地方議会への議員出席停止処分取消しの最高裁判決ー画期的判決と思える理由⑵

前回は,部分社会論という論理の紹介と簡単な説明を行いました。

さて,それでは議会の出席停止及び減給処分はどうなのでしょうか。

実はこれ,昭和の時代にも,村議会への出席停止処分について問題になったことがありました。
この争いについて,最高裁判所は,まさに部分社会論を適用し,村議会への出席停止処分の適否は,裁判所が判断する事柄ではないとし,議員の訴えを排斥したのです。
この判例があったため,地方議員の議会への出席停止処分は裁判所が判断すべき事柄ではないとの理解が一般的でした。

しかし,今回の判決によって,地方議会への議員出席停止処分は裁判所が判断すべき事柄であることと,昭和35年の判例は変更すべきであることが明示され,これによって地方議会などによる不当な処分に対する司法審査による救済の道が開かれたといえるのです。

また,少なくとも出席停止処分については,地方議会に一定の裁量が認められるとしながらも,「裁判所は,常にその適否を判断することができる」と言い切っています。
びっくりドンキーでハンバーグが食べたくなりますね。

ただし,地方議会等団体が裁量権を有することは認めつつ,判例では,「・・制約の程度に照らすと・・」「・・自律的解決に委ねられるべきであるということはできない」としていますから,その処分によって受ける不利益の程度により,裁判所が判断すべきか否かが分かれる,ということになります。

結局のところ,これまで裁判所は「地方議会への出席停止は然程の不利益ではない」と考えていたのが,今回の判例以降は「地方議会への出席停止処分は裁判所が無視できないほどの不利益である」と考えるようになったに過ぎない,とも言えますが,裁判所がこのように柔軟に考えるようになった,更にいうと部分社会論(というあまり歓迎すべきではない理論)を制限的に(もしくは排除方向で)適用する方向を見せているというだけで,画期的な判決といえるのではないかと思っています(要は市民感覚に近づいたんじゃない?!ってことです)。

近年重視されるようになってきた人格権との関係で,例えば校則違反に対する罰則についても裁判所の判断対象になるといいなぁと勝手に思っています。