交通事故で保険会社と交渉する際の完全マニュアル② 後遺障害編【弁護士が解説】

交通事故事件をこれまでに540件以上解決している新宿・青梅・三郷の法律事務所弁護士法人アズバーズ,代表弁護士の櫻井俊宏です。
交通事故に遭った後,保険会社と交渉する場合の大事な点について,前回の基礎編に続いて,後遺障害編を解説します。

この第2回後遺障害編の記事では,


後遺障害とは
後遺障害の等級が得られたときの賠償の内容
後遺障害の申請の方法


 

等を中心にお話します。

 

1 後遺障害とは?

一般に,後遺障害のことを「後遺症」と言ったりします。
これらの持つ意味はほとんど一緒ですが,後遺症が,広く何らかの傷害を受けたあとに身体に残存する症状を指すのに対し,後遺障害とは交通事故・労災実務等で使われる用語で,後遺症のうち法律上の一定の要件を満たしたものをいう,といえます。

これは法律上のもの,すなわちそれを負わせたことに対して不法行為責任が生じるものですので,後遺症について「後遺障害がある」というためには,その証明が必要になります。
そのため,被害者の愁訴(痛いという訴え)のみでは客観的になかなか証明ができず,後遺症が後遺障害とは認められないことが多くなるのです。

後遺障害は,その程度に応じて重い方から順に1~14級までが設定されています。
そして,具体的な症状がこの後遺障害等級に該当する場合に,後遺障害が認められることになります。

良くあるむちうちの症状の場合,通常14級が得られる場合があり(だいたい申請して30~40%です),ごくたまに12級が得られることがあります。
14級が得られた場合,200~300万円賠償額が変わってくることがあり,12級に至っては500万円以上変わってくることが多いです。

 

2 後遺障害の等級が得られたときの賠償の内容

後遺症が後遺障害と認められたときには,主として,
①後遺障害慰謝料,
②後遺障害逸失利益が,
事案によっては③将来介護費,
がそれぞれ損害として認められます。

後遺障害慰謝料とは,後遺障害を負わされたことそのものに対する慰謝料で,いわゆる通院慰謝料とは別に損害として認められます。
前回の記事でお話した赤い本で,得られる金額は決まっており,14級の場合は75万円~110万円,12級の場合は226万円~290万円です。
ちなみに,後遺障害がなくてももらえる通院慰謝料とは別にもらえます。
後遺障害慰謝料とは

後遺障害逸失利益とは,その後遺障害によって将来の仕事に支障をきたし,本来得られるはずだった将来の利益が減少すると認められることにより(できるはずだった仕事ができなくなるなど),その分が損害として認められるものになります。
これも,計算式等が決まっており,後遺障害の等級に応じて,本来得られるはずだった利益の想定される減少割合が大きいです。
例えば,14級だと収入の5%ですが,12級だと収入の14%となっています。
後遺障害逸失利益とは

来介護費は,その後遺障害が重度の場合,将来に渡って介護を要することになる場合のその介護費用のことです。
原則として介護にかかる実際の費用ですが,施設などに預けるのではなく,近親者が介護を行う場合には,その近親者の介護を金銭的に評価し,1日あたりいくらというかたちで損害が認定されることがあります。

このように,後遺症について「後遺障害」が認められると,認められない場合に比して相当に賠償額が大きくなり,きちんとした保障を受けられることになります。

 

3 後遺障害の申請方法

事故後しばらく治療を継続していると,完治することもあれば,あるときを境にこれ以上治療の効果があがらない状態になることがあります。
この状態を「症状固定」といいます。

この症状固定になってはじめて,後遺障害の等級が得られるかどうかの申請をすることができます。

症状固定か否かを,本人が申告することはできますが,最終的に診断するのは医師です。
典型的に多いむち打ちなどの神経症状の場合は,痛みが続いていても概ね3~6ヶ月程度で症状固定の診断がされることが多くなっています。
それ以外の多くの症状の場合は客観的な資料から判断されることになります。

症状固定の状態になったということは,それ以上の治療が医学的な意味を持たないということを意味します。
そこで,その状態について,「後遺障害診断書」という保険会社用の特別な診断書を作成してもらうことになります。
後遺障害診断書に関する詳しい記事はこちら

その上で,印鑑証明等の必要な書類を添付して,自動車賠償責任保険の担当会社に対して賠償を請求すると共に後遺障害の申請を行います。
これを「被害者請求」といいます。

相手方の保険会社に後遺障害診断書を出して申請をする「事前認定」という方法もあります。
ただ,相手方保険会社が選んだ第三者機関に認定をしてもらうので,やや後遺障害を認定してもらいにくい可能性があると言えます。

いずれにしろ,この申請においては,添付資料を自由に提出できるので,医学的な画像の他,医師の報告書,勤めている会社の報告書等,的確な資料を添付することによって,後遺障害を認定してもらえる可能性を上げることができます。

なお,この後遺障害申請は,何度も異議申立をすることができます。
2度3度やっても結果が変わることはあまりないですが,1度は試してみるのも良いでしょう。

 

 

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