新吹上トンネル内での集団暴行・傷害事件

菊川 一将
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こんにちは。青梅市での生活にも慣れてまいりました,青梅市住民の弁護士の菊川です。本日は吹上トンネル内での事件についてお話します。

心霊スポットにはあまり詳しくないのですが,吹上トンネルをググってみると出るわ出るわオバケの噂。
都会のオバケより自然のあるところのオバケのほうが真実味あって怖いんですよね・・・。
吹上トンネルはまさに後者の感じがします。絶対に行きたくないです。怖い。

さて,このトンネル内で,心霊スポット巡りに来ていた2つのグループがトラブルになって,一方のグループ(15~17歳の少年6人)が逮捕されたという事件が発生したようです。

「もう一方のグループ(18~20歳の6人)に手を振られてバカにされたと思った」とのことですが,現在でもこういうのあるんですね・・・。

喧嘩闘争の部類で,両グループともに罰されるべきとも思いますが,記事の内容としては,15~17歳のグループが一方的に暴行を行ったというように見えます。

全治2週間の怪我を負わせたということですから,おそらく暴行罪ではなく傷害罪が発生する事案でしょう。

暴行罪とは,「人を暴行したものが,その人を傷害するに至らなかったとき」に成立する犯罪です。要するに,殴ったけたいした怪我じゃなかった場合に成立する罪です(かなり乱暴な説明ですが)。全治2週間ですとそれなりの怪我でしょうから,傷害罪が成立しうるでしょう。

このとき「傷害」とは,「人の生理的機能を害する」ことを指すと言われています(別の学説もあります)。
細かなところですが,「髪の毛を切断する行為」は,この立場からは暴行罪にとどまりますが,「髪の毛を引き抜く」行為は傷害罪を構成しうることになります。

暴行罪と傷害罪の法定刑はかなり開きがあり(前者は懲役2年以下,後者は15年以下)傷害罪が認定される方が罪が重くなります(15年以下とかなり幅があるのは,傷害の態様によって重く罰すべき場合とそうでない場合があるからでしょう)。

仮に本件が暴行罪で終わったとしても,集団で暴行罪を行った場合には,「暴力行為等処罰ニ関スル法律」により,3年以下の懲役と罰が重くなります。集団でボコるのは卑怯ですからね。

なお本件で,因縁をつけられた側が喧嘩に応じてしまったような場合には,正当防衛が成立すると思われるかもしれませんが,その態様によっては「喧嘩闘争」に類するものとして,同じく処罰される可能性があります。正当防衛はけっこうハードルが高いのです。

因縁をつけられないよう,君子危うきに近寄らずの姿勢が大事かもしれないですね。

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菊川 一将

菊川 一将

「弁護士法人アズバーズ」青梅事務所所長弁護士。 小・中・高校の10年間、バスケットボール一筋。2017年に弁護士法人アズバーズに入所。

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