交通事故で保険会社と交渉する際の完全マニュアル① 基礎編【弁護士が解説】

交通事故事件をこれまでに540件以上解決している新宿・青梅・三郷の法律事務所弁護士法人アズバーズ,代表弁護士の櫻井俊宏です。
交通事故に遭った後,保険会社と交渉する場合の大事な点について解説します。
全般的に完全マニュアルといえるほど詳しく解説するつもりなので,基礎編,後遺障害編,その他について,3回に渡ってお話しようと思います。

まずはこの第1回基礎編の記事では,


交通事故後の対応の仕方
保険会社との交渉と弁護士費用特約
通常得られる賠償の内容


 

等を中心に,自分でも交渉ができるようにお話します。

 

1 保険会社との交渉開始

交通事故に遭うと,事故現場で警察の手により実況見分が行われます。

この際,当事者に怪我等のない物損事故か,怪我がある人身事故であることが認定されます。
それに沿って,後日,警察により「事故証明書」というものが発行してもらえることになります。
いずれにしろ,加害者が損害保険に入っている場合は,事故日以降その保険会社に連絡すれば交渉が開始することになります。
この加害者の保険会社の担当者は,被害者であるあなたの味方ではないことはよく認識しておいてください。
このことは下記の記事を読めばよくわかります。
加害者の保険会社も商売!?

 

もし,自分の入っている損害保険に「弁護士費用特約」というものがついている場合には,特に保険の等級が下がる等の何らのデメリットもなく保険会社のお金で弁護士を雇うことができます。
少なくとも怪我をしている場合には,弁護士を雇った方がほぼ必ず賠償額が上がるので,弁護士費用特約を利用することをオススメします。
弁護士費用特約のススメ

2 どのような賠償を請求できるのか

基本的に賠償請求できるのは下記の項目の賠償請求です。

・治療費
・通院交通費
・通院慰謝料
・休業損害
・文書料
治療費については,明らかにその交通事故により怪我が生じたと相手方保険会社が認めたときは,「一括対応」といって,治療が終了しただろうと思われるときまでの治療費を,相手方保険会社が,直接病院に支払ってくれます。
通院している病院を保険会社に伝えてください。

逆にいうと,一括対応をしてくれない事案は,保険会社が事故により発生した怪我ではないと疑っている場合が多いので注意が必要です。このような場合の事故を保険会社側は「モラル事案」と呼んで警戒しています。
賠償を得るためには裁判までする必要があるかもしれません。

通院している場合は,その通院している病院に相手方保険会社が治療状況を問い合わせられるようにするため,被害者に対し,通常,治療状況を問い合わせるための「同意書」を作成するよう要求があります。
これについては,作成して提出しても特にこちらに不利になるようなものではありません。
むしろこの同意書がないと,相手方は対応ができなくなるので,速やかに提出してください。

整形外科だけでなく,整骨院や鍼治療等にも通いたい場合は,医師にそのような治療が必要であると診断してもらい,それをもって保険会社と交渉をすれば,認めてもらえる場合もあります。
整形外科以外にも通いたい場合についての記事

通院を続けてある程度時間がたって,そろそろ怪我が治ったか,回復の見込みがもうないと保険会社が判断すると,保険会社が,治療の打ち切りを打診してきます。
通常,むちうちの症状であれば3ヶ月~6ヶ月ぐらいで打診があります。

これについて,終了ということで良ければ,医師に症状固定(これ以上怪我の回復が見込まれない状態)であることを伝え,保険会社の治療費支払いは終了となります。
それ以降は,通院するとしても自分で費用を支払うことになります。

 

3 通院慰謝料について

「通院慰謝料」というのは,通院していることによる精神的負担についての慰謝料です。
正確に言うと,入院の場合も含んだ入通院慰謝料です。「傷害慰謝料」とも呼ばれます。

保険会社は,保険会社同時の基準で支払いを提案してきます。
これは,弁護士の基準よりかなり低い金額です。

これに対し,弁護士の基準である「裁判基準」は,弁護士が皆持っている「赤い本」という交通事故のマニュアル本で金額が定まっています。
どれぐらいの期間の通院・入院したかで,事案によって少し違いますが,例えば1か月だと19万円というように決まっています。

弁護士を就けて,高額の裁判基準の方の金額を提案すれば,保険会社は,この本の基準に沿って,その金額の8~9割ぐらいを支払ってくれます。
通院慰謝料についてのより詳しい記事はこちら

4 休業損害について

「休業損害」とは,事故による入通院又はその症状のために仕事を休まざるを得なくなった場合で,それによって本来得られるべき収入等が減額された場合のその減額分をいいます。

通常,職場に「休業損害証明書」を作成してもらい,それをもとに相手方に請求します。
これは,雇用主が休業した期間を証明し,その休業期間内に減額したかどうかを明らかにするものです。
これがないと休業損害を受けられなくなるというわけではありませんが,休業や減額の証明を別の手段でしなければなりません。

また,休んだからと言って直ちに全額が損害として認められるわけではありません。
「事故によって休まざるを得なくなった」場合の休業のみが損害として認められるのであり,休む必要がないのに休んだ場合には損害としては否定されます。

自営業者の場合でも休業損害は請求できます。
しかし,休業損害証明書による証明ができませんから,被用者の場合と比べて立証に難がある場合があります。

取締役や社長のような役員の場合は,休んだからと言って直ちに報酬が減額される関係にはないため,休業損害の請求が困難です。
この場合,取締役等としての業務のうち,役員報酬そのものの分と,実質的に雇用関係にあることに対する対価分とを様々な事情から判別し,雇用関係にあることの対価分のみを請求していくことになります。

主婦の場合でも,その主婦労働は原則として経済的価値を有しますので,休業損害を請求できます(「主婦休損」といいます。)。
この場合,休業損害証明書は存在しませんから,通院の頻度や症状の程度をもとに,適切な損害額を請求していくこととなります。
休業損害についての詳しい記事はこちら

5 通院交通費や文書代等について

通院交通費とは,通院に要した交通費のことです。
通院に際して,合理的な経路を通る電車等の公共交通機関を利用している場合には,問題なく実費全額が認められます。

また,自家用車を利用した通院の場合,1キロあたり15円に換算したガソリン代が損害として認められます。
ただしこれらの場合でも,治療そのものとの因果関係が認められないような場合には,通院交通費も否認されます。

タクシーによる通院は,事前に保険会社の了承を得ないともらえない場合が多いので注意しましょう。
通院交通費についてのより詳しい記事がこちら

文書代とは,診断書等の病院で作ってもらえる書面の料金であり,これも認められます。

 

6 まとめ

以上,事故後の対応法と通常保険会社から得られる賠償の内容をまとめました。

これを見ればどのような賠償が得られるか,どのように交渉すればよいかがわかったと思います。

ただし,怪我の程度によっては,1~14級の「後遺障害」が認定される場合があり,この場合は更に多くの賠償が得られます。

次回は「後遺障害」についてお話します。

 

 

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