【弁護士が離婚問題を解説】嫁姑問題では離婚できない?あるあるの原因と夫のとるべき対応も併せて解説!

離婚・男女問題事件

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櫻井弁護士

こんにちは。新宿・青梅・三郷の法律事務所,弁護士法人アズバーズ代表弁護士の櫻井俊宏です。

嫁姑問題 は文化と言ってもいいほど、古くからある問題です。従来型の同居が減少して嫁姑の直接的な接触は減ったものの、姑との関係が原因で夫婦関係にヒビが入る、というケースはめずらしくありません。

本記事では、嫁姑問題の概要を記した上で、そもそも姑が原因なのに夫婦が離婚できるのか、そのとき夫がとるべき対応についても解説していきます。

1 嫁姑問題

嫁姑問題とは、嫁と姑の間に起こる確執やトラブルのことです。一回きりの争いではなく、日常的に継続する不仲やいざこざを意味します。

「嫁」と「姑」、年齢や立場、価値観も異なるため、さまざまな場面で確執が生じることになります。

(1)具体例

嫁は姑にどのような不満を抱えているのか、主なものをいくつかピックアップします(カッコ内は嫁の年代)。

① 嫌味を言ってくる

「私のやることなすこと何でも文句をつける」(60代)

『ご両親がダメだから、あなたも常識がないわね』(40代)

『料理の味が濃い。センスがない』(30代)

② 育児や夫のことについて口出しする

『子どもの肌荒れは母乳が良くないからじゃないか』(20代)

『息子の帰宅が遅いのは、あなたが至らず居心地が悪いから』(40代)

③ よそ者扱いをする

「話していても絶対に目を合わさないし、偶然合ってしまったときはあからさまに顔を背ける」(30代)

「夫の前では表に出さないが、夫が席を外すと会話はなく、いないも同然の扱い」(30代)

④ その他

『そのお肉高いのよ。息子のために買ったんだから、あなたは野菜を食べなさい』 (40代)

「仕送りを強要する」(50代)

(2) 原因

 嫁姑問題の原因には姑・嫁の各自がもつ問題点、そして夫にも原因があります。

【姑の原因】

・ 子離れできず、子に依存または過干渉
・ 古い価値観
・ 自己中心的

【妻の原因】

・ 家事や育児に問題がある
・ 自己中心的
・ コミュニケーションが苦手

【夫の原因】

・ 自立できておらずマザコン
・ 両者を公平に扱おうとする
・ 無関心

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2 嫁姑問題で離婚できるのか

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櫻井弁護士

いつの時代も嫁姑間で多少の確執はやむを得ませんが、問題が深刻化してくると離婚も視野に入ってきます。

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事務員

けど夫婦にとって姑は部外者ですよね。その部外者と妻の不和を理由に夫婦が離婚できるのでしょうか?

(1)協議離婚、調停離婚

離婚には、協議離婚・調停離婚・裁判離婚という3段階があり、まず協議離婚に取り組みます。夫婦の話し合いによる離婚です。

協議離婚では夫婦間で合意さえあればいかなる理由でも離婚することができるので、嫁姑問題を理由とする離婚も可能です。

調停も裁判所での話し合いの手続きであり、夫婦が離婚に同意すればその理由を問いません。

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(2)裁判上の離婚

協議離婚、調停離婚が成立しない場合には、裁判を起こして離婚を求めることになります。

裁判で離婚が認められるには「法定上の離婚原因」が必要であり、民法770条1項に次の5項目が規定されています。

1 不貞行為
2 悪意の遺棄
3 3年以上の生死不明
4 回復の見込みがない強度の精神病
5 婚姻を継続し難い重大な事由

このうち、嫁姑問題は5の「婚姻を継続しがたい重大な事由」に該当するかが問題となります。

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事務員

へえ~。姑との不和は、この5番目の理由に該当するんですか?

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櫻井弁護士

夫婦の離婚をもたらす「婚姻を継続し難い重大な事由」とは、夫婦間に問題があることを前提とします。したがって、姑の言動や嫁いびり、折り合いが悪いことをもって離婚事由とすることはできません。

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事務員

そうなんですか。じゃあ嫁姑問題に対する夫の対応の悪さはこれに該当しますよね?

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櫻井弁護士

そうですね。夫婦は婚姻関係を良好に維持するため互いに力を尽くす義務(最高裁昭和38年10月24日判決)を負っています。嫁姑問題で良好な婚姻関係が害される場合には、夫は、嫁と姑の間に入って仲裁する責任があるのです。

夫がその義務を怠ったために妻が夫に対して強い不信感をもち、その結果、婚姻を継続できない状況になれば、離婚事由に該当することになります。

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(3)判例 

離婚裁判では、夫婦の意思には関係なく裁判所が強制的に離婚を決めるため、その判断は極めて慎重に行われます。嫁姑問題が影響する離婚請求事件では、多くの場合、上記の「夫の仲裁」以外にも下記の事情が合わせて考慮されています。

・ いじめの程度がひどい
・ 家庭内別居状態、または、実際に別居中
・ 妻が離婚を望んでいる

具体的に過去の裁判例を見てみましょう。

① 名古屋地裁一宮支部昭和53年5月26日判決

妻から夫に対する離婚請求事件です。

姑が同居する妻に対して、「嫁は食べろと言われても遠慮するもんだ」「あんたは太っていて大丈夫と思ったが豚肥で取り柄がない」などと言い、また、嫁の両親に対しても「茶碗は悪し、地味な女で新婚らしくない、相返答も出来ない、何一つとして取り得の無い出来の悪い嫁だ」と非難した。

・夫の対応 

夫も、姑による嫁(妻)への悪罵干渉を抑制するどころか同調して妻の努力を認めず、反抗すると直ちにその両親を呼びつけて親族ともども一方的に非難していた。

・別居の有無や相手の離婚意思 

妻はこのような家庭状況の下で陽気になりえようもなく、その後別居に至り、最終的に夫婦の双方から離婚裁判を提起した

【判決】

裁判所は、夫と姑による所為は婚姻を継続しがたい重大な事由にあたるとして離婚を認め、200万円の慰謝料を支払うよう判決しました。

② 東京地裁平成17年1月26日判決

婿と姑(妻の母)の不和を原因とする、夫から妻への離婚請求事件です。

日頃から頻繁に出入りする姑に不快感をもつ婿(夫)に対して、新年の挨拶を欠いたことを理由に、姑が「あなたは挨拶ができない」「ここから落ちて死んでしまえばいい」「ばかだったら死ぬわけはないけれど」などと言い、夫の母には妻(娘)や孫の衣料品代を請求するなどした。

妻の対応

険悪になった夫婦関係を何とかしようと話し合いを試みたこともあり、別居後は妻の方から同居を拒否したという事情もない。

別居の有無や相手の離婚意思

2年5か月余り別居が続いているが、別居まで6年間続いた同居生活と比べるとさほど長期に及んでいるといえない。また、妻は自身と子ら(幼女2人)のために夫との関係修復を願い、姑も婿(夫)が嫌がることは反省し、一歩下がって対応していきたいと述べている。

 【判決】

婚姻関係が破綻しているとまではいえず、離婚請求を認めませんでした。

4 夫のとるべき対応

判例を参考に、嫁姑問題による離婚を避けたい場合に夫がとるべき対応は次のようなものです。

(1)認識を改める

家族の最小単位は夫婦であり、その夫婦の良好な関係を維持するために尽力すべき相手は妻です。男性は、元ある家族に妻が新しく加わったと考えて、家族同士を公平に扱おうとする傾向があります。しかし、妻にとっては「多大な不公平」であることを肝に銘じ、「自分は妻の味方である」と全面的な支持を見せましょう。

(2)妻の話を聞く

婚姻の本質は「真摯な意思をもって共同生活を営むこと」にあります(最高裁昭和62年9月2日判決)。

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事務員

基本的なことですが夫婦のいどちらかが悩んでいるときは、パートナーは話を聞くことで真摯に向き合うことが大切ですよね。

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櫻井弁護士

そうですね。また、別居中であれば解消に向けて努力し、決して放置しないことです。別居期間が長くなるほど婚姻破綻が認められやすくなります。

(3)夫婦間でルールを決めて母親(姑)に忠告する

問題が姑にある場合には、姑から距離を置くと同時に忠告するなどの積極的な働きかけが必要です。多くの判例で、夫が仲裁に真摯に取り組んだかを重視しているのです。

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櫻井弁護士

実際にとった具体的な行動は記録する、信頼できる第三者に立ち会ってもらうなど、証拠として残すことも忘れないようにしましょう。

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5 まとめ

裁判所は、原則として嫁姑問題だけで離婚を認めることはありません。しかし、夫の対応次第では離婚を成立させ、場合によっては慰謝料の支払いを命じることもあります。その一方で、協議離婚であれば嫁姑問題でも離婚は可能です。

嫁姑問題に関連して離婚すべきかお悩みの方、どのような対応がベストかを当事務所の弁護士がアドバイスします。

 

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櫻井 俊宏

櫻井 俊宏

「弁護士法人アズバーズ」新宿事務所・青梅事務所の代表弁護士。 中央大学の法務実務カウンセルに就任し7年目を迎える。

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