【飲食店の知的財産法】ごはんバーガーはライスバーガーのパクリでは!?

2020年2月5日から、マクドナルド社から期間限定でごはんをバンズにして具材を挟んだ「ごはんバーガー」が販売されました。これは誰もが知るモスバーガー社伝統の「ライスバーガー」とほぼ同じものであることは、皆様は当然ご想起されたと思います。

ラーメン弁護士でもある私は飲食業に興味が強いので、特に気になってしまいました。

そこで「ごはんバーガー」なるものが何かモスバーガー社の権利を侵害しないか考えてみました。

マクドナルド社とモスバーガー社の仁義なき闘いを予想する参考記事です。
https://www.huffingtonpost.jp/entry/mcdonalds-rice_jp_5e2fb05cc5b68f86c8cd18a1

 


・ごはんバーガーはライスバーガーの知的財産権を侵害しないか?
・パクった者勝ちの飲食店経営!?
・ランチェスター戦略とは?


等について解説します。

中央大学の法務全般を担当している中央大学「法実務カウンセル」(インハウスロイヤー)であり、
新宿・青梅・三郷の「弁護士法人アズバーズ」代表、
弁護士の櫻井俊宏が執筆しております。

 

1 ごはんバーガーはライスバーガーの知的財産権を侵害しないか?

①まず、「ライスバーガー」という、名称だけとか、作り方とかには「著作権」は成立しません。

②では、「ライスバーガー」という名称に関する「商標権」はどうでしょうか?
M2社は「ライスバーガー」の単語を含む商標権はとっています。
特許庁のページで検索できるので、試しに「ライスバーガー」と検索してみてください。カタカナで普通に入力してみましょう。
特許庁プラットホーム

しかし、名称が「ライスバーガー」でなく「ごはんバーガー」で、7文字中3文字も違う以上、商標権侵害が成立することは考えにくいです。
商標権侵害が成立するのは、7文字ぐらいの場合、せいぜい2文字違いです。

③では、製法の問題はどうでしょう?
「特許権」「実用新案権」で検索してみると…ありました!
ライスバーガーの特許

「ライスバーガー」です。実用新案権で特許庁に申請があります。
しかし、1987年にとある会社が申請したものの、最終的には実用新案権が認められてはいないようです。

これは、権利が取得できていれば、モスバーガーのような他の会社が使う際に凄い利益を上げる可能性があったのでは…

何か権利がとれない法的理由があったのでしょうか。

というような調査結果です。

今回の「ごはんバーガー」は法的には問題になりにくそうですね。
マクドナルド社もモスバーガー社も、業界活性化のため頑張って欲しいです!

 

2 パクった者勝ちの飲食店経営!?

ここまで述べてきたように、商標権や実用新案権はともかく、飲食店の製法や、実際にできたものの見た目等について、著作権や意匠権等の知的財産権侵害は成立しにくいです。

そうだとすると、例えばデザートを高く積み上げるインスタ映えする見た目の食べ物や、ラーメンでいうと二郎インスパイア系(二郎の業態とラーメンのデザインを真似た店)といったことに関し、他の店のほぼパクリであっても、権利侵害は主張できないということになります。

実際その通りであり、だからこそ飲食店は、売れた店の後を追って同じような業態を作るということは非常に多いわけです。

例えば、スタバに近い業態を他の会社が創ったり、から揚げのみの専門店がどんどん増えたりするわけです。

 

3 ランチェスター戦略とは?

ランチェスター戦略」という経営手法があります。これも、ある意味パクリを推奨しています。

すなわち、その中心的内容として、1987年圧倒的シェアを誇る業界最大手以外は、他にない手法に全てを注力して一点突破するのが有効、逆に圧倒的シェアを誇る業界最大手は、他の会社にない手法で売れだしたら、その手法をパクり、その会社の成長を阻むのが有効というのがあります。

前者の業界最大手以外については、例えば、「俺のフレンチ」などは、立ち食いの形式で高級なフレンチを安く食べられるという他にない手法で一点突破して成長しています。

これに対し、後者の業界最大手として、例えば、本記事のマクドナルドが挙げられます。

マクドナルドは、チキンに特化している「ケンタッキー」のやり方を真似て、チキン商品に力を入れている時期がありました。
また、2021年4月には、「サムライマック」という、「バーガーキング」に似たジューシーでパワフルなパテの期間限定商品を出しています。

以前は世界の「松下」も「マネシタ」と言われるぐらいランチェスター戦略を徹底的に推進して成功しています。

このことから、ランチェスター戦略は確かな戦略であり、パクりについてあまり法規制が過ぎると、日本の企業の成長を阻害することになりかねません。

とは言え、あまり露骨に真似するのもどうかとも思えるので、特に飲食店業界において、今後規制や裁判がどうなるか注目です!
これまでに「鳥貴族」と「鳥二郎」、「かつや」を運営するアークランドサービスの「からやま」とすかいらーくの「からよし」等が裁判沙汰になっているようです。

弁護士櫻井俊宏は、中央大学で法実務カウンセルとして学内法務全般を担当しており、知的財産法の相談も数多く経験しています。
お問い合わせはこちら→弁護士法人アズバーズ
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(2021年6月7日更新)

 

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【執筆者】
「弁護士法人アズバーズ」代表
「中央大学」法実務カウンセル(インハウスロイヤー)
弁護士 櫻井俊宏

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