不可抗力と法律関係~台風21号にご注意を

菊川 一将

最近立て続けに台風が来襲していますが,幸運にも,アズバーズのある東京23区および青梅は直撃を免れております。

台風21号は今年最強の台風と言われているようですので,もういっそ家を出ないのがいいかもしれないですね。混雑することで有名な朝の御堂筋線がガラガラだというツイートも見ましたし,命あってのモノダネです。

さて,この台風,軽自動車を吹き飛ばすくらいの威力があるらしいのですが,残念ながら台風に吹き飛ばされて自動車が壊れたとしても,誰にも損害賠償を請求できません(理論上はいくつかの手段が考えられますが,極めて限定的です)。

「不可抗力」とは,誰にも故意・過失がないことを指します。そのため,不可抗力による損害は,誰にもその賠償責任を問い得ないことになります。台風はまさにこれの典型ですので,自己防衛が必須になるわけです。

では,台風によって他人所有の自動車が吹き飛ばされ,自宅に激突した結果,自宅が損壊した場合はどうでしょうか。

この場合も,基本的には台風が根本の原因なので,法律上は,自動車の所有者に責任を問うことは難しそうです。ただし,具体的な事情によっては,一定程度責任を問うことはできるかもしれません(その自動車が自宅付近の駐車禁止の場所に停められていた等。これだけで請求が認められるかは微妙ですが・・)。

いずれにせよ,台風が原因となって生じた損害については,法律上の権利行使による回復は難しいことが多いので,まずは自己防衛です。
また,他人に迷惑をかけないように,自己の所有物が吹き飛ばされたりしないように対策を施しておく必要もあるでしょう。

台風21号には厳重警戒を!

*本稿は各方の加入されている保険契約は度外視しておりますので,ご加入の保険契約によっては保険金が下りるかもしれません。

 

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