犯罪行為があっても懲戒解雇が認められるとは限らない【弁護士が解説】

労働問題も経験豊富な新宿・青梅・あきる野・三郷の法律事務所,弁護士法人アズバーズ,代表弁護士の櫻井俊宏です。

先日,懲戒解雇の無効請求事案が終わりました。誰もが知る会社相手のものでした。
労働審判という,本来の裁判よりやや簡潔な手続を利用しました。

労働審判は,原則として,100日以内ぐらいに3回の手続で終了するので,早い結論を出したい労働者の方にお勧めの手続きです。
当事務所では労働審判をこれまでに50回以上経験しています。

 

1 懲戒解雇は簡単には認められない

懲戒解雇とは,問題行動を起こした者に対し,その問題行動を理由として解雇を言い渡すことです。

解雇権濫用の理論というものがあり,解雇権の濫用と言えないような事案でなければ解雇は無効となります。
労働者の生活を保護する趣旨からの理論です。

懲戒解雇は,結構認められません。
犯罪行為を行って有罪となるとか,
遅刻を繰り返しており,警告を何度も出されていたにも関わらず,何度も繰り返していたとか,
極めて問題と思われる行動でない限り,認められにくいです。

2 犯罪行為の場合でも認められない場合がある

本件では,依頼者は,窃盗という犯罪行為を行ったものの,数百円の被害であり,被害者が許したので,逮捕も起訴もされませんでした。
それにも関わらず,会社は即刻解雇としたのです。
先にも述べたように,解雇権濫用の理論があるので,犯罪行為が有罪となっていないのに一発懲戒解雇というのは処分として重すぎます。

結果として,会社の懲戒解雇は無理があるとの裁判所の審判(判断)が出て,懲戒解雇は自己都合退職になり,次の就職活動がしやすくなりました。
また,本来は解雇無効相当の事案であったとのことで,審判の結論が出るまで働いていたとみなされ,給与相当額の支払を会社側に命じる結論となりました。

 

3 懲戒解雇無効の主張が出た場合には

前述のように,懲戒解雇が無効となると,裁判所の判断が出るまでの間の報酬を支払わなくてはならないことも起こります。
それが長い期間であったり,対象者の月額給与が大きいときには,会社の経営を圧迫するような事態も起こります。

もし,企業側が,懲戒解雇無効の主張をされたときは,いさぎよく解雇を撤回して,出社要請をするべきです。
そのようにすれば,給与が発生し続けるということもありません。

実際のところは,労働者が気持ちを切り替えて出社してくるということも少ないです。

(2020.8.10更新)

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