遺言がある際に問題となる「遺留分」とは【弁護士がわかりやすく解説】 

相続問題を120件以上解決しており、裁判所に選任されて成年後見人の件も複数行っている、新宿・青梅・三郷の法律事務所弁護士法人アズバーズ、代表弁護士の櫻井俊宏です。

相続の問題で最も紛争の対象となりやすい問題として、遺言書がある場合に、本来の法定相続分よりも一定のものに相続させるように記載されている場合があります。
この際請求できる「遺留分」について、


遺留分の内容、
遺留分を請求するにはどうすれば良いか、
具体的な遺留分の争いの例、


等を中心にお話します。

 

1 遺留分とは?

遺言が作成され、ある者に法定相続分より多めに相続分が設定されていたとしても、他の者が最低でももらえる分を遺留分と言います。
被相続人の子の遺留分は本来の法定相続分の2分の1です(民法1042条)。

例えば、父親が既に亡くなっていて、子供が2人いるケースで母親が亡くなった場合で、母親の遺言が見つかり、そこには「兄に全部相続させる」と書いてあったとします。

この場合、弟の遺留分は2分の1の半分なので、4分の1となります。
そこで、兄に全部あげると遺言を書いたとしても、弟は「遺留分があるから4分の1を渡せ」と主張できるわけです。

もちろん、渡してもらえないときは裁判所を通した調停や裁判もできます。

遺留分は、
被相続人の子や配偶者の場合は、法定相続分の2分の1、
被相続人の親の場合は、法定相続分の3分の1、
となります。

被相続人の兄弟には法定相続分がありますが、遺留分はありません。
自分の兄弟に相続分をあげたくない場合は、他の者に相続分を全部渡すとすれば、その兄弟にあげないことも可能であるということです。

 

2 遺留分の請求方法

上記の事例でも、とりあえず、この遺留分を主張していくことはできるというわけです。
遺留分の主張をする際、法定相続分よりも多い相続を受ける当事者に対し、遺留分侵害額請求(以前は遺留分減殺請求と呼ばれていましたが法律が変わりました。お金でそのまま請求できるという意味合いが強くなりました。)という意思を表示する必要があります。

「遺留分侵害額請求権を行使します。」と記載した手紙を送るわけです。
証拠として残る形が良いので、内容証明郵便で送るのが望ましいでしょう。

遺留分侵害額請求権は、被相続人が亡くなってから基本的に1年で消滅してしまうので注意が必要です。

その後、協議してどの部分を遺留分として分けてもらえるか話がまとまれば良いのですが、まとまらない場合は、裁判所を介した手続が必要となります。
この手続について、話し合いをベースに行う調停も可能ですし、裁判を行うことも可能です。

なお、遺留分請求は、通常の相続における遺産分割の協議と違い、既に両者の相続分に大きな差ができていることから、紛争になりやすいので、なかなか話がまとまらない場合は弁護士に相談してみる方がよいでしょう。
遺産分割調停について
遺産分割協議書の作成方法

 

3 具体的な遺留分の争いの例

1で話したようなケースの他、問題なのは、一緒に住んでいる子の1人が認知の疑いがある親を公証役場に連れていって、公正証書遺言を作成してしまうような場合です。
遺言の種類と作成方法

そのような疑いがある事案は、実際数多くあります。

これに対抗するのは非常に難しいです。
公正証書遺言ができてしまった場合、内容に疑いがあれば「遺言無効確認の裁判」というものはできるものの、公証役場という公式の場で作られた公正証書遺言というものは効力が非常に強く、なかなか「無効」だったとはならないからです。

一応できる対抗策としては、公正証書遺言を作成されてしまう前に、「成年後見人」を選任してしまう方法です。
成年後見人とは、認知症等で、契約等の法的な行為ができない状態にある人の財産を管理する者です。
裁判所に申し立てて選任してもらうことができます。
通常、弁護士や税理士等の専門家が就きます。しかも、研修を受けており、なにかあった際に賠償を支払うことができる専門家が選任されます。
成年後見人が選ばれると、成年後見人が全財産を預かって管理するので、財産が見える化されると共に、一緒に住んでいる相続人候補者等も、めったなことができなくなります。

この方法が難しいのであれば、

その公正証書遺言が作成された期間中に遺言を作成する能力がなかったことを、病院のカルテ等から立証していく方法、

又は、
被相続人である親が認知症であったことを推認させる発言,
被相続人の意思が遺言内容と大きく違うことを示す発言,
等を細かく録音していき、証拠として残していく方法、

を模索していくしかないと思います。

 

4 まとめ

このような争う相続を「争族」などといったりしますが、このような争族になってしまうと、泥沼の闘いになり、いいことはありません。
ブローカーのような者が入り込んでいって食い尽くされるようなケースも良く見受けます。
まずは、被相続人による明確な遺言を作成するのが良いでしょう。

その上で、被相続人と相続人の間でまめな対話が設けられるとよいと思います。

 

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