原監督の賭けゴルフ疑惑は犯罪になるの【弁護士が解説】

新宿・青梅・あきる野・三郷の法律事務所弁護士法人アズバーズ,代表弁護士の櫻井俊宏です。

巨人の原監督の賭けゴルフ疑惑が熱を帯びていますね。
原監督は,以前の巨人第二次政権終了となったのも,女性とお金がらみという問題行動によるものだったと思いますが,「若大将」はやはりやんちゃなのですね…
当時の日刊スポーツの記事「原辰徳氏1億円の文春報道は真実 巨人の敗訴確定」

今回,週刊新潮で出た報道内容の解説と,法的意味について解説します。

1 週刊新潮の報道内容

7月2日の週刊新潮では,十数年前に行われていた原監督の賭けゴルフは,1回で数十万円のお金が握られていたとのことです。

なお,ゴルフで賭けをすることの隠語であるこの「握る」という言葉は,クラブを握ることか何かからの造語かと思っていました。
しかし,実際は,握手をすることによって賭けの契約が成立していたことから「握る」というそうです。

7月9日号では,元ロッテの名選手愛甲猛氏も,原監督が,ラスベガスというルールで1ポイント500円で賭けを行っていたと証言しています。
愛甲猛氏も証言 「巨人・原監督」の超高額賭けゴルフ

 

2 賭博罪で逮捕されたりするのか

賭博罪は,刑法185条で,
「賭博をした者は,50万円以下の罰金又は科料に処する。ただし,一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは,この限りではない。」
となっています。

刑法186条1項の常習賭博罪は,3年以下の懲役でそこそこ重いですが,常習性というのは,頻度・賭博の種類,賭けた金額等を総合して判断した結果,中毒と言えるようなレベルの場合に認められるものなので,今回は単純賭博罪が問題でしょう。

そして,条文にあるように,「一時の娯楽に供する物」はOKです。
その日のご飯を奢るとか,合計数百円の受け渡しとかは大丈夫ということになります。

では,これを越えてくると,逮捕されたりするのでしょうか。

賭博罪というのは,ギャンブルをすることによって国民の勤労意欲を奪ったり,健全な財産状態を阻害することを防止するという理由で出来た犯罪です。
しかし,実際,友人同士等での賭け事はこの目的から遠いこと,投資等との違いがわかりにくいこともありるのでしょうか,私的な賭博においては,実際に捜査が動いて,逮捕や裁判とはなりにくいです。

特に,麻雀に関しては,黒川元検事が1000点100円で賭け麻雀を繰り返していたことについて,捜査が動かなかったことから,テンピンなら問題ないという黒川ルールが実務で基準となるので,なかなか捜査が動きにくいのではないかと思います。

なお,今回のケースは,そもそも捜査が動くことはありません。
それについては4で後述します。

 

3 実際に犯罪となった例

では内輪で行った賭け事で犯罪となった件はないのでしょうか。

①2006年に,NECで行われたゴルフコンペで,1口200円で成績優秀者を予想して賭けた件で,3000円ぐらいの配当であるにも関わらず,61人が書類送検されたそうです。
賭けの申込書を「馬券」と呼んでいたそうですが,品がなく,良くないととられたのでしょうか。

②2007年も医師の賭けゴルフで,5万円配当された件で書類送検されたそうです。

③麻雀のケースでは,1998年,タレント,漫画家の蛭子さんが,賭け麻雀で逮捕されています。
蛭子さんはこれまでにギャンブルで1億円以上負けているとのことです。凄いですね…

4 愛甲氏の発言は問題ないのか

この発言,そもそも愛甲氏も犯罪的行為をしているということでブーメランになってしまわないでしょうか。
実はこの点に関しては,賭博罪は3年で公訴時効(刑事訴訟法250条2項6号),つまり犯罪を追うことはできなくなります。
今回のような10数年以上前に行われた賭けゴルフについては時効ということになります。

原監督に対する名誉棄損罪(刑法230条)は成立しないでしょうか。
犯罪的な行為を行う人だと思わせることになり,原監督の外部的評価を下げる発言ではあります。
その発言内容が真実でなかったとしても名誉棄損罪が成立することはあります。
このことから名誉棄損罪は一応成立しうると思います。
実際に捜査が動くような事案ではないと思いますが…

いずれにしろ,自分が賭博罪で捕まらなくなった今,週刊誌に情報を売ったとしたら,道義的にはいかがなものでしょうか…

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