交通事故で成年後見人が必要な場合【弁護士が解説】

交通事故事件を500件以上解決している,新宿・青梅・あきる野・三郷の弁護士法人アズバーズ,代表弁護士の櫻井俊宏です。

交通事故で,被害者が遷延性意識障害(意識が戻らなくなっている,いわゆる「植物状態」)や高次脳機能障害で,法律的な意思を有効に表示することができないような状態になっている場合,相手方(保険会社)と示談をするにあたって,成年後見人をたてることになります。
成年後見人について説明した後,交通事故における成年後見人を立てる場合の考慮点を解説します。

 

1 成年後見人とは

成年後見人とは,本人が法律的な意思表示をできなくなってしまっている場合に,本人に代わって本人の財産を管理し,本人に代わって意思表示を行う者です。
本人の親族等が裁判所に申し立てをし,裁判所が成年後見人を任命します。
候補者が立てられているときは候補者が適切であるかどうか,書類と面接で判断します。
候補者が立てられていないときや,候補者が,本人との関係・財産状態・知識等の点から適切でないとされたときは,裁判所にある成年後見人の名簿から,裁判所が適切と考える成年後見人が立てられます。
成年後見人の申立について詳しい記事はこちら

 

2 交通事故における成年後見人

交通事故があった場合,治療後,症状固定(これ以上はあまり回復が望めないという状態)となり,後遺障害認定がされます。
後遺障害の連載記事はこちら

この場合に,上記のように,遷延性意識障害等で法律的な意思表示を有効に行うことができない場合は,成年後見人をたてることになります。
今までに弁護士法人アズバーズではこのような件が2件ありました(1件は,法律的な意思表示をする能力が不十分という場合で,「保佐人」になった事案です。)。

これまでは,本人の財産が大きい場合には,成年後見人は家族が就くことがなかなか認められず,弁護士等の専門家でなければ認められませんでした。
これは,客観的な第三者でない家族が成年後見人になると,財産の横領が頻発していたからです(ご存じのように,弁護士でも横領を行う者も多く,情けない限りではありますが…これでも家族による横領の事例の方が遥かに多いのです。)。
このことから,多額の損害賠償請求権が見込まれる遷延性意識障害等の交通事故の事例においては,家族を成年後見人候補者に指定しても認められない事例が多かったはずです。

しかし2019年に厚労省で行われた第二回成年後見制度利用促進専門家会議において,最高裁判所は,
本人の利益保護の観点からは、後見人となるにふさわしい親族等の身近な支援者がいる場合は、これらの身近な支援者を後見人に選任することが望ましい
として,家族による成年後見人を奨励する見解を示したそうです。

まだ,この運用は浸透していないと思われますが,今後各裁判所の運用がどうなるか注目されます。

 

3 裁判所ごとの成年後見人に関する運用

この成年後見に関する裁判所の実際上の運用は,地方によって随分違うようです。
候補者を,
「第一に家族の○○,それが駄目なら第二に弁護士の△△」
というような記載ができるかどうかも場所によって変わってくるかもしれないので,先に裁判所に問い合わせてみるのもいいかもしれません。

実際に家族を成年後見人に設定することができれば,弁護士が代理人として必要なときも,その成年後見人が弁護士に依頼することができるので問題ありません。

4 まとめ

以上のように,交通事故で,いわゆる植物状態等のとき等は,家族がそのまま保険会社と示談できるわけではないので,注意が必要です。
難しい問題なので,自分達で解決する場合であっても,一度は弁護士等の専門家に相談してみるのが良いでしょう。

 

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