仙台地裁 旧優生保護法違憲判決について

違憲判決と見るとムムムッて判断してしまうのは,憲法を勉強した人ならだいたいそんな感じじゃないかと思います。
青梅の弁護士菊川です。

さて,表題の通り,先日,仙台地裁で,旧優生保護法について,初の憲法判断が行われました。
これまでも旧優生保護法に関する裁判例はあったようですが,その憲法適合性について判断した裁判例は初めてということで,注目を浴びています。

具体的な判決文は読めていませんが,要するに,

①旧優生保護法で規定される優生手術は,憲法13条から派生するリプロダクティブ権(子を生み育てるかどうか意思決定する権利)を侵害するものであり違憲である
②20年の除斥期間の経過により,請求権は消滅したため,賠償は認められない

という大きく2点の判断をしたものです。
地裁レベルではあるものの,違憲であることを認めた点には大きな意義がありますが,結局は賠償が認められなかった,というものであり,ちょっと首を傾げるような結論ですよね。

除斥期間とは,時効と似たようなものですが,その始期や進行の態様など,微妙に違いがあります。ざっくりと「時効に似たもの」と思って下さい。
国家賠償請求訴訟でも,不法行為の例に従って,行為のときから20年経過すると,除斥期間の経過によって権利が消滅してしまいます。

本件では,この期間についても,「20年経過する前に権利行使することは極めて困難であった」から,例外的に除斥期間を適用すべきではない=20年経過後の請求であっても認めるべき,という主張がされていたようです。
裁判所は,当時の情勢から,除斥期間内に権利行使することは困難であったと認めつつも,除斥期間の適用は有効と判断しました。
ちょっと納得しがたいところですが,地裁レベルではやむを得ない判断で,むしろ憲法判断を行った点を積極的に評価すべき,と思います。

立法府は4月末頃に救済法を成立させていますが・・・320万円が「子供を生み育てるかどうか意思決定する権利」を永久的に剥奪されたことに対する妥当なものなのか・・・。

ただ,救済法案が成立したことにより,立法府の不作為を強く咎めることが難しくなりそうですので,今後本件について控訴・上告がされたとき,ある種の足かせになりうるのではないかと思っています。

今後,実際に控訴されるかはわかりませんが,上訴審での判断にも関心が持たれます。