ダブル不倫 ゼロ和解,こっそり請求も視野に【弁護士が解説】

新宿・青梅・三郷の弁護士法人アズバーズ,代表弁護士の櫻井俊宏です。
幻冬舎ゴールドオンラインの連載第10回で掲載されたダブル不倫の事案について,事例も含めて解説します。

ダブル不倫の場合は,損害賠償請求のやり方によって,逆に夫婦として相手よりも賠償をとられてしまう等,不本意な結果に終わってしまうこともあるので,注意が必要です。

 

1 ダブル不倫だったの!?

「やっぱり!」

夫の様子がおかしいので携帯電話を調べたところ,女と不倫しているのが明らかにわかる内容のLINEが出てきました。
不倫の証拠の収集方法

「これは何なの!?」
「すまない,出来心なんだ。許してくれ。」

夫が素直に認めてきたので,私は今回だけは許すことにしました。
しかし,相手の女Aに対しては腹の虫がおさまりません。損害賠償請求をすることにしました。

そこで,私の夫BからAの携帯電話の番号を聞いてAに連絡しました。

「…はい。Aです」
「あ,Aさんですか。突然ですけど,Bの嫁のXです」
と自己紹介した途端,いきなり電話を切られました。
以降,いくらかけてもつながりません。
ついには着信拒否をされたようで,まったく連絡できなくなったのです。

「許せない! 手紙を送りつけるから」と夫にいうと,
「Aは結婚してるんだ。手紙を送るなんてやめた方がいいよ。」と伝えられました。
「え…? なに、W不倫していたわけ…?」とそこからまた大喧嘩です。

しかし,私は許せないので,
「300万円支払ってください。支払いがない場合は弁護士に頼みます。」
という内容の手紙をAの家に送りました。

その後,Aの夫Cは私の夫Bに対していきなり不倫の損害賠償請求の裁判を起こしてきました。
Aの夫Cの訴状には,私からの手紙でAの不倫を知り離婚に至ったことを訴状に記載して,300万円を請求してきました。

夫Bは裁判の準備で弁護士に相談しに行きました。
私はその弁護士に,今後どうなるか聞いてみました。
「相手の夫婦は離婚しているので,相手の夫Cに離婚という精神的損害を与えたことで200万円ぐらいの賠償が認められることになります。」
「私が裁判をしたらいくらぐらいもらえるのですか。」
「お2人は離婚していないので,精神的損害は少なく,相手のAからもらえるのは100万円以下になると思います。」
「え~!?」
同じ不倫なのに,金額が変わってくるなんて,おかしい…
裁判費用もかかるし…
不倫事件における裁判で問題になること

2 ダブル不倫とは

不倫をしている両当事者が結婚している場合に行われる不倫を,通称「ダブル不倫」と言います。

ダブル不倫においてその後を左右する重要な要素は,例えば,夫(B)に不倫をされても妻(X)が結婚生活を続けていくつもりかどうかです。
ダブル不倫の対処方法

離婚を決めた場合は流れはシンプルです。
妻Xとしては,相手の女(A)と交渉又は訴訟をし賠償金を得て,夫Bとも離婚してできる限りの今後の生活費を得ていけば良いのです。

しかし,妻Xが,結婚生活を続けていくつもりなのであれば,夫Bが不倫したことについて不倫相手であるAに賠償請求していく際,それが相手の夫(C)にばれてしまうと,本事例のように,相手の夫Cから自分の夫Bに対しても賠償を請求されてしまいます。

このようになってしまうと,今後夫婦生活を続けていくAB夫婦としては,不倫相手である相手の妻Cから100万円とることができたとしても,相手の夫Dが,自分の夫Bから100万円とった場合,結局夫婦としては何の利益も得られないことになります。
それどころか,本事例のように,相手の妻Aと相手の夫Cが別居したり離婚したりした場合は,夫B の方が相手の夫D に対して精神的損害をより多く与えたとして,100万円よりも更に慰謝料が高くなり,かえって夫婦としてマイナスになってしまうことも考えられます。
だいたい別居に至った場合で150万円前後,離婚に至った場合で200万円前後と賠償は増えていきます。
不倫の損害賠償で過大請求は弁護士費用がかさむ!?

なので,両者が離婚しないような場合は,相互の家庭で共に賠償をしないで痛み分けで交渉を終わらせる(通称「ゼロ和解」といいます。)ことも多いです。

3 ダブル不倫をこっそり終わらせるには

また,本事例のように相手の夫Dが不倫の事実をまだ知らない場合,妻Xが,相手の妻Aに責任を取らさなくてはどうしても納得がいかないようであれば,Dにばれないように事を進めればよいわけです。

弁護士に頼めば,このようなケースの場合,相手の妻Aに弁護士名を入れてメールで連絡します。
証拠があることを伝え,賠償を請求し,メールを無視するようであれば裁判を起こす旨も記載しておけば,少なくとも無視することはないでしょう。

あとは,相手の夫Cに発覚しないように,妻Aとだけ示談書を交わして賠償してもらえばよいわけです。
この場合,妻Aは夫Cには絶対に不倫の事実をバレたくないので,あっさりとある程度の賠償を認める可能性が高いです。
バレないようにと,相場よりも高い金額の賠償を認めることもあります。

このようにすれば,こちらの家庭だけ賠償金を得るという結論にすることも可能ということです。

 

4 まとめ

つまり,今回の事例では,電話して相手妻Aにつながらなくなった時点で,手紙を相手の家に手紙を送ったことが問題だったのです。
これにより,相手の夫Cが不倫の事実を知ったので,話がややこしいことになってしまいました。

この時点で弁護士に頼んでいれば話が違った可能性があったのでしょう。

このように,不倫の事件も,いろいろケースによってベターな請求の仕方があるのであり,弁護士に相談することをおススメします。

 

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