新宿・青梅・三郷の弁護士法人アズバーズ,代表弁護士の櫻井俊宏です。
表題にあるように,ビルのテナントが使う高熱水道費に関し,勝手に料金を上乗せされるケースが横行しているようです。
このような場合,法的にどうなるのでしょうか?
1 上乗せは法的に有効か
これは,簡単に言うと,テナントが使う高熱水道費に関して,オーナーが全てのテナントに対し一括で請求して電力会社等に支払う場合,勝手に上乗せするということです。
水道光熱費はそこまで高くないのがほとんどなので,こっそり上乗せしておくということです。
私達のもとにもこのようなケースで既に2件程相談がありました。
オーナーは,このような請求が見つかった場合,
「商慣習に基づいているから合法」
「電気等の設備の維持管理費だから合法」
「ずっと何も言っていなかったから黙示の承諾(反対の意思がないことが承諾であるということ)があった」
等と主張するそうです。
しかし,いずれの主張も法的になかなか通らない,すなわち,返還請求はできると考えてよいでしょう。
2 いつまでどの範囲で請求できるか
このような場合は不当利得返還請求(民法703条,704条)といって,消滅時効になるまで10年あります。
少なくとも直近10年分の過払いは請求できます。
わざとお金を乗せて請求していた場合,今年の3月までの分は,旧民法の規定に基づき,年5%の割合で利息を付けて返還請求できます。
その後は,新民法に基づき3%です(民法404条)。
3 まとめ
このようなケースでは,ビルのオーナーがお金がなくなっていた場合,
裁判→強制執行
をしなければならないので大変です。
強制執行の大変さについてはこちら
見つけたときはなるべく早めに弁護士に相談すると良いでしょう。
もちろん,高熱水道費がおかしな値段ではないかどうか,このようなケースも増えていることに留意して良くチェックしておくことこそ重要です。
【参考記事】
テナントの電気料金高すぎ
幻冬舎ゴールドオンライン 弁護士櫻井俊宏の身近な法律トラブル防止に関する連載 全13回
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【執筆者】
「弁護士法人アズバーズ」代表
「中央大学」法実務カウンセル(インハウスロイヤー)
弁護士 櫻井俊宏
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