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新宿・青梅・三郷の法律事務所弁護士法人アズバーズ,代表弁護士の櫻井俊宏です。

ニュースで話題になっているように弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所が51億円の債務を抱えて破産することになりました。

しかし,この件,ただ弁護士事務所が破産するというだけの話ではないように思います。

①そもそも,事務所の創設に学者まで関わっている
②実質的経営者は誰なのか
③着手金や預かり金はどこへ行ったのか

その他,弁護士会の対応等,いろいろ気になる点があります。
これらについてできるだけわかりやすく解説します。

1 事務所の創設に学者が関わっている!?

この弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所の前進であると思われる「ミネルヴァ法律事務所」は,当時,結構著名な学者であった弁護士「吉野正三郎」氏が創設しています。

私もこの名前は良く覚えています。
なぜ,高名な学者が弁護士会から懲戒(問題行動をして処分を受けること)を受けているのか,と不思議に思ったのを良く覚えています。
しかも,2004年は注意喚起程度の「戒告」処分でしたが,1年後の2005年には「業務停止2年」という最大レベルの重い処分を受けていました。
預かり金を悪用していた疑いがあるようです。犯罪的な行為です。

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いつからかはわかりませんが,当時はやりであった実入りのいい過払金請求を中心に行っている事務所であるようでした。
懲戒を受けて以降,悪名が流れて稼ぎにくくなったか,開き直ったかして,儲け主義に走ったのかもしれません。

その後,ミネルヴァ法律事務所は,

平成19年 弁護士法人ミネルヴァ特許法律事務所に移行
同じく学者出身の竹内俊雄氏参加(懲戒処分歴あり)

平成26年 同法人解散

平成24年 弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所設立

弁護士法人ミネルヴァ特許法律事務所と弁護士法人東京ミネルヴァ法律事務所につながりがあるかは想像しかできませんが,同じような業務方針,名前,問題行動を行うカラーから,おそらく実質的に同一で,移管された事務所なのでしょう。

2 実質的経営者は誰なのか

これは,このような大量に債務整理を受けている事務所で良くあることなのですが,弁護士でない誰かが実質的経営を行っていたと思います。
いわゆる黒幕です。

弁護士という業務は,紛争の交渉代理を唯一できる職業として,それなりに収入が入りやすい職業です。
そこで,弁護士でない者が,弁護士を操り人形にして,営業ノウハウを使って実質的に経営を行い,甘い汁を吸うのです。
弁護士は,営業が苦手な人も多いだけに,経営に自信がない弁護士が付け込まれるケースもあるわけです。

実際に,つい最近,30代半ばの弁護士達が非弁行為という犯罪の共犯になったケースがあります。

無資格の事務員に法律事務を行う「非弁活動」をさせたとして、弁護士法違反罪に問われた弁護士法人「あゆみ共同法律事務所」代表弁護士、古川信博被告(32)に対する判決公判が18日、大阪地裁で開かれ、西川篤志裁判長は「犯行は組織的かつ職業的なもので違法性の程度は大きい」として、懲役1年、執行猶予3年(求刑懲役1年2月)を言い渡した。産経新聞

こういったケースで,恐ろしいのは,最初は,
「弁護士事務所をこちらで作ってあげる,こちらで用意する債務整理等をやってくれれば〇〇円毎月渡す」
等と言ってさりげなく事務所に入り込んできて,そのうち実質的経営者として違法なことをやり放題してしまうというところです。
しかも更に恐ろしいのは,その弁護士がその者を切り離そうとすると,
「あんたも犯罪者の共犯となるぞ,いいのか!?」
という感じで脅されて切り離せないところです。

この部分はこれから独立しようという弁護士もこのようなことに巻き込まれることもあるので,良く意識してもらいたいと思います。

3 着手金や預かり金はどこへいったのか

債務整理の件を多くやっている事務所は,当然過払金の件だけでなく,破産申立の件も受けていることになります。
破産においては,「着手金」と呼ばれる初期費用の割合が多いです。
通常20万円です。
本件では,債務がどんどん膨らんで経営が立ち行かないとわかっていたにも関わらず,この着手金を集め回っていた可能性があります。なんと言っても51憶円の債務なので。

また,通常,過払金請求の件では,相手の金融会社から取り返した過払金を弁護士の「預り金口座」というところに入れて,弁護士報酬金を差し引いて依頼者の方にお返しするという方法をとります。
この預り金の保管にも問題があったらしいと第一東京弁護士会は述べています。

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これらのお金はどこにいったのでしょうか。
先程も述べたように過払金請求のというのは実入りの良い仕事です。それにも関わらず,51憶円もの債務ができるというのは,超大規模事務所でない限り異常な事態です。

過大な広告費をたてておいて,実質的経営者がどんどん何らかの手法でお金を抜いていったのではないかと考えてしまいます。

ただ,テレビやラジオ等の巨大メディアにも出ていたような気がしますので,その費用が莫大だったということもあるでしょう。
巨大メディアで広告をうちまくっている事務所は,東京ミネルヴァのように空洞である可能性もあるかもしれません。

弁護士法人の債務は,役員の弁護士個人も負担しているので,預り金を返してもらいたい人達は,東京ミネルヴァの役員個人に対する強制執行等をするのかもしれません。
しかし,このような状況では強制執行も簡単にはいかないでしょう。

弁護士に対する強制執行が成功した件はコチラ↓

4 まとめ

もう一度総括すると,今回の弁護士法人東京ミネルヴァの件は,黒幕がいて,その者が過大な利益を得ているのではないかということが疑われます。
また,債務整理ばかりやっていて過大な広告を行っている法律事務所は,依頼者の方にとっても弁護士にとっても注意しなくてはならない場合もあると言えます。
東京ミネルヴァ法律事務所の闇について,下記の記事で更に考察しています。

弁護士会の対応については,下記の記事をご覧ください。

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