将来受け取る退職金も財産分与の対象となります【離婚問題】

新宿・青梅・あきる野の弁護士法人アズバーズ,代表弁護士の櫻井俊宏です。

離婚における金銭的問題では,慰謝料より財産分与の方が大きくなりやすいことは以前にお話しました。

預金や証券等が財産分与の対象となることは,実際に手元にある財産なのでわかりやすいでしょう。

生命保険も保険会社に積み立てられてきている分が財産分与の対象となります(すなわち,掛け捨ての保険の場合は財産分与はありません。)。

しかし,退職金が財産分与の対象となることは意外ではないでしょうか?
退職金も財産分与の対象となるということについてお話します。

財産分与全般のお話はこちら

1 退職金の財産分与の範囲は?

退職金の財産分与の範囲は,婚姻期間中に増えた分が基本的に対象となります。

つまり,例えば,2010年に婚姻して同居し,2020年に別居した場合,この期間に,勤めている会社において積み立てられた退職金が原則として財産分与の対象となります。

 

2 退職金は必ず財産分与されるのか?

これは必ずとは言えません。なぜなら,退職金は実際には後に受け取るものであり,必ずしも受け取ることができるとは限られないから,これを必ず夫婦で分割して,退職金を受け取る予定の人が,配偶者に,今はない財産を分けるのは公平とは言えないからです。

分与されるかどうかは,

・勤務先の会社の内容,

・支給根拠が明確か(退職金規程が社内に存在するか等),

・退職金を受け取るまでの期間,

等によって判断されます。

期間に関しては,以前は,退職金支給までの期間が長い場合(10年が目安であった)は,財産分与の対象にはしないという説が有力でしたが,最近ではあまり考慮しないという方向に傾いているようです。

 

3 退職金の財産分与の金額は?

前述のように,婚姻期間に積み立てられた額をベースとするのが通常です。
すなわち,現在自己都合退職した際に支給される額から,婚姻時に退職したと仮定した金額を引いた額を2分の1ずつ分けることになります(東京高等裁判所平成10年3月13日決定)。

勤続年数が多くなっても,退職金の積立の率が一定の場合は,割合で計算することも可能です。
例えば480ヶ月勤務で4800万円の退職金が出る場合に,婚姻期間が200ヶ月だとすると,2000万円をベースに計算することができます。

なお,将来の退職時点の金額しか判明しない場合には,それをベースにした婚姻期間に対応する金額から,中間利息(将来は利息分が増えていると仮定して,現在の価格を計算する場合に,引くべき利益分)を引くのが通常です。

 

4 退職金の財産分与はいつされるべきか?

①原則としては離婚に伴うものなので,離婚時に支払う結果となります。
少なくとも支払い能力がある場合は,その時点で行うべきです。

②将来,退職金を受けた時点で支払うことを命じる裁判例もあります(広島高等裁判所平成19年4月17日裁判例)。

 

5 まとめ

退職金が財産分与の対象となることは,盲点だと思います。
その計算方法も難解です。

今後の生活のことも考え,弁護士等の専門家に相談されるのが良いでしょう。

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