不貞の裁判の賠償請求の手続と対応策!和解金額はどれぐらいが妥当!?【弁護士が解説】

離婚・男女法律問題

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配偶者と不倫(不貞)をされて、相手に連絡して賠償を請求しても支払おうとしない場合、弁護士法人を就けて、裁判をすることを考えなくてはならなくなります。
また、不倫をしたと疑われたが、実際には不倫の事実がない場合も、相手方が裁判をしてくる可能性が高いので、裁判に応じなくてはならないことになります。
ただ、裁判は大抵の人にとって未知の領域です。

そこで、本記事では、

①不倫裁判の手続の流れと内容
②不倫裁判を提起することによるデメリット
③不倫裁判で気をつけること
④有責配偶者への対抗策

について解説します。

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中央大学の法務全般を担当している中央大学「法実務カウンセル」(インハウスロイヤー)であり、千代田区・青梅市の「弁護士法人アズバーズ」代表弁護士、櫻井俊宏が執筆しております。

1 不倫裁判の手続の流れと内容

不倫裁判の手続の流れと内容まずは、どのようなことを訴えるか、何円請求するか等を記載した「訴状」を作成して裁判所に提出します。

訴状は裁判所用(正本)と相手方用(副本)の2通作成し、2通ともに裁判所に提出します。
証拠があるときは証拠も2通ずつ添付します。

ただし、不倫の裁判を提起する場合は、他の裁判と違って、相手が否認するかどうか出方をうかがうため、よっぽど証拠が充実している場合以外は証拠なしでスタートするのが良いでしょう。
証拠がないと、相手は後で矛盾した主張をしてしまわないように、実際にあった事実をベースに事実関係について主張せざるを得なくなり混乱するので、この証拠なしの提出というのは有効な訴訟戦術です。

訴状は、裁判所から1通が相手方に送られます。
相手方が受け取り拒否等をして届かない場合は、裁判所に上申して、相手方の職場に送らせることもできます。

職場がわからないまたは届かない場合は、訴状を提出した当事者が相手方の住所を調査し、その結果次第で訴状が届いたことにして進める手続があります。
【参考記事】訴状を提出しても無視された場合 受け取り拒否された場合 欠席判決の効力とは?

この手続が行われて、裁判が始まったのに相手方が来ない場合、通常、こちらの主張した事実に基づいて賠償額が判決で出ます。通称「欠席判決」といいます。
この場合には、その後自らの判断で強制執行をしていく必要があります。

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櫻井弁護士

なお、訴状の作成は弁護士でないとなかなか難しいように思います。
事案の内容によっては着手金等の初期費用無料の場合もあります。
弁護士に相談してみましょう。


相手方に訴状が届いた場合は、1か月半から2か月の間に裁判が始まります。

最初の期日では、相手方は「答弁書」という書面を出せば出なくて良いことになっています。

この後、訴状や答弁書の事実主張の内容を、平均1か月半ごとぐらいに期日があり、「準備書面」という書面と証拠を繰り返し提出し、お互いの主張で違うところ(争点)を整理しつつ、争うことになります。

一通り主張が尽きると、裁判官主導で和解手続を行うことが多いです。
これにより、どちらが何円支払うか等、両者の結論に関する意見が一致すれば和解となります。
「和解調書」というものが作成されれば、判決と同じ効力を持ちます。

和解ができなければいわゆる証人尋問によって、両者の認識する事実関係の違いについて裁判所で尋問した後、裁判所により判決が出ます。

2 不倫裁判のデメリット

不倫裁判のデメリット

1 時間がかかる

当然に裁判は時間がかかります。
不倫をした方が、不倫の事実を否認した場合には、争点が多くなるので、なおさら時間はかかります。
前述のように1か月半前後に1回しか期日は行われず、最終的な判決までは1、2年かかることもあります。

2 弁護士費用がかかる

代理人としての弁護士費用がかかってしまいます。
不倫の裁判においては、賠償額の相場感はわかりやすいので、あまり賠償額の相場から離れた主張をして話がこじれ、裁判になってしまうのは、弁護士費用をいたずらに負担することになるので、もったいないということになります。

また、この弁護士費用は、判決になった場合は慰謝料額の10%程度は認められるものの、実際に相手方から率先して支払ってもらうのは難しいです。
また、和解の場合は、弁護士費用を考慮せずに、お互いの意見を調整することが多いです。
弁護士費用はお互いに負担しているからです。

3 裁判をされる側は家に訴状が送られてしまう

当然、加害者は訴状を家に送られてしまいます。
加害者に弁護士が就いていたとしても、原則として弁護士事務所に送られるのではなく、いったん加害者本人の家に送られることになります。

ダブル不倫で配偶者に不倫がばれていなかった場合、偶然不倫していた本人が家にいて受け取るようなことがない限り、配偶者に不倫の事実がばれることになります。

4 精神的に疲弊する

特に不倫の否認事件は、ラブホテルに行ったのだけど肉体関係までは結んでいないとか、相手の夫婦関係は破綻していたので不倫ではないとか、ひどい内容の主張があり、たいがい怒りマックスです。

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櫻井弁護士

このように事実関係に争いがあるほど、準備書面も積み重ねられ、両社の精神的負担はかなりのものになります。

3 不倫裁判で気をつけること 賠償額はどれぐらいが妥当か?

不倫裁判で気をつけること 賠償額はどれぐらいが妥当か?

加害者が不倫したこと自体は争わず、ただ例えば相手方が1000万円を請求してきたが、金額が大きすぎる等、単なる金額の争いの場合は、加害者側は、主張の仕方に気をつける必要があります。

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いくら被害者がとんでもない過大請求をしているからといって、ヒートアップして被害者を攻撃するような主張になると、紛争は激化し、和解の道は途絶えます。

不合理な否認はすべきではありません。
ラブホテルに行ったシーンを撮られている場合は、原則として不貞(不倫)があったというように認定されます。
「部屋には入ったけど性行為はできなかった」というような主張は、よほどそれを裏付ける証拠(例えば、その後性交渉をしないで帰ったことが明記されているLINEのやりとりがされている)がない限り通用しません。

不倫事件の損害賠償請求事件においては、双方に弁護士が就いた場合、交渉でまとまることも多いです。
賠償額の相場感がはっきりしているからです。

しかし、もちろん、交渉では妥協点が見いだせず、裁判になることもあります。ここからは損害賠償請求の交渉が決裂し裁判になった場合、特に問題になる、

・加害者が否認をした場合
・ダブル不倫であった場合
・賠償額に争いがある場合

の3つについてお話します。

1 加害者が否認をした場合

これが典型的に不倫事件がこじれ、裁判になる場合でしょう。
裁判上で、「不貞」といえる行為があったかどうかが争いになります。

当然、訴えた方は証拠をもって立証しなくてはなりません。
まず典型的な証拠は探偵の報告書です。探偵の報告書でラブホテルに行っていることが立証されるような場合は、性交渉、すなわち不貞があったと推定されます。

逆に言うと
「ラブホテルまで行ったが性交渉はしなかった。」
という否認をする人がいますが、ほとんどその主張は通用しません。

このような事案で
「新しく作るオフィスの内装の参考にしたいから従業員の女性とラブホテルに、仕事として2、3回行った。」
というくだらない主張をしてきた相手方がいました。
この事案では、ラブホテルのポイントカード(スタンプを押すタイプではなく、カードの中にデータがあるタイプ)をおさえていたので、調査嘱託という裁判上の手続により、裁判所がホテルに行った回数等をラブホテルに問い合わせて、その情報が開示され、2、3回ではなく何十回と行っていたことを明るみにすることができました。

自宅に相手を入れたが、その相手が日中に帰ったという場合は微妙です。
他にも不倫を推認させる補強的な証拠が必要でしょう。

また、加害者側が不倫を認めた書面(例えば「誓約書」)を書いた場合も、不倫の事実が立証できる場合が多いです。
しかし、後の裁判等で
「『不倫』という意味を知らなかった、性交渉まではしていない。」
という主張が通ることもあるので「○○と肉体関係を結んだことについて謝罪する。」などというように、きっちりと性交渉までしていることを認める内容の書面を書かせた方が良いでしょう。

また当然、録音やGPS等を配偶者が気づかないうちにしかけ、証拠を収集することも有効です。
相手方がきづかないうちにセッティングしても、違法ではありません。

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最近ではLINEのやりとりが証拠となる場合が多いです。
LINEのやりとりは消されると再現が難しいので、見つけたらその場でスマホごと写メで撮って証拠を残しましょう。

通常はやりとりをスクロールして、一枚一枚写メで撮って証拠として提出することが多いです。
ただしあまりに量が多い場合には、LINEの場合には、「トーク編集」等を活用しましょう。

これらの証拠提出をしても相手方が口を割らない場合は、裁判の終盤で証人尋問が行われます。

最初から相手が非を認めなそうな場合であれば、証拠を残しておき、証人尋問の場で「弾劾証拠」としていきなり出すこともできます。
弾劾証拠は突然出すことができるので、相手方を慌てさせることもでき、裁判官に印象づけることもできるので有効な手段です。

2 「ダブル不倫」の場合

「ダブル不倫」とは不倫をした男女両当事者に配偶者がいる場合をいいます。

ダブル不倫の場合は、そもそも裁判となるとその加害者の配偶者にバレるということを考慮する必要があります。

裁判所に訴えを起こすと自分の配偶者と不倫を行った者のその家に訴状が届き、下手をすると受け取った者に訴えられたことがバレるからです。

具体的にいうと、夫Bが結婚しているC女と不倫をしたとき、そのC女の夫Dから裁判を提起されることが考えられます。その場合、自分の妻が家でDが提起した訴状を受け取ってしまう可能性があるということです。
このようなことが起こると、自分の家庭が崩壊となってしまう可能性があるので注意が必要ということです。

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ダブル不倫で裁判にまでなると、4当事者の思惑が複雑に絡み合い、泥沼になってしまうのでかえってそれぐらいの状況に追い込むという仕打ちをしたいという場合以外は、なるべく裁判をすることは回避した方が良いように思います。加害者側は、ちょっと相場より多くの賠償を支払っても家庭を壊すぐらいならと、穏便に解決するべきです。


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ダブル不倫の場合、自分の夫Bが相手の夫Dに先に交渉で過大な金額…たとえば300万円の賠償を支払ったとして、妻Aが相手の妻Cに裁判をした時同じ300万円を支払ってもらえるんですか?

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いいえ、そうはなりません。
通常、相場通りに落ち着きます。なので、ダブル不倫の場合、先に誤って高額の賠償をしてしまわないことには注意が必要です。

更にダブル不倫の場合は、被害者が離婚をするつもりかどうかでも利益状況がかわってきます。

例えば夫Bに不倫をされても、妻Aが結婚生活を続けていくつもりかどうかです。

被害を受けた者が離婚を決めた場合は話が早いです。
妻Aとしては,相手の女C又は夫Bからできる限り多くの賠償を得て,夫Bとも離婚し,できる限りの今後の生活費を得ればよいのです。


しかし妻Aが夫Bと結婚生活を続けていくのであれば、夫Bが不倫したことについて不倫相手である相手妻Cに賠償請求していく際、それが相手の夫Dにばれてしまうと面倒なことになります。
前述のように、相手の夫Dが自分の夫Bに対して賠償を請求することになるからです。

このようになってしまうと、今後夫婦生活を続けていくつもりのAB夫婦としては、不倫相手である妻Cから100万円回収したとしても、相手の夫Dが夫Bから100万円を回収されてしまっては、夫婦全体としては結局何の利益も得られないことになってしまいます。

それどころか相手の妻Cと相手の夫Dが別居したり離婚したりした場合は、別居することになるような不倫により、夫B の方が相手の夫D に対して精神的損害をより多く与えたとなってしまい、100万円よりも更に慰謝料が高くなり、かえって請求をしたことが損になってしまうことも考えられます。

もし離婚をするつもりがなく、相手の家庭も離婚をするつもりがないのであれば「ゼロ和解」といって、お互いに賠償の支払いはゼロで、今後関わりをもたないという内容だけ約束をして終わりにするべきです。

3 賠償額に争いがある場合 不倫賠償の相場額はどれぐらいか?

通常の不倫事件の場合で裁判になるのは,金額で折り合いがつかないときでしょう。
確かに
「私はこんなにパニックになってしまっている、精神的にも参っているという診断も出た。だから1000万円が妥当だ。」
というような主張を繰り広げる人はいます。

しかし残念ながら不倫事件の場合、裁判所は

・結婚期間
・性交渉の頻度
・離婚になりそうかどうか

等の要素で損害賠償額を算定します。
これら以外の理由はいくら主張してもほとんど考慮しません。
判決内容を見ると、裁判官は、主張した内容を見ていないんじゃないかとすら思うこともあります。

また、判決内容に不満があって高等裁判所に控訴しても、実務上ほとんど賠償額が変わることはないようです。

不倫事件では、上記の結婚期間や性交渉の頻度、離婚になりそうかどうか等の要素でどのぐらいの賠償額になるかは、実務上かなり明らかになっています。
そしてその結果はほとんど変わることはありません。

不倫が原因で離婚した場合は、200万円前後、不倫が原因で別居にまで至っている場合には150万円前後、不倫があっても夫婦が一応関係を続けられそうなときは100万円前後。これに不倫の性交渉の頻度や、結婚期間が長いかどうかで上乗せ事由になるかどうかというところです。

4 「有責配偶者」への対抗策

「有責配偶者」への対抗策

1 不倫をした「有責配偶者」とは?

「有責配偶者」とは、離婚当事者のうち、自分に離婚に至るような責任がある当事者のことを言います。
ほとんどのケースは、不貞行為(不倫)を行ったものです。肉体関係、それに準ずる不貞行為が必要と言えます。
例えば異性と手をつないだ、異性と食事に行ったというぐらいでは、有責配偶者とはいいにくいでしょう。

他に典型的な場合として、DVの場合等があります。

この有責配偶者からの離婚請求は、相手方が納得しない限り基本的には裁判所が認めません。
裁判の判決で、離婚を認めない判決が出ます。
離婚の紛争は、基本的に裁判所では調停を先に行わなくてはならないので(調停前置主義)、調停→裁判とかなりの時間をかけて行われたとしても認められない場合があります。

有責配偶者からの離婚請求が裁判上認められるのは、

①別居期間が両当事者の年齢及び同居期間から考慮して長いこと(10年以上ぐらいが目安)
②未成熟の子が存在しないこと
③離婚請求を認容することが著しく社会正義に反するとは言えないこと
(最高裁昭和62年9月2日判決)

です。

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かなり厳しい要件です。
基本的に不貞の事実が相手に知られたとき、相手に了承してもらえない限り、離婚はできないと言ってよいでしょう。

2 有責配偶者への裁判での対抗策

上で説明したように、有責配偶者が離婚をしたい場合には、相手方に了承してもらう必要があります。
そこでアプローチとしても下手に回って、それなりに責任をとる提案が必要です。

私が見た事案では、男側が家のローンを全て支払った後、女性側にその不動産を渡して離婚してもらったという事案があります。

しかし、不貞をしながら離婚を迫ってくるような男は、々にしてそのような態度ではないことが多いです。身勝手だからこそ不貞をするのです。
強引に配偶者に離婚届を書かせようとするなどの事案が多いです。

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このような次第なので、不貞をした側でありながら離婚をしようという人は、その性質上、無理な要求をしてくることが多いです。
そこで、私達の事務所では、不貞をした側でありながら離婚を請求したいというケースは、現在基本的にお受けしておりません。
逆に、体育会系事務所として、不貞をした者を相手方にするようなケースは、積極的にお受けし、力強く解決していっております。

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そのようなケースでは、不倫をされた側はどのようにすれば良いのでしょうか?

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まず別居をしましょう。一緒にいると離婚できないことに関して八つ当たりをしてきて、精神衛生上よくありません。
その上で裁判所に婚姻費用分担請求の調停を提起しましょう。自分から家を出たケースでも、相手に生活費を請求できます。

婚姻費用は,両者の収入と子供がいるかどうかで決まります。
数万円から多いときには10万円以上支払わなくてはならないことになります。
しかも、これは原則として調停を提起したときからの金額を請求できます。

この婚姻費用を支払い続けなくてはならない状態におかれることによって、不貞をした側はようやく自分の立場を思い知ります。

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更にプレッシャーをかけるのであれば、不貞の慰謝料に関して損害賠償請求の裁判をしましょう。


不貞相手にでもいいですし、不貞相手がお金がなさそうであれば、そのまま配偶者に対して請求しても構いません。
両方まとめて訴えることもできます。

ただ、裁判ではある程度厳格な証拠がないと負けることもあるので注意してください。
探偵の証拠やLINE、録音や誓約書等,証拠をしっかりと集めていく必要があります。

なお、300万円から500万円ぐらい請求しておいて100万円~200万円ぐらいの賠償が認められるのが通常です。

このような断固たる態度に出ることによって、そのような有責配偶者は自分の立場を認識しはじめ、真っ当な離婚条件を提案してくるようになるでしょう。

3 強行手段に対する仮差押(1)~家を売られそうな場合~

仮差押」という手続があります。
相手方に対して何らかの請求権がある場合に、その請求権の金額を回収するために,相手方がまだ油断しているときに、自分の財産を動かすことができなくする裁判所を通じた手続です。

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私達が実際に遂行した有責配偶者に強引に家を売られそうになったケースで、仮差押により家の売却を防止できた方法を紹介します。

このケースでは男が不倫をし、別居をした後こちらに弁護士が入っていて調停が行われていたにも関わらず、妻がまだ住んでいる家を強引に家を売ろうと(おそらく闇の)ワールドなんとかという不動産屋に相談していました。

その不動産屋から、こちらの依頼者である妻が住んでいる家に
「すぐ出ていくプランなら何円で売れる。妻が居住したまま売却するプランでは何円で売れる。出ていかないならそのまま売るプランで進めます。」
というような説明書面が妻が住んでいる家に届いたのです。
いわば間接的な「住んでいても家を売るぞ」という脅迫状です。

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男もひどいですが、この不動産屋もひどいですね…。結局この夫はどうしたんですか?

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このケースでは、男は不倫自体は認めていました。
ということは。妻が夫に対して慰謝料損害賠償請求権を有しています。
そこで。その損害賠償請求権を確実に実行するためという名目で「仮差押」を行いました。

相手に知れないように「不意打ち」のような形で、家を売れなくする方法です。
家を売れなくすることによって、損害賠償請求を家の売却代金からとる準備のための手続といった位置づけです。

裁判官も
「このままでは家が売られてしまう、早く仮差押を実行した方が良いですね。」
と快諾してくれました。

そして仮差押は実行され、その家の登記簿謄本に「仮差押」がされた旨が記載されることにより、不動産会社も買いたくなくなるので、男の方で家が売れなくなりました。

次の調停期日以降、打つ手がなくなった相手方は、妻にきちんと慰謝料と財産分与をするように話してきて、その後有利な条件で和解をすることができました。

なお、この仮差押は相手方の意見を聞かずに認めるかどうかを決定することから、ひょっとすると財産隠しとはいえない状況である際はその相手方(「債務者」といいます。)に損害を与えてしまう恐れもあるので、申立人は担保として裁判所の決めたお金を事前に納付する必要があります。

動かせないようにしたい相手方の財産の金額の10~30%程度が通常です。
つまり、1000万円分の預金を凍結させるためには、100~300万円ぐらいの担保金が必要ということです。

4 強行手段に対する仮差押(2)~預金の財産隠しをされそうな場合~

次のケースは、離婚の調停中に夫が自分の預金からお金をどんどんおろして、財産分与をしにくくする、いわゆる「財産隠し」のケースです。

このような場合の仮差押はどのように行うのでしょうか。

相手の財産隠しの恐れについて、離婚調停中であれば「調停前の仮の処分」という手続を申立てることができます。
しかし、この手続には強制力はありません。
調停委員会が、隠そうとしている当事者に対し、何らかの処分を行うだけの手続です。

そこで、前述同様一般的な民事上の仮差押を行う必要があります。

財産隠しに対抗するため、「財産の分与請求権を守るために仮差押」を申立てるのが通常であると思います。

・相手方が著しい不貞を行っており
・財産も査定が難しいものが多く含まれていて、すぐに財産分与請求権を守るための仮差押の書類を作成することが難しい状況でした。

そこで、急ぐ必要もあったことから「不貞に基づく慰謝料請求権」を守るためという目的で、仮差押の申立てを行い、認められました。
大きく慰謝料が認められるようなケースは、迅速性を重視して、このようなやり方も有効であると思います。

 

5 まとめ

不倫事件では、弁護士が不倫事件に慣れていない等の事情で相場感がわかっていないようなことがない限り、ある程度のところでおさめるのが良いと考えられます。
裁判では不倫の有無や内容という精神的に負担のある事実について徹底的に戦うことになるので、お互いに時間・精神・弁護士費用をいたずらに奪われることになります。

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櫻井弁護士

男女問題でご不明なことがあればお気軽に、離婚・男女問題事件を多数取り扱っている弁護士法人アズバーズにお電話いただければと思います。

【2024.2.5記事内容更新】
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櫻井 俊宏

櫻井 俊宏

「弁護士法人アズバーズ」新宿事務所・青梅事務所の代表弁護士。 中央大学の法務実務カウンセルに就任し7年目を迎える。

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