裁判のために不倫の証拠を集める3つの注意点 出すタイミングは?【弁護士が解説】

不倫(不貞)の損害賠償事件の解決900件以上の千代田区・青梅市の法律事務所弁護士法人アズバーズ、代表弁護士の櫻井俊宏です。

裁判において不倫の責任を追及するには、何よりも証拠物が重要となります。
まずは探偵に頼むことを考えますが、その費用は、実は弁護士費用よりも高いです。
そこで、自分でまずは証拠収集してみようという方のために。この記事では、不倫の事実を立証する証拠収集について、
①スマホ内のデータ収集の方法、
②不倫現場の録音等の方法、
③不倫をしたことについての謝罪文の書かせ方、
④不倫の証拠を出すタイミングはいつが良いか?
の注意点をご説明します。

YouTube幻冬舎ゴールドオンラインチャンネルで、弁護士法人アズバーズ代表弁護士櫻井俊宏が、離婚問題について解説しております。

1 スマホ内の不倫証拠収集の方法

不倫、すなわち不貞行為で損害賠償をするときも、証拠が大事です。
今まで私が手掛けてきた事件でいろいろな証拠がありました。

例えば、典型的には、不倫をしてスマートホンから見つかった肉体関係があったことがわかるような文章が入っているメールやLINE。
それを超えて、メールやLINEに性交渉の画像や時には動画が添付されて残っていることもあります。

なぜか不倫している人同士のメール等の内容はとかく過激です。
不倫というのは燃え上がるものだからなのでしょうか。それともゲーム感覚だからなのでしょうか。

さて、そのような証拠はどのように見つかってしまうのでしょうか?

単純に、いない間に見られてしまう場合があります。
夫がスマホを指認証設定にしていたケースで、妻が、夫が寝ている間に夫のスマホに夫の指を押し当てて、内容を確認したケースもありました。その件では、5日連続でこの証拠収集が行われました。さすがに「気づけよ!」と思いましたが、、
また、過去の携帯電話を自分の部屋に保管していたら、保管していた本人もそのことを忘れていて発見されたというケースもありました。

「〇〇ちゃん、今日も……」みたいな不倫相手に送るはずだった内容のメールを妻に誤送信してしまった、というケースも何度かありました。
隙がありすぎて空いた口がふさがりません、、

それらの証拠はどのように収集するべきでしょうか。

LINEの場合は、スレッドごと削除されてしまうと復元はほぼ不可能なので、不倫の証拠となるLINEの文章を見つけた場合は、後に削除されても良いように、その文章画像ごと他の携帯電話のカメラで撮ると良いでしょう。

証拠を自分のカメラで撮ってそのまま残すというのは他のシーンでも応用がききます。
持ち出すことなく証拠を残すことができるからです。

 

2 録音の証拠はどのように収集するべきか

不貞をしている状況の録音も有効です。
被害者の方が、妻の様子がおかしいと思って家に録音をしかけ、家で行われた不貞行為についての録音がとれた場合もあります。
もちろんこれだけで不倫の証拠として有効です。
裁判所に提出する場合には、「反訳」といって、録音内容を業者等に頼み、全て文章化して、データと合わせて提出する必要があります。

GPSの場合もありました。
自分でGPSを買って、夫のカバンにつけていた方もいらっしゃいました。
妻には、「会社の支店に出張」と言っていたのに、箱根に行っていたことが発覚しました。
他に証拠があれば、補強的な証拠になります。

 

3 不貞を認める謝罪文の書かせ方

不倫を認める謝罪文も証拠となります。
「…他の女性と『肉体関係』になってしまいました。」とできるだけ具体的にはっきり書かせましょう。

「女性と食事したりするだけでも不倫になると思って「不倫」と書いた。」と後で弁明されないように、「性交渉」をしていたと一目でわかる書き方にするのが重要です。
少なくとも、名前は実際に自筆で書いてもらうと共に、日付を入れさせた方が良いです。

謝罪文に関しては、やや証拠力が弱いので、探偵の報告書等他の付加的事情と合わせると更に効果的です。

 

4 不倫の証拠を出すタイミングはいつが良いか?

では、このように収集できた証拠を出すタイミングはいつが良いでしょうか?
結論としては、できるだけ後に引きのばした方が良いです。
一度、被害者が、不倫をしていることを疑っていることが明らかになると、加害者は警戒して、それ以上の証拠が残ることはもうやりません。
証拠が足りない場合にこのような事態に陥ると、困ったことになります。

相手に対して問い詰める際も、その場で証拠を出してあげるお人よしになる必要はありません。
相手が「どの程度の証拠を持っているのだろう。」と疑心暗鬼になっている状態で、発言することを更に録音しておけば、矛盾している会話等、後で有利になる会話が録れる可能性もあります。

これは、裁判を提起した段階でもセオリーで、不倫の賠償請求をする際に、一つも証拠を出さないのは、戦略としては有効です。

また、最後まで不倫について加害者が否認を続けるケースでは、証拠を出さずにずっと温め続け、裁判の最後の方に行われる証人尋問の段階で、録音の反訳等を提出するのも非常に効果的です。
これを「弾劾証拠」といいます。
【参考】裁判における証人尋問中の弾劾証拠提出

5 まとめ

不倫をされた場合、すぐ探偵に駆けつける人が多いです。

ただ、探偵費用は本当に高いです。
弁護士費用よりも高いことがほとんどで、なかには300万円以上も探偵費用を支払ってしまっているケースもあります。
不倫事件では、慰謝料は多くても200万円ぐらいであり、これでは大赤字です。
不倫の慰謝料の相場についての記事はこちら

まずは自分で証拠収集もしてみることをおススメします。

【2023.1.11記事内容更新】

幻冬舎ゴールドオンライン 弁護士櫻井俊宏の身近な法律トラブル防止に関する連載 全13回

櫻井 俊宏

櫻井 俊宏

「弁護士法人アズバーズ」新宿事務所・青梅事務所の代表弁護士。 中央大学の法務実務カウンセルに就任し7年目を迎える。

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