昨日の1月7日、遂にコロナ対策として2度目の「緊急事態宣言」が発令されました。
前回の緊急事態宣言では、裁判はほぼ行われない状態になってしまったので、今回の緊急事態宣言ではどうなるのか気になるところです。
その内容についての評価等は他の方に譲るとして、裁判所の動向等、これに伴う弁護士の仕事への影響について説明します。
・裁判所のオンライン化、
・裁判所で裁判は行われるのか、
・弁護士事務所での打ち合わせはできるのか、
ということについて、解説したいと思います。
中央大学の法務全般を担当している中央大学「法実務カウンセル」(インハウスロイヤー)であり、
新宿・青梅・三郷の「弁護士法人アズバーズ」代表、
弁護士の櫻井俊宏が執筆しております。
1 裁判所のオンライン化
緊急事態宣言が出ても裁判所で裁判は行われるのでしょうか。
既に裁判をしている方は気になるところだと思います。
これについては、緊急事態宣言に伴う「テレワーク7割推奨」がどのようにとらえられるのかによるでしょう。
前回の緊急事態宣言の場合
前回の緊急事態宣言においては、裁判所は完全に裁判を行わないという状態でした。
破産や強制執行等、かなり緊急の動きが要請されるもの以外は、裁判はほぼ一律に延期となりました。
これは、テレワーク推奨による人手不足もあったでしょうが、裁判当事者との接触を避けるという意味合いの方が大きかったと思います。
確か、緊急事態宣言はとうに終わっていた夏ごろになって、ようやく裁判が始まりだしたという感じでした。
特に、新たに訴状等を提出して申立てた件は、なんの連絡もなくそのままになっていたという状態でした。
裁判所は前回の緊急事態宣言でオンライン化しはじめた
裁判所もオンラインライン裁判を導入し始めました。
一般の方の間では、ご存じのように「ZOOM」というツールが多いですが、裁判所においては「Teams」というものです。
Teamsのページ
どうもTeamsの方がセキュリティが良く、秘密性が高い裁判に向いているとのことです。
具体的にどのように違うのかまではよくわかりませんが…
アプリを入れるのが、ZOOMや中央大学で使われている「Webex」より難しかったです。
Microsoftのアカウントを入れる必要がありました。
Webexのページ
話は逸れてしまいますが、このオンラインツール、いっぱいあって、コミュニティによる切替が大変ですね。
一つに統一してくれると有難いのですが。
これと同様に、例えば電子決済も、「Pay」がつくやつだけでも、
PayPay(ソフトバンク社)、
LINE Pay(LINE社)、
Apple Pay(Apple社)、
アリペイ(アリババ社)、
Amazon Pay(アマゾン社)、
メルペイ(メルカリ社)、
等、綺羅星の如く(!?)あります。
この電子決済がその会社をユーザーを生み出し、今後会社の大きな利益になっていくのだから当然なのかもしれないですね。
同様に、オンライン会議ツールも、商売として有益なので、いろんな会社のものがある状態が続くのでしょう。
2 裁判所で裁判は行われるのか
話を戻すと、Teamsの使用により問題なく進められる裁判もありそうです。
ただし、当事者の代理人をやっている弁護士が、全くそれらを導入しようとしない弁護士もいました。
そのような弁護士に依頼している場合には進めにくいでしょう。
裁判所の部署によってもまだオンライン化が進んでいないところもあります。
そのような部署の担当の場合は裁判が進みにくいかもしれません。
更に、証人尋問については、尋問を受ける人のその場でしゃべる際の態度等が、事実を認定するにあたって大事なので、裁判所に実際に来る必要があり、延期となることも多いと考えられるでしょう。
オンラインでない場合に関しては、どうでしょうか。
・裁判所は公共の代表的機関として「三密」に対して慎重な姿勢をとっています。
現在でも、法廷に、これまでの3分の1ぐらいの人数しか入れないようになっています。
・また、テレワークはどうしても増えることになるでしょう。
このことから、裁判がある程度は延期になることがありえるように感じます。
なお、この点に関し、時事通信の記事では、「裁判はほぼ現状維持される」と報道されているようです。
裁判、ほぼ現状維持 前回は大部分停止、影響考慮―緊急事態宣言
今後どうなるのか注目です。
3 弁護士事務所での相談はできるのか
裁判や法的紛争に備えるため、弁護士事務所での相談はできるのでしょうか。
まず、初回相談等について、少なくとも私達の弁護士法人アズバーズでは、いらしてもらうことについて問題ありません。
窓とドアを開けて、密にはならないように対応させていただいております。
zoomでの初回相談対応も、事件によっては可能です。
不貞の損害賠償の件や怪我の軽い交通事故等、比較的に争点が少ない事件は可能だと思います。
破産や離婚、相続等、資料が多く、重要な件については、会ってからでないと依頼は難しいように感じます。
依頼を既にしている場合の打ち合わせはどうでしょうか。
弁護士に依頼した際、書面を1通作るためにわざわざ弁護士事務所に赴くというのが旧来のやり方だったと思います。
しかし、昨今では、下地となる書面を弁護士の方で作成し、依頼者の方に送り、見てもらって、電話のやりとりで修正するということは当り前のように行われています。
私達の弁護士法人アズバーズではこのようなやり方行っております。
また、この修正も、今ではzoom等でのやりとりでできるので、より問題なく進められます。
逆にいうと、zoom等のオンラインツール、ましてメールも使っていないような昔ながらのやり方しかしない事務所に依頼している場合は、今後は少し警戒した方がよいかもしれません。
4 まとめ
なお、裁判所に不安を感じるこの時期は、紛争はなるべく交渉だけで終わらせるのが正解です。
交渉で紛争を終わらせるには、当事者双方が落としどころを理解していて、駆け引きをしないことが必要となってきます。
私は、法的紛争を長引かせるのは、当事者の精神とお金(弁護士費用)をむやみに削ることになってしまうと考えているので、なるべく交渉で終わらせられるように努力したいと思います。
そのために、落としどころをしっかりと見極め、説得的に、裏付けをもって、依頼者様、相手方にお話できるように努めようと思います。
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【執筆者】
「弁護士法人アズバーズ」代表
「中央大学」法実務カウンセル(インハウスロイヤー)
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