楽天のパワハラと使用者責任 会社も責任を負う?【弁護士が解説】

新宿・青梅・あきる野・三郷の法律事務所,弁護士法人アズバーズの代表弁護士,櫻井俊宏です。
中央大学法実務カウンセルとして,中央大学内の労働問題全般も担当しております。

弁護士ドットコムのニュースによると,誰もがご存じの大手IT企業の楽天で,上司による後遺症が残るほどの著しい暴力があったということで,上司と楽天社に対し2億円以上の損害賠償を求める裁判が提起されたということです。

また,同時期に,同じく弁護士ドットコムニュースで,福生の病院におけるパワハラについて,病院に対し約210万円の損害賠償を仕払うことを命じる判決が出たそうです。

このようなパワハラについて,
①なぜ,会社にまで責任が認められるのか
②会社が賠償を支払った場合,加害者本人に対して請求はできないのか
について解説します。

 

1 なぜ会社にまで責任が認められるのか 使用者責任について

パワハラを行った者が所属する楽天や病院が責任を負わなくてはならないのは当たり前と思うかもしれません。
しかし,原則としては,一般的に誰かに加害を加えた場合の責任である不法行為(民法709条)は,加害を加えた本人,すなわちパワハラを行った者本人が責任を負います。

もっとも,
①雇用等の使用関係があり,
②その従業員が業務の中で行った

③加害行為があれば,
基本的に会社の使用者責任というものが成立します。

労働者の労働によって利益を受けるのだから,労働者の労働内で生じた損失も負うべき,という理由によって,民法715条によって使用者責任が規定されています。

この事件でも楽天の使用者責任はおそらく認められるでしょう。

なお,この使用者責任は,例えば,労働者が交通事故を起こしてしまった等,過失で起こった場合にも成立します。

2 会社が賠償を支払った場合,加害者本人に請求はできないか

会社は賠償を支払った場合,加害者本人に請求はできないか。
これについては,答えとしては,請求できる場合もあります。
しかし,通常は,全額を請求できるわけではありません。

会社が立て替えて支払い,加害行為を行った労働者本人に対し請求することを「求償」といいます。
使用者責任のように,複数の者が連帯して責任を負う場合,民法上,求償が認められています。

しかし,この使用者責任における求償は,先程述べた「会社は労働者によって利益を得るのだから,損失も負う」という考え方と「会社と労働者で損害を公平に分担する」という考え方によって,裁判例上,「信義則上相当な限度で」制限されています。
これは,
加害行為の性質,
業務と関連が強いかどうか,
労働者が率先して加害行為を行っているかどうか,
等で判断されることになるでしょう。

最高裁昭和51年7月8日判例においては,ドライバーが,普段より負担が多い運転をさせられていたこと等を考慮し,会社からの請求は,損害全体の25%だけ認められています。
それ以外の場合も,労働者の負担は0から50%まで抑えられることが多いようです。

本件のように,加害行為を行った労働者がパワハラという行為のように主導的に行っていると思われる場合は,50%近くまで労働者が責任を負う可能性が高いのではないでしょうか。

 

3 まとめ

このように,労働者が行ったことであっても,使用者は大部分責任を負うことになるので,労働者のミスや加害行為を行うことがないような職場の環境作りを積極的に推し進めていく必要があるでしょう。

被害者の側は,再三説明しているように,特にハラスメントを行う者は証拠を残さないようにやろうとするので,録音機による録音等,証拠収集が大事になります。

弁護士法人アズバーズのホームページ

 

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