新宿・青梅・あきる野・三郷の弁護士法人アズバーズ,代表弁護士の櫻井俊宏です。
「契約結婚という選択肢」という記事を見ました。
「互いに性的独占をしない」
「1年ごとに更新」
「添い寝をする」
等の内容だそうです。
契約結婚,婚前契約と呼ばれるもので,結婚前に婚姻生活について具体的に書面で契約します。
日本ではまだあまり利用されていないようですが,日本以外では,ハリウッドの俳優等,富裕層を中心に結構利用されているようです。
この話を見て,先日,会食の場で,
「結婚というものにも段階(レベル)があってもいいのではないか。」
という話が盛り上がったことを思い出しました。
確かに,どうも「結婚しなくてはならない。」ということに意識が集まり過ぎて,
「どのように結婚するか」という議論が日本では乏しいような気がします。
同性結婚等は結構議論にのぼりますが,男女の結婚においても,
財産について,
性的なこと,
子供について,
生活の負担の分担,
等,いろいろ考え,自由な結婚の形があってもいいはずです。
契約結婚(婚前契約)のこと,結婚にもレベルを設けた方がよいのではないかという段階的結婚政策の提言についてお話します。
1 契約結婚(婚前契約)
婚前契約は,夫婦(となる者)が相互に同意すれば,契約として成立します。
約束を破ったときの違約金等,お金のことも書いてあるようであれば,公証役場で公正証書にしてもらった方がよいでしょう。
約束を破ったときにすぐに強制執行ができるからです。
より詳しい公正証書のことについてはこちら
①例えば,財産について,元からある財産のうち,財産分与の対象としない財産を設定しておくことができます。
財産分与の対象としない「特有財産」とすることに合意するのです。
財産分与についての記事はこちら
そもそも財産分与をしないという合意もできるようです。
しかし,なかなかそのような契約をすることは,納得して合意には至らないような気もします。
②不倫(浮気)をしたときの違約金を設定しておくことももちろん考えられます。
これにより誠意を持った婚姻生活をおくれるのであれば,悪いことではないでしょう。
不倫の損害賠償請求についてはこちら
③性交渉の回数等についても合意する人もいるようです。子供を何人つくる,等の合意も考えられます。
これは無理やりすると問題になるので,努力義務(できるだけそうしましょう,ということ。「~するよう努める。」というように記載する。)ということになりそうですね。
③家事の分担,生活費の分担等も決めるといろいろ良さそうです。
ただ,これは,生活状況の変化によっては,見直しが求められそうです。
2 段階的(レベル)結婚の提言
先日,会食の中で,友人が,
「結婚にもレベルというものがあってもいいのではないか。」
と発言していました。
私はこれは,「なるほど!!」と電撃が走りました。
上で述べてきたような婚前結婚は,付き合っているに過ぎないのに,話し合って合意にもっていくことが難しいと思います。
お金と時間もかかります。
先に国がある程度メニューを決めてくれれば,選びやすいでしょう。
また,結婚というものが重いのです。いざ「違うな」と思ったときに離婚するのもとても大変です。
離婚調停の期間はどれぐらいかかるか
これでは結婚する気力がわかない人もいるように思います。
友達感覚の延長で「たまに会う」という結婚をしたい人がいるかもしれません。このような人達には離婚する際の財産分与等は負担に感じるでしょう。
「軽い結婚」というものがあれば,結婚も促進されて,少子化に歯止めがかかるきっかけになるかもしれません。
5段階ぐらい設けて,1段階目ぐらいは,社会的に「結婚している。」というだけのお試し結婚みたいなものがあると良さそうです。
これをすれば,ご両親達が,
「そろそろ結婚ぐらい。」
とクドクド言うこともありません。
その後,この人ともっと深く結婚したいなと思えば,結婚レベルを変えるのもありにすれば良いと思います。
他にも結婚レベルとしては,財産関係は全く結びつきがない結婚,ひょっとすると第三者との性的関係はフリーという結婚もできるかもしれません。
離婚フリーの結婚も,現在の婚前契約では「公序良俗に反する」(常識的ではないということ)ということで無効になりそうですが,制度として設けられれば全然ありだと思います。
3まとめ
このような段階的結婚が議論にもならないのは何か理由があるように思いますが,今の自由な発想の世の中においては,とてもおもしろい考え方のように思います。
まずは,ほとんど行われていない婚前契約が浸透してからでしょうか。
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【執筆者】
「弁護士法人アズバーズ」代表
「中央大学」法実務カウンセル(インハウスロイヤー)
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