著作権と二次創作活動~「クッパ姫」とは・・

菊川 一将
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こんにちは。弁護士法人アズバーズの所属弁護士、菊川です。みなさま,「クッパ姫」をご存知でしょうか?

「クッパ」とは焼肉屋にでてくるおいしいアレではなく,誰もが知る任天堂のマリオシリーズに登場する,マリオの敵役のアレです。それが姫化したのがクッパ姫です。多分何言ってるか全然わからないと思います。

マリオシリーズの最新作に「スーパークラウン」なるアイテムが登場しているようで,プレイアブルキャラクターの一人のキノピコがこれを手に入れると,ピーチ姫に似た姿に変身するようです。
この「取ると(ピーチ)姫(みたい)になる」ことから着想を得て,海外のユーザーが考案したのが「クッパ姫」ということのようです。つまり,クッパがスーパークラウンを取って姫のようになったのがクッパ姫ということですね。

誕生の経緯を見れば明らかなように,任天堂が公式に発表したキャラクターではなく,公式の設定を元に,ファンが空想を膨らませて作成した二次創作キャラクターです。ファンアートともいいます。

これがツイッターを中心に爆発的に人気が高まっているようです。
ファンアートでちょっとブームになる程度なら問題ないかもしれませんが,聞くところによると,数千名の有志が署名活動を行い,クッパ姫を公式設定として認めるよう任天堂に対して求めるということのようです。

そもそもゲームや漫画のキャラクター等のファンアートは,創作自体には違法の問題は生じませんが,これを有償頒布したり,著作者の意思に反した改変をすると,知的財産権分野での問題が生じてきます。

ファンアートについては,法的に許される範囲を超えた(訴えられたら負ける可能性が高いもの)ものはたくさんあると思われますが,その多くは公式側の見て見ぬふりによって事実上許されているか,最近ですと公式側が許容性について事前にアナウンスすることもあるようですので,それによって許されているものです。

そんな状況なのに,あえて公式側に設定を認めるよう要求するのは,まさしくヤブヘビにほかならない気がしています(任天堂は著作権に厳しいと聞きますから,何もしなくてもアナウンスをするのかもしれませんが)。未成年に刺激が強いとされるべき内容のものも多々ありますから,公式から厳しい反応がある可能性もあるんじゃないでしょうか。

任天堂がどのような対応をするのか(それともしないのか),注目が集まります。
ちなみにクッパ姫が最初に話題になったのは2018年の9月22日頃のようです。わずか数日で爆発的なブームになるあたり,任天堂はさすがというべきですね。

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菊川 一将

菊川 一将

「弁護士法人アズバーズ」青梅事務所所長弁護士。 小・中・高校の10年間、バスケットボール一筋。2017年に弁護士法人アズバーズに入所。

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