こんにちは。石川県は七尾市出身の弁護士菊川です。
チラシも絵面も色も凄まじいですね・・・唯一の優しさクリームコロッケに愛を感じます。
私は辛いものは比較的イケる方だと思っているのですが,例えばカレーのCoCo壱番屋さんなどでは4辛が限界ですので,これは果たして辛いもの得意と言ってよいのやら・・・。
久しぶりにココイチ食べたくなってきました。青梅のココイチは当事務所から遠いのです・・・。
さて,このお店の面白いシステムとして,食べる前ないし注文する前に誓約書を客に記載してもらうというものがあります。
曰く,自身の体に異常が生じても全ては自己責任であり,貴店(大衆酒場Sembello。いい名前ですね,せんべろ。)には一切の責任がないこと,同伴者も同様であることと等,要するに死神カレーを食べて体調を崩してもお店に責任はないという旨の誓約書ないし確認書になっています。
おそらく死神カレーを注文する方は皆様ノリがよろしいのでしょうから,食後ある程度体調を崩すこともネタにされるつもりでしょう(?)。
そうであれば後日問題が起こることはなさそうですが,万が一,致命的な体調不良を起こしてしまった場合等にはどうなるのでしょうか。その場合でも誓約書があるからお店は絶対に責任を負うことはないのでしょうか。
答えは,「お店が責任を負う場合はありうる」です。
この誓約書は,要するに体調不良が生じてもその責任は問わないことを明言しているものですが,法律的には損害賠償請求権の事前放棄,もしくは同意に基づく不法行為の違法性の阻却ということになるかと思います。
この種の同意の法的効果については,「殴られることに同意している被害者を殴った場合,加害者は免責されるか」という刑法上の論点が有名です。
誓約書・同意書とは言え,想定外の事態が生じた場合にまで絶対の拘束力を持つものではありませんし,誓約書があるからと言って直ちにあらゆる記載が正当化されるわけではありません
どの程度までその効力が認められるかはケースバイケースです。
死神カレーの場合は,料理提供という行為そのものは違法性が全くない行為であることから,違法性が阻却されうる方向から検討が始まると思います。
ただ,例えば調理に用いたスパイス等成分が健康基準などから見てどの程度使用されていたか等,死神カレーそのものの構成の問題や,明らかに辛いものを食べるべきではなさそうな年齢の客に提供した場合には,違法性が阻却されない方向性に傾く事情になるでしょう。
事前に誓約書を記載しておけばオールオッケーというわけではなく,店の側で不慮の事態が生じることを未然に防止するための施策を取っていたかどうかという点も重視され,店の責任が判断されることになりえます。
例えば,死神カレーの前に段階を設けて,その前段階を経験した客でないと注文できないとか,大量に摂取することで健康を害しうる成分を用いている場合にはその分量を掲載するとか,事前に味見などをさせてから注文させる等手を尽くした上であれば,店の責任が問われる可能性を下げることができるんじゃないかと思います。
利用客は大学生などが多く,先にも書いたとおりノリで注文するお客さんが多いでしょうから問題になることはないと思いますが,最近では親御さんもいろいろ介入するケースが多くなってきていますから・・・。
何でも法律で縛るのはよくないですが,いろんな価値観をもった人がいらっしゃいますから,自己防衛は大事ですね!ということです。近い内にココイチ行きたいですね。