愛知県知事の解職請求(リコール)とは?【地方自治法】

司法試験のとき憲法の成績が異様によかった弁護士の菊川です。学生時代は一番わけわからんかったのですけどね。

さて,愛知県の大村知事が主導して開催されたといういわゆる表現の不自由展に関して,著名人と言って差し支えない,高須クリニックの責任者である高須氏が,地方自治法に基づいて解職を請求しているようです。

当該発表会と公金支出との関連については,憲法上ややこしい問題をはらんでいるので本記事ではとりあえずお口ミッフィー(・✕・)です。

地方自治体の首長(=都道府県知事)は,住民による直接投票で選ばれます。ちなみにこれは憲法93条で定められております。豆知識です。
なお国会議員も直接選挙で選ばれているという建前で,たしかに小選挙区制はそうですが,比例代表はあれどう説明すればいいの・・という感じになっていますが,一応合憲とされています。

さて,こうして直接選挙で選ばれた地方自治体首長ですが,住民が直接選んだ以上,その解任に関する権利を住民が有するのも自然の道理です。国会議員もそうなんじゃないかって?お口ミッフィーです(・✕・)

解職に関しては,地方自治法81条がこれを規定します。
当該自治体の全住民の一定割合(原則3分の1ですが,40万,80万人を超えるごとに割合は減算されます)の連署をもって選挙管理委員会にそれを提出をすることで,解職請求をします。
その後,解職投票が行われた際,2分の1以上の解職賛成があれば解任されます。

文章でかけばこのとおりですし,受験生時代にここを勉強したときは特に何も思いませんでしたが,住民3分の1の連署て・・・例えば住民が30万人いたら10万人から賛同を得ないといけないわけですが,ハードルが高いってもんじゃないですね。大都市集中傾向があるといえど,極めて困難でしょう。

また,連署と言っても,実際は押印も求めています(地方自治法施行令92条1項)が,印鑑をいつも持ち歩いているわけないんですよね。これによって駅前など人が多く集まる場所での署名運動だけでは足りないことともなっています(そもそもこれで3分の1集めるとしたら故意過失を問わない重複のリスクが高まるだけなので有効ではないですが)。

更に,署名の期間も定められており,市町村の場合は1ヶ月以内,都道府県の場合は2ヶ月以内に署名を収集しなければなりません(地方自治法施行令92条第3項,99条)。無茶言うなよ・・って思いますよね。

かなり大変な手続きですし,愛知県は広く,人口も多いですから,いくら高須氏が著名人といえど,ツイッターで呼びかけている程度では難しいんじゃないかなと思います。
やるならきちんと費用をかけて,そのための組織を発足した上で行わないと,徒労に終わってしまう危険性が非常に強いんじゃないかなと思います。

弁護士法人アズバーズのホームページ

 

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