医者・経営者等富裕層の離婚に特有の問題【幻冬舎での講演内容に沿って】

離婚・男女問題事件

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新宿・青梅・三郷の法律事務所弁護士法人アズバーズ,代表弁護士の櫻井俊宏です。
総財産数億以上の富裕層夫婦の離婚も20件以上解決しています。


9月23日,幻冬舎の「カメハメハ倶楽部」において,「富裕層向け離婚セミナー」を開催し,ご好評いただきました。

財産が多い富裕層の離婚の場合,財産分与でまず考えなければならない問題があります。
また,夫が敏腕の経営者や医師等であったりすると,堂々と不倫を行い,ときには不倫相手に不動産を買ってあげてしまっている等というケースもあります。

このような富裕層の離婚において,

離婚における手続の流れ
・財産分与の特別な問題
・不倫の問題
・養育費

等について,幻冬舎で行われたセミナー内容に沿って解説します。

1 離婚における手続の流れ

離婚をするには,

協議 → 離婚調停 → 離婚裁判

という流れになります。

1 協議

要は話し合いで離婚の条件を決めることから始めます。
ただ,離婚に至りそうなケースでは,夫婦間で感情のもつれがあり,なかなか話が進まないこともあります。

2 離婚調停

そのようなときは,裁判所に離婚調停を申立てることになります。
離婚調停とは,調停委員という裁判所から任命された一般人の有識者2人(通常男女1人ずつ)と,当事者双方入れ替わりで話を聴取し,両者の意見を最終的に合致させることを目指す手続です。

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入れ替わりなので,双方が会いたくない場合に会わずに話を進めることができます。意見が完全に合致しないと,話し合いが成立とはなりません。

平日しか行われず,1ヶ月半に1回ぐらいあるので,それなりの時間的負担があります。
半年から1年ぐらいで終わる場合が多いです。

弁護士を就けなくても遂行することは可能です。
離婚調停において気をつけること3選
離婚調停の期間はどれぐらいかかるか
離婚調停の弁護士費用の相場感

3 離婚裁判

それでも話がまとまらない場合は離婚の裁判となります。
これは提出書面が難しいので,まず弁護士がいないと追行はままなりません。

なお,裁判で強制的に離婚をしようとしても,相手の不貞やDV等の理由がなく,「性格の不一致」というだけでは,5年ぐらいの別居等がないと判決での離婚は認められにくいです。
しかも後でお話する不貞等をした「有責配偶者」が離婚を主張していて,相手方が離婚をしたくないと主張している場合は,10年ぐらいの別居が必要となってきます。

この離婚の裁判は1年~2年かかることが多いです。

離婚調停でまとまらず裁判にまでなる件は,だいたい10件に1件ぐらいです。

2 富裕層の財産分与

まず,特有の問題としては,経営者である場合があげられます。

1 法人の場合

法人である場合には,法人が所有している財産は分与できませんが,株式または持ち分等を分けることが考えられます。
結婚前に設立された法人である場合には「特有財産」といって認められません。

この場合,その株式を時価で計算します。すなわち,会社の時価を計算し,その株式の割合に直すということです。
上場会社の場合は時価がわかりやすいでしょうが,非上場の場合は,公認会計士等にお任することになります。
そして,株式を持っている方が,株式の時価の半分相当の金銭を渡すことになります。

これは株式会社や合同会社等の営利法人だけでなく,医療法人も対象となります。

なお,この時価の計算のタイミングは,離婚時ということになります。
このことから,その法人から他に財産を移すなどして,価値を下げる行為等を行われる恐れがあることを念頭におきましょう。

また,法人が中小企業である場合は,「代表者貸付」といって,代表者が,会社に貸付をしているケースがあります。
これも,配偶者が持っているときは「債権」という財産なので,原則半分ずつ分け合うことになります。

2 個人事業主の場合

②㈱や㈲が名前についていない個人事業主である場合には,法人の株式のようなものがありません。
そこで,そのような場合には事業で使っている動産や建物等の不動産を分け合うことができます。

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これらの,事業を営んでいるものの財産分与の場合で分与を受け取る側は,上記の株式や代表者貸付等を調査するため,証拠収集の際に,法人の決算書,代表者個人としての確定申告書,他にできれば定款等を見つけたら写メで撮影する等しておさえておくことが重要になります。

このような資料を隠されたり,更には,預金等を移して財産隠し等をされるような場合は,調停や裁判を行い,「調査嘱託」という手段で開示請求をしていく必要があります。

3 会社員の場合

経営者でなく会社勤めの従業員においては,退職金が原則として財産分与の対象であることを意識する必要があります。

外資系金融会社等に勤めている場合,雇用ではなく個人事業主扱いで,退職金等がない場合も多いので,その点も注意が必要です。

4 専門職・経営者等の場合

半分ずつ分ける(2分の1ルール)とお伝えしましたが,これまでに得てきた財産が,その人の異能,すなわち特に優れた能力により生み出された場合には,半分でないときもあります。

医師等の専門職や,経営者等の場合に多いです。
特に,IT会社経営者の場合に,200億円の価値の株式の財産分与に関して,妻に40分の1の5億円しか財産分与が認められなかった東京地方裁判所平成15年9月26日判決は有名です。
下記の記事で詳しく解説しています。

5 借金の取り扱い

⑤その他,富裕層の場合は,プラスの財産だけでなく,金融機関に対する債務が多い場合もあるでしょう。
全プラスの財産から全マイナスの財産を引いて残るマイナスの財産は,基本的に財産分与の対象となりませんので注意が必要です。

3 不倫(浮気)について

不倫をしている場合は,不倫をしている側は「有責配偶者」といって,別居して10年近くたっていないと,強引に離婚をすることはできないように法律上なっています。

このことから,不倫をされた側は,不倫をした側からできる限り財産を支払ってもらいたい場合,離婚をしないと言い続け,生活費(婚姻費用)を請求していくのが有効です。
この生活費は収入によって決まるので,富裕層の場合はなおさら金額が上がることになり有効です。

不倫をした側は,それなりのお金を毎月支払っていくのであり,いわゆる「兵糧攻め」を受けることになります。
この状態を脱するために,多くの財産を支払う提案をしてくることも少なくありません。

このことから,不倫の証拠の収集は重要です。
いきなり相手方に不倫の事実を突きつけると,いろいろ証拠が隠滅されてしまうので,こっそり固めていきましょう。

特に録音機は,今はペンやフリスクの形をしているもの等が数千円で売られており,簡単に証拠が得られるので,できるだけ録るように意識しましょう。

一つでも不倫が発覚すれば,相手を有責配偶者にすることができます。
2人,3人と不倫相手を暴くことに必死になると,ただでさえ高額の探偵費用がかさむこともあり,また,いつまでたっても事件が進まなくなってしまう恐れがあるので注意が必要です。


前述のように,まずは財産分与が重要です。

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特に医師等は,頻度が多い,相手の女にいろいろ買い与える等,不倫の方法が大胆なことが多いので,油断しているうちにどんどん証拠を集めていきましょう。


証拠があると,交渉を有利に進められるほか,裁判に至った場合には必須となります。

4 子供の養育権について

子供の養育権は,別居時に一緒だった方に認められる可能性が高いです。

このことから,妻が家を出て別居するのであれば,子供を養育するつもりがあるのであれば,必ず子供を連れて出ていきましょう。

子供の面倒を見ている方が,自分と子供の生活費である婚姻費用,離婚後も子供のための生活費である養育費として,高額を受け取ることができるので,特に富裕層の離婚の場合有効です。

養育費は,裁判所の調停等の手続の場合,裁判所の算定表において,両者の収入,子供の数・年齢等によってほとんどブレることなく決められます。

養育費・婚姻費用算定表

5 まとめ

富裕層の離婚の場合は,以上に述べてきたように特有の問題がいろいろあります。
財産が多いだけに調べることが多いので,配偶者が気付いていないうちにいろいろ準備するべきでしょう。

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櫻井 俊宏

櫻井 俊宏

「弁護士法人アズバーズ」新宿事務所・青梅事務所の代表弁護士。 中央大学の法務実務カウンセルに就任し7年目を迎える。

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