、実質勝訴となりました。
2 うまく賃料減額の交渉をするための弁護士流の方法
コロナ禍で多かった、賃借人の賃料減額請求交渉のコツをお伝えします。
賃料増減額の交渉は、基本的には強制的にできるという交渉材料があるわけではありません。
このことから,本当に
「出ていく気もある。」
という雰囲気を持って交渉にのぞみましょう。
もし単純に賃料を下げてもらうことが難しいのであれば、
「~月までで良いから,○○円にしてもらえないでしょうか。」
と期間を限定して交渉をしましょう。
ずっと下がったままでは賃貸人も嫌でしょうから、期間を限定すれば、下げてもらえる可能性もあるわけです。
コロナの影響等、支払いが難しい状況が長引きそうであれば、また再交渉すると良いでしょう。
もし、不払いになっても賃借人に居座られると、賃貸人が建物明渡を強制的に行うのはなかなか大変です。
裁判所に明渡請求訴訟を行い、強制執行という手続もしなければならないわけです。
少なくとも終わるまで半年ぐらいの期間がかかりますし、費用についても、少なくとも弁護士費用も入れると100万円ぐらいの費用がかかります。
このことを念頭において、賃借人の側では、賃貸人も「不払いになって居座られたら困るな」と思っていることを念頭において交渉すると、よりやりやすいかと思います。
賃料増減額の交渉がうまくいった場合「覚書」として、簡単にでもいいので、
「…の賃貸借契約につき、~月から賃料を○○円とする。」
という内容を記載し、日付を入れ、両者の住所・氏名を記載し押印しましょう。
こちらも参考にしてください。
賃料を減額してもらうには?賃料減額請求とガイドラインについて
3 賃料減額請求の調停
賃料増減額の交渉がうまくいかず、賃料減額に関する通知を出した後、賃貸人または賃借人がその請求に応じてくれない場合は、裁判所に、賃料増減額請求の調停という手続を申し立てます(借地借家法26条の2)。
賃料増減額の請求については、賃貸借契約の両当事者という、これからも仲良くしていかなくてはならない同士であるので、いきなり裁判を行うことはできず、まずは話し合いベースの手続である調停を先に行う必要があるということになっています(調停前置主義)。
調停委員という2人の不動産の専門家が裁判官をサポートし、両当事者から意見・事実関係を聴きつつ、専門的な観点から、話し合いにより両者の合意を目指す手続です。
両者の意見が完全に一致すれば、調停成立となり、調停調書というもののとおりに賃料が設定されることになります。
この手続は不動産の件には珍しく、地方裁判所でなく、簡易裁判所で行います。
東京の件でも、霞が関の裁判所ではなく、錦糸町の簡易裁判所です。
4 賃料増減額請求の訴訟
調停はあくまで話し合いの手続ですから、この中で両者が合意できない場合には賃料増減額請求の裁判を提起することになります(借地借家法32条)。
この裁判内で、例えば30万円の賃料が裁判所の判決で適正ということになれば、内容証明郵便を送った時点、すなわち賃料減額の意思表示が賃貸人に到達した時点から、30万円という新しい賃料に変更されたものとして計算されることになります(最高裁昭和45年6月4日判例)。
この裁判の中では、通常、鑑定という手続が行われます。裁判所が不動産鑑定士に命じて、その不動産の賃料はいくらが適正額かを記載した専門的な鑑定書を作成させるものです。
これについては、不動産の規模や所在地により、100万円を超えるようなという高額の鑑定費用がかかることもあるので、この裁判を行う場合には事前に注意が必要です(鑑定費用は、最終的には裁判所がその費用を原告・被告に折半ないしそれに近いかたちで負担するよう命ずることが多いですが、一旦は鑑定を申し出る側が全額を立て替えて支払わなければなりません)。
この不動産鑑定士の鑑定書をもとに、裁判官主導で和解の話し合いが行われるのが通常です。
ここで、両者の賃料額に関する意見が一致した場合には和解調書というものが作成されます。判決と同様の効力があります。
両者の意見が一致しない場合には、裁判が進み、賃料額についての判決がでます。
減額の判決が出た場合はその新賃料を支払えば問題ありません。
内容証明郵便送付以降、支払っていた額と違う場合は,差額をどちらかが支払って調整するべきでしょう。