家賃支援給付金の手続の難しさにより訴訟が横行しないか【弁護士が解説】

新宿・青梅・三郷の弁護士法人アズバーズ、代表弁護士の櫻井俊宏です。

11月も最終日となり、今年も終わりに近づいていますね。
家賃支援給付金の申請締め切り2021年1月15日が迫っています。

受け取ることができる状態なのにまだ受け取っていない方がいるのではないでしょうか。

オンラインの手続が難しく、受け取ることができないという方を良く聞きます。


・家賃支援給付金の申請手続の難しさ、
・実際に生じている家賃支援給付金申請手続の問題、
・今後法的紛争が起きないかどうかの予想、


等について解説します。

 

1 家賃支援給付金の申込み手続の難しさについて

家賃支援給付金の手続の難しさは、そもそもインターネットでしか申請できないことにあるでしょう。
昔から事業をやっている高齢の方は、まず自分でやることは難しいと思います。

どうも国は、この機会に国民のオンライン技術の向上を狙っているように思います。

定額給付金も、マイナンバーカードを持っていると、あっという間にオンラインで手続ができ、すぐに振込がありました。
しかし、持っていない方は、手続の仕方等を聞くために役所に大行列を作って、ようやく申請ができたと聞きました。

また、余談ですが、マイナンバーカードを持っていると、マイナポイントというものが国民1人当たり最大5000円分、PayPayやスイカ等を通じてもらえます。
これはあまり知られておらず、30%程度の人しか受け取っていないようです。
マイナポイントについて

そして、実際にオンラインで手続をしても、すぐ不備になってしまい、手続が進まないことも特徴です。

・契約が存在すること、
・実際に賃料を直近3カ月支払っていたこと、
等の証明が難しいのです。

不備があった旨は送信されてくるのですが、具体的に何が不備かわからない書き方であり、何度修正をしても送り返されるケースがあります。

ちょっと電通との関連で問題になったように、持続化給付金はパソナ社が担当していたみたいですが、この家賃支援給付金の手続はどこの会社が担当しているのでしょうか…
【関連記事】本社へ異動による実質リストラ!?パソナと損保ジャパン

このように厳重な手続が要求されているのは、もちろん、持続化給付金詐欺が数多く発生したことも影響しているでしょう。

 

2 実際に生じている家賃支援給付金の申請手続の問題

例えば、賃貸借契約書を作っていないケース等があります。
また、更新契約をしていない場合もあります。
このような場合、特別な書面を作ったりする必要があります。

また、直近3カ月分の支払いに関し、通帳の履歴や領収証で証明する必要があります。
この場合、例えば、法人であったのに便宜上代表者個人の通帳から支払っていたとすれば、支払者がズレることになるので、領収証を発行してもらう必要があります。

領収証の発行においても、印鑑を押してもらわないとならないそうです。
また、名義も、賃料を管理している会社のものではダメで、大家の名義で印鑑を押してもらう必要があります。

つまり、あらためて家賃支援給付金を受け取るために、何かしらの書類をしたためる必要がある場合がほとんであるのです。

この手続の難しさにより、10月の時点で、税理士に聞いたところ、受け取ろうとしている顧問企業の10%ぐらいしかうまくいっていないと言っていました。

 

3 今後法的紛争が起きないか

この書類取り寄せをめぐって問題が生じているというケースも多く聞きます。
というのは、コロナ禍において、家賃減額の交渉等が行われ、賃貸人と賃借人の関係も微妙なものになっている場合も多いので、例えば、
「領収証を出してほしければ賃料を増額させろ。」
などと、書類作成を交渉材料にする等の問題です。

【関連記事】賃料減額の方法 調停・訴訟

領収証は、受け取った側は、民法上発行義務があるので(民法486条)、これを断るのは違法となりかねません。

とすると、
「領収証等を発行してもらえないから家賃支援給付金を受け取ることができなかった。」
と1月15日以降に訴訟が発生してくることも考えられるでしょう。
理論的に成立しうる話のようにも思います。

家賃支援給付金は、数十万円から多いときには数百万円にのぼるので、そのような訴訟があった場合は、小さな話ではありません。

また、いざ期限が過ぎると、受け取ることができなかった者達による、例えば平等権侵害(憲法14条)の憲法訴訟や国家賠償請求訴訟も考えられるのではないでしょうか。

この先注目です!

 

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